歯科技工管理学研究

歯科技工管理学研究ブログ
歯科技工士・岩澤 毅

小池晃 文書提供項目 日本歯科新聞 匿名の歯科指導医療官

2006年06月08日 | 国会議事録
○小池晃君 
 続いて、歯科医療の問題についてちょっと取り上げたいと思います。
 今年四月に診療報酬の改定がありました。いろんな問題があるんですが、一番私どもの方に意見として寄せられている問題として、患者さんへの文書提供項目が急に増えたと、五つが二十二になったということなんですね。情報提供自体はこれは大いに進めなければいけないことだと思うんですが、一律な義務付け、診療報酬上の義務として押し付けるということが非常に現場で混乱を生んでいると思います。
 神奈川県保険医協会の開業歯科医師のアンケート結果を見ましたが、もう本当に強い意見が並んでいます。政府が行っていることは開業医のリストラである、今までも十分患者に説明してきた、その上、文書の義務化が多過ぎる、診療より文書を書いている時間が長い、もうくたくただ、こんな意見。あるいは、保険診療をやめるか転職するかしかない、毎日まるで学生実習のようだ、こんな意見もある。文書提供などの膨大な事務量の増加が患者さんとの十分なコミュニケーションを阻害したり歯科医療の質を低下させるということがあったとしたら、私、大問題だと思うんです。
 この問題は参議院の行革特でも大臣に質問があったと思うんですが、大臣はそのときに、保険医療機関の事務負担をしっかり把握するというふうに答弁されていますが、把握されたんでしょうか。実態あるいはこの批判の声をどういうふうに大臣として受け止めていらっしゃるか、お聞かせください。

○国務大臣(川崎二郎君) ちょうど四月末から五月の段階の話だったと思っています。保険医療機関の事務負担を軽減し、歯科診療における患者の情報提供が効率的に行われるよう、カルテや診療報酬請求書の記載について運用面での簡素化の通知を出しました。たしか四月の末と五月の初めごろだったんではなかろうかなと思います。
 その後、私もいろいろな方々の御意見を聞いておりますけれども、そうした対応の中で、今、歯科医師会の皆さん方ともお話合いをさせていただいておりますけれども、四月当時のようなお声は今はないんではなかろうかなと思っております。ただ、新しい制度でございますので、その後の検証はしっかりしていきたいと思っております。

○小池晃君 いや、ちょっと甘いと思いますね。その通知出た後も問題続いていますよ。ほとんど、若干ぐらいの緩和にしかなっていないというふうに私は聞いています。
 しかも、重大なのは、今年四月四日付けの日本歯科新聞という業界紙に、匿名ですが現職の歯科指導医療官の発言が出ているんです。何と言っているか。この文書提供の問題についてこう言っているんですね。今回の改定は多少の厳しさを伴うにせよ、個々の歯科医院が患者からの信頼感を回復し、高めるチャンスだと認識すべきだ。もし、信頼関係が医患、医者と患者の間に生まれれば、自費診療の比率も上がっていくだろう。現在、混合診療解禁に向けた動きが併せて進んでおり、歯科医院のコミュニケーション能力の高まりが歯科医院の収入を高める大きな要素となるものと期待される。今回の改定は夜明け前の改定と呼んでもよいのではないか。
 局長、今回の文書提供の義務付けというのは、これは混合診療解禁に向けた夜明け前の改定だったんですか。

○政府参考人(水田邦雄君) これは正に個人的見解でございまして、厚生労働省の見解とは異なるものでございます。

○小池晃君 個人的見解ったって、業界の第一の新聞に堂々と出ているんですよ。こういうことがあっていいんですか。
 これ、私、もし厚労省の方針に反するというのであれば、手だて打つべきだと思います。人物特定して、何らかのこれは手当てをするべきじゃないですか。その点はいかがですか。

○政府参考人(水田邦雄君) この記事、委員も御指摘のとおり、これ匿名で書かれたものでございまして、まあそういったものに私どもあえてコメント、どのようにしたらいいのかよく分かりませんけれども、私どものこの混合診、いわゆる混合診の問題につきましては、これはもう何回も繰り返し申し上げてきたとおりでありまして、この匿名のこの記事にまあ一々個別に反応するべきものかどうか、よく分かりません。

○小池晃君 いや、こういうのを放置しちゃいけない、いけないと思いますよ、行政としては。大臣はうなずいていらっしゃるけれども。これは重大な問題だと思いますよ。こんなことを平気でしゃべっているとしたら。
 ちょっと歯科医療の中身そのものについても聞きたいんですが、そもそも歯科医療を充実させて歯の健康を保つというのは極めて大事なことだと思います。八十歳で二十本の歯を有する八〇二〇というのは、これは健康日本21の指標にもなっている。
 これ、最近東北大学の渡邉誠教授らが、保有している歯の数が多いほど医科の医療費が低いという研究結果を発表しています。これは以前からいろいろあって、兵庫県歯科医師会とか香川県とかいろいろあるんです。
 大臣に私、基本的な認識をお伺いしたいんですが、高齢者の歯の健康状態を保持するというのは全身の健康にも大きな役割を果たすし、それが結果として医療費を低く抑える効果ももたらす、まあ一石二鳥、三鳥じゃないかと思うんですが、大臣いかがですか。

○国務大臣(川崎二郎君) 先日発表しました平成十七年歯科疾患実態調査の結果において、八〇二〇達成者の割合は健康日本21の目標値である二〇%を達成し、高齢者の歯の健康状態の改善に成果が上がっていると認識しております。
 御指摘の調査については、一定の前提の下、残存歯が少ない者の方が多い者に比べ医科の医療費が高い傾向が見られるという報告書でございます。こういった報告は、広く国民が歯の健康に関心を持つ啓発の一つになるものと認識しております。
 今度の医療制度改革においては、医療費の適正化を推進する観点から、疾病予防を重視した保健医療体系への転換が柱の一つとされており、歯科保健医療の分野においても八〇二〇運動を始めとする疾病予防、健康増進を目指した歯科保健医療の充実が重要であると考えております。

○小池晃君 重要だというんだったら、メタボリックシンドロームばっかり一辺倒でやるんじゃなくて、がんの問題とかこういう歯科の問題とか、きちっと指標に据えてやるべきじゃないですか。もう胴回りのことばっかり話題にして健康指標にするというのは、私は非常に偏っているというふうに思います。別に自分のことに照らして言っているわけじゃありませんが。
 私、そういう意味じゃ、本当に余りにも歯科分野は軽視され過ぎているということは申し上げたいと思うんです。問題なのは、歯科医療分野での保険外負担が拡大続けているんですよ、そういう中で。そもそもの歯科の医療分野では、新しい治療法がなかなか保険適用されない。
 局長、最近新たに保険適用された技術というのはどれだけあるんですか。

○政府参考人(水田邦雄君) 平成十二年度から今回までの過去四回の診療報酬改定におきまして、歯科医療の分野において新しく導入された技術といたしましては、睡眠時無呼吸症候群の治療法としての口腔内装置を始めとした三つの技術でございます。なお、この歯科診療報酬改定に際しましては、日本歯科医学会に属する専門学会から要望を聞きながら、中医協の専門家による組織におきまして有効性、安全性等の観点から科学的評価を行った上で、保険導入しているものでございます。

○小池晃君 平成十二年、十四年、十六年、十八年、四回改定あったのに、三つしか入っていないということなんですね。一方で、前回議論したように、医科分野では今年の改定だけで新たに五十、新技術が入っているんだから、非常に少ないんです。
 で、厚労省の調査によれば、歯科医療に対する国民の要望の第一位、夜間や休日でも診療が受けられるように、第二位は、保険の範囲を広げてほしいなんです。国民の願いは保険で最善の歯科医療を受けられることだと。
 ところが、実際には歯科分野では新しい技術がなかなか保険適用されないし、保険診療への制限が、日数制限とか条件とか、いろんな形で制限が加わっている。医科の先取り的にどんどんどんどん制限している。これが実態です。結果として保険外の負担が拡大しているわけであります。だから、国民は保険適用ということを真っ先に言うんだと思うんですね。医科ではこういう声は上がってきませんよ。
 私、大臣にお聞きしたいんですが、非常に大事だということはおっしゃった。であればですよ、やはり今のように保険外診療を広げていくようなやり方というのは、これは改めるべきじゃないか。こういうやり方は歯科医療の在り方をゆがめ、歯の健康を壊し、ひいては厚労省が目指す健康づくりにも逆行するということになるんじゃないですか。この点、いかがでしょうか。

○国務大臣(川崎二郎君) 第一に、歯科の問題についていろいろ私も勉強したいなと思って少し始めているところでございます。問題を、意識を持ちながらやってまいりたいと思います。
 一方で、歯科診療におきまして、保険外診療の割合が増えておるという御発言でございますけれども、私どものデータでございますと、平成七年、保険外診療一三・一%、十一年が一二・七、十五年が一二・〇、十七年が一二・五でございますから、そういった意味では増えているという御指摘は当たらないと思っております。
 ただ、歯科の問題について、先ほど八〇二〇運動の問題、また新たな保険も含めた健康増進のための歯科の役割というものは十分勉強していきたいと、このように思っております。

○小池晃君 一三%、一二%で推移しているということ自体が重大問題だという認識を持っていただかないといけないというふうに思います。
 私は、先ほどの指導医療官の発言なども含めて、歯科医療の現場を混合診療の実験場にするようなことは絶対に許してはならないということを申し上げておきたいというふうに思います。

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