都技OB会の偉業
『昭和の歯科技工士史』発刊に寄せて
『昭和の歯科技工士史』発刊に寄せて
公益社団法人 日本歯科技工士会
第12代会長 杉岡範明
第12代会長 杉岡範明
都技OB会編纂による『昭和の歯科技工士史』の発刊は、歯科専門職としてこれまで歩 んできた歯科技工士にとって誠に貴重な資料であり、ご尽力に心から感謝申し上げます。
本書の扉には、「Time Capsule」と題して、「記録されない出来事/記憶に仕舞われた 出来事/人の人生と共に歩んだ足跡が/人生と共に消えゆく語りごと/そんな一部を/時 代を創った心意気を/今、すこしでも伝え遺すために…/そして未来へ」との言葉が刻ま れています。
人の記憶とは、儚く時とともに失われてゆくものです。しかし、先人は文字や写真、そ の他の方法で記録する術を獲得しました。その実践を「昭和の歯科技工士」の皆様が、自 ら筆をとり、後の世に記録として伝えるべきものを、この『昭和の歯科技工士史』として 纏められました。これは現在の歯科技工士、将来の歯科技工士にとって、何よりの贈り物 です。
「昭和の歯科技工士」の皆様は、正に歯科技工士の国家資格制度を獲得し、現在につな がる業としての歯科技工の形を作りあげられた人々です。本年(2017年)1月25日に、元 日技会長(第9代)の佐野恵明様がご逝去されました。私は現在の会長(第12代)とし て、日技の歴史に名を刻んだ大先輩のお通夜に参列させていただき、改めて、歯科技工士 の歴史に関わる重責を痛感しました。日技の会長室には歴代会長の写真が掲げられていま す。私はいつもその写真を見るたびにそれぞれの時代のそれぞれの想いを感じながら今の 会務にあたることにしています。そのことが、正しく歴史に関わることであり、私の使命 であると思っています。
同様に、都技OB会の皆さまにより、自ら書き残された記録、また他の人により更に書 き加えられるであろう記録、これらが紡ぎあって我々歯科技工士の正しい歴史が刻まれて いくものと思います。
結びに、この貴重な史書の刊行が、後世に高く評価されることを確信し、都技OB会の 偉業に、心より感謝申し上げます