189 - 衆 - 厚生労働委員会 - 27号
平成27年07月01日
○堀内(照)委員 中医協の議論の中でも、誤嚥性肺炎の問題だけではなく、経口摂食することによって腸管の粘膜免疫機能が正常化して、感染、褥瘡も減り、入院日数の短縮にもつながる。
兵庫県歯科医師会の調査では、七十歳以上の高齢者で歯が二十本以上あった人に対して、零本の人の年間医療費は、男性で約十四万、女性で約九万五千円高かった。これだけのやはり違いが出てくる。健康を維持し、結果として医療費の抑制にも大事な効果があるというふうに思うんですね。
にもかかわらず、歯科医療の現場というのは大変困難な状況に置かれておりますし、とりわけ歯科技工士の実態というのは深刻です。これは井坂さんも紹介されました、低賃金、そして長時間労働と。
私も、技工士の置かれている現状についてどう認識され、どこに原因があるのかということを大臣にお聞きしようと思って通告していましたが、これは先ほど答弁がございました。厳しいという実態は認識をされているということとともに、その原因が小規模や一人ラボと言われるような業務体系のあり方もあるのではないかということでありましたが、私は、これはやはり違うのではないかと。井坂さんも構造的な問題とおっしゃっておりました。
日本歯科技工士連盟の機関紙でいろいろな声が紹介されています。保険技工を中心に四、五人、確かに一人ラボというのは八割を占めているわけですけれども、ここは四、五人の従業員の技工所ですが、ここでも、帰りはほとんど終電、どんなに先生、歯科医師ですね、先生に尽くしても、突然仕事が来なくなることもあります、ですから、リスクヘッジのために、ちょっとオーバーぎみに仕事を抱えなければなりません、このままだと日本人の歯科技工士はいなくなります、こう言っております。
私が衝撃を受けましたのは、兵庫県では技工士の養成学校がなくなったんです。大阪の学校等に通っているんですが、ことしの兵庫県歯科技工士会の新規会員は一人か二人だということなんですね。
今、年齢構成で見ても、技工士は五十歳以上が四三・二%でして、これは地域から技工士がいなくなるという本当にゆゆしき事態だと思っております。
それで、技工士のいわゆる技工料をめぐっては、いろいろこれまでも議論があり、取り組みがあったというのは先ほども大臣の答弁にございましたが、私が一つお聞きしたいのは、一九八八年に、いわゆる七、三告示と言われる、技工料の問題をめぐって厚生省から告示が出ております。その趣旨、目的について御説明をいただきたいと思います。その目的が果たされているのか、そうでないなら、どこに課題があるのか、あわせてお聞きしたいと思います。
○唐澤政府参考人 ただいま先生から御指摘いただきました七、三告示でございますけれども、これは、歯科診療報酬における歯冠修復及び欠損補綴料、この中に含まれる費用のうち、製作技工の部分と製作管理の費用というものがそれぞれおおむね七割とおおむね三割であるというものを示したものでございます。これは長い歴史の末にこういう形になっております。
これは、歯科医療機関から歯科技工所に対する製作技工の委託を円滑に実施する、いろいろなトラブルもございましたので、円滑に実施をするということを目的として、標準的な割合を国として示したものでございます。
もちろん、診療報酬そのものの額は保険医療機関が製作技工を委託する際の委託料の額を拘束するものではございませんので、大きな考え方はもちろん尊重していただかなければなりませんけれども、個々の契約における委託料につきましては、契約条件等の相違や地域差等を踏まえて実施をされているものと認識しているところでございます。
このいわゆる七、三問題と、それからまた、これまでも御議論がございましたけれども、歯科診療報酬そのもののあり方ということも大きな課題であろうというふうに考えております。
○堀内(照)委員 今ありましたように、当然、保険診療ですから診療報酬が出ているわけですが、実際、歯科医から技工所へ補綴物を外注すると、そこはもう民民の取引であって、公定価格は及ばないわけです。そのことからダンピング、低価格競争にもなっているわけですが、七、三告示があくまで目安だというように、逆に価格を縛ろうとすると、確かに独禁法なんかにひっかかってくる。
しかし、私は、公的には縛れないものだからこそ、当時、厚生省として、今もありましたように、円滑に実施させていく標準的な割合というふうに言っていただきましたように、歯科技工の経営が成り立つようにするための目安として示されたんだと思います。現場からも、およそ七割が技工料として入ってくるならやっていけるという声もあるわけなんですね。
ならば、どうやって七、三告示の趣旨が生きるようにするのか、これはまさに政治の責任だと私は思うわけであります。
根本的には、歯科全体の診療報酬を引き上げるということがまず重要だと考えています。これは先ほども大臣少し答弁ございましたけれども、診療報酬を、思い切った手当てをして、歯科医師側から技工士に対して七対三の七を支払えるような環境をつくるということが今本当に求められていると思います。
必要な歯科医療の保険収載をすることとあわせて、診療報酬での思い切った手当て、これはぜひ必要じゃないかと考えるわけですが、大臣、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 先ほど井坂議員のときにも御答弁申し上げたところでございますけれども、二十六年度の診療報酬改定のときには、歯科医療については、虫歯とかそれから歯周病などの治療に対する評価だけでなくて、口腔機能の維持あるいは向上の取り組み、そして歯の喪失リスク増加への対応等に取り組んだところであって、歯科技工士がかかわる義歯などの、入れ歯ですね、製作に関する診療報酬の点数も引き上げたということであります。
今先生がお話しのように、七、三告示があるといえども、やはり全体としての歯科の診療報酬の厚みがないとなかなかうまくいかないじゃないかということでございますけれども、どういう工夫をして歯科技工士がかかわる治療に関して点数があり得るのかということも考えていかなきゃいけないのではないのかというふうに思います。
診療報酬改定については、ちょうどことしがその年になりますので、物価、賃金の動向、あるいは医療機関の収支状況、対応が必要な医療課題、その中にはこの歯科技工士の問題も念頭に置くべきなのかもわかりませんが、保険料等の国民負担のあり方などを総合的に勘案して改定率を決めなければならないということで、予算編成の過程においてしっかりと議論をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
○堀内(照)委員 我が党の田村智子参議院議員が二〇一一年の九月に質問主意書で、歯科の基礎的技術料について、長期に据え置かれたものについて問いただしたときに、五十八もの技術が二十五年間報酬が引き上がっていないということが答弁でありまして、これは歯科業界でも大きな反響を呼んで、前々回、二〇一二年の改定で基礎的技術料などが引き上げられ、前回、一四年の改定では、今大臣の答弁がございましたように、当然幾つか引き上げられているものもあるわけです。
しかし、その一二年改定の際に、兵庫県保険医協会歯科部会長の談話でこう述べているんです。
二〇一〇年改定以前の十年間で七・三%引き下げられた診療報酬を回復するに至らず、十六年間にわたり二兆五千億円台に抑制された歯科医療費の総枠拡大にはほど遠い改定率である、そのため、中医協の医療経済実態調査で損益差額が初めて百万円を切るまでとなった歯科医院経営の危機を改善するには到底及んでいないということであります。
ぜひ、こういう実態、声に応えて努力をいただきたいということを指摘したいと思います。
同時に、考えなければならないのは、若い技工士をどう育てるのかということであります。
一つは、地域的な特徴も踏まえて、都道府県が事業を策定する地域医療介護総合確保基金で、若い技工士を育てるための奨学金制度なり、研修制度なり、必要だという声があるわけですが、そういうものが活用できるかどうか、これを確認したいんです。
○二川政府参考人 昨年成立いたしました医療介護総合確保推進法に基づきまして、各都道府県に地域医療介護総合確保基金が設置されているわけでございます。
対象の事業といたしましては、医療従事者の確保に関する事業、これがあるわけでございまして、ただいま御指摘の歯科技工士の人材確保、あるいは養成所に対する設備整備等も対象の事業というふうになってございまして、実際にこの基金を活用した取り組みも既に行われているところでございます。
○堀内(照)委員 私も調べましたら、幾つかの都道府県で既に歯科技工士にかかわる事業を進めているところがありました。養成学校などを通じて新しい技術の養成などに取り組んでいるわけですが、しかし、兵庫県は、今言いましたように、そもそも養成学校がなくなってしまっている。そういった事業をやる足場という点でも非常に、なくなっているという面と、それからまた、この問題はやはり全国的にも共通した課題だというふうに思うわけです。
この点も最後に大臣にぜひお伺いしたいと思います。
国としても、今から本腰を入れて、つまり十年、二十年たてば本当に技工士がいなくなるという事態が危惧されると私は思いますので、若い技工士を育てていくこと、育成することとともに、働き続けられる環境、これを支える事業もぜひ検討すべきではないかと思うわけですが、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 先ほども申し上げたわけでありますけれども、質の高い歯科技工士を確保していくということが、よりよい歯科医療を提供するために極めて大事でありますし、うまく合わない歯科技工物を改良していくときのつらさというのは、はた目で見ていると大変なことでもありますから、やはり質を上げていくということはとても大事なんだろうというふうに思います。
去年、通常国会で医療法の改正を行ったときに、歯科技工士法も改正を行って、この試験の全国統一化というのをやっとできたわけでありまして、これが一つのきっかけとなって質の向上につながればなというふうに思うことが一点。
それと、さっき申し上げたように、国としても、技工士の評価を上げる先鞭をつける意味で、人事院で初任給基準表の改正というのを今年度から行ったというようなこともございます。
一方で、これもやはり質を上げるということで、先ほど井坂議員からはお叱りを頂戴いたしましたけれども、質が上がらないで評価を上げろと言ってもなかなか難しいので、やはり評価を高めるための質をどう上げていくかということで、厚生労働科学研究において、歯科技工業の実態についても情報収集を行っていくということもございます。
いずれにしても、先ほどの診療報酬の中でも、この歯科技工士がかかわる行為についての評価を上げていくような質の改善というものを厚労省としてもバックアップができればなというふうに思います。
○堀内(照)委員 終わりますけれども、私がこの間お話を伺った技工士の皆さん、患者のために技工物をつくるということに非常に喜びを感じて、みずからの技術に誇りを持っておられます。その喜びや誇りが将来を見通せない低賃金、劣悪な労働環境の中で傷つけられている。質を改善してとおっしゃいますけれども、私は、むしろ今の歯科技工士の働き、役割をもっと評価するということが、質を改善するのを待って評価じゃなくて、今の実態をもっと評価していくということが必要なんだと思います。
若い技工士を育て、その彼らが誇りを持って仕事を続けられるような環境をつくる、その政治の責任を果たすことを強く求めて、質問を終わります。
平成27年07月01日
○堀内(照)委員 中医協の議論の中でも、誤嚥性肺炎の問題だけではなく、経口摂食することによって腸管の粘膜免疫機能が正常化して、感染、褥瘡も減り、入院日数の短縮にもつながる。
兵庫県歯科医師会の調査では、七十歳以上の高齢者で歯が二十本以上あった人に対して、零本の人の年間医療費は、男性で約十四万、女性で約九万五千円高かった。これだけのやはり違いが出てくる。健康を維持し、結果として医療費の抑制にも大事な効果があるというふうに思うんですね。
にもかかわらず、歯科医療の現場というのは大変困難な状況に置かれておりますし、とりわけ歯科技工士の実態というのは深刻です。これは井坂さんも紹介されました、低賃金、そして長時間労働と。
私も、技工士の置かれている現状についてどう認識され、どこに原因があるのかということを大臣にお聞きしようと思って通告していましたが、これは先ほど答弁がございました。厳しいという実態は認識をされているということとともに、その原因が小規模や一人ラボと言われるような業務体系のあり方もあるのではないかということでありましたが、私は、これはやはり違うのではないかと。井坂さんも構造的な問題とおっしゃっておりました。
日本歯科技工士連盟の機関紙でいろいろな声が紹介されています。保険技工を中心に四、五人、確かに一人ラボというのは八割を占めているわけですけれども、ここは四、五人の従業員の技工所ですが、ここでも、帰りはほとんど終電、どんなに先生、歯科医師ですね、先生に尽くしても、突然仕事が来なくなることもあります、ですから、リスクヘッジのために、ちょっとオーバーぎみに仕事を抱えなければなりません、このままだと日本人の歯科技工士はいなくなります、こう言っております。
私が衝撃を受けましたのは、兵庫県では技工士の養成学校がなくなったんです。大阪の学校等に通っているんですが、ことしの兵庫県歯科技工士会の新規会員は一人か二人だということなんですね。
今、年齢構成で見ても、技工士は五十歳以上が四三・二%でして、これは地域から技工士がいなくなるという本当にゆゆしき事態だと思っております。
それで、技工士のいわゆる技工料をめぐっては、いろいろこれまでも議論があり、取り組みがあったというのは先ほども大臣の答弁にございましたが、私が一つお聞きしたいのは、一九八八年に、いわゆる七、三告示と言われる、技工料の問題をめぐって厚生省から告示が出ております。その趣旨、目的について御説明をいただきたいと思います。その目的が果たされているのか、そうでないなら、どこに課題があるのか、あわせてお聞きしたいと思います。
○唐澤政府参考人 ただいま先生から御指摘いただきました七、三告示でございますけれども、これは、歯科診療報酬における歯冠修復及び欠損補綴料、この中に含まれる費用のうち、製作技工の部分と製作管理の費用というものがそれぞれおおむね七割とおおむね三割であるというものを示したものでございます。これは長い歴史の末にこういう形になっております。
これは、歯科医療機関から歯科技工所に対する製作技工の委託を円滑に実施する、いろいろなトラブルもございましたので、円滑に実施をするということを目的として、標準的な割合を国として示したものでございます。
もちろん、診療報酬そのものの額は保険医療機関が製作技工を委託する際の委託料の額を拘束するものではございませんので、大きな考え方はもちろん尊重していただかなければなりませんけれども、個々の契約における委託料につきましては、契約条件等の相違や地域差等を踏まえて実施をされているものと認識しているところでございます。
このいわゆる七、三問題と、それからまた、これまでも御議論がございましたけれども、歯科診療報酬そのもののあり方ということも大きな課題であろうというふうに考えております。
○堀内(照)委員 今ありましたように、当然、保険診療ですから診療報酬が出ているわけですが、実際、歯科医から技工所へ補綴物を外注すると、そこはもう民民の取引であって、公定価格は及ばないわけです。そのことからダンピング、低価格競争にもなっているわけですが、七、三告示があくまで目安だというように、逆に価格を縛ろうとすると、確かに独禁法なんかにひっかかってくる。
しかし、私は、公的には縛れないものだからこそ、当時、厚生省として、今もありましたように、円滑に実施させていく標準的な割合というふうに言っていただきましたように、歯科技工の経営が成り立つようにするための目安として示されたんだと思います。現場からも、およそ七割が技工料として入ってくるならやっていけるという声もあるわけなんですね。
ならば、どうやって七、三告示の趣旨が生きるようにするのか、これはまさに政治の責任だと私は思うわけであります。
根本的には、歯科全体の診療報酬を引き上げるということがまず重要だと考えています。これは先ほども大臣少し答弁ございましたけれども、診療報酬を、思い切った手当てをして、歯科医師側から技工士に対して七対三の七を支払えるような環境をつくるということが今本当に求められていると思います。
必要な歯科医療の保険収載をすることとあわせて、診療報酬での思い切った手当て、これはぜひ必要じゃないかと考えるわけですが、大臣、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 先ほど井坂議員のときにも御答弁申し上げたところでございますけれども、二十六年度の診療報酬改定のときには、歯科医療については、虫歯とかそれから歯周病などの治療に対する評価だけでなくて、口腔機能の維持あるいは向上の取り組み、そして歯の喪失リスク増加への対応等に取り組んだところであって、歯科技工士がかかわる義歯などの、入れ歯ですね、製作に関する診療報酬の点数も引き上げたということであります。
今先生がお話しのように、七、三告示があるといえども、やはり全体としての歯科の診療報酬の厚みがないとなかなかうまくいかないじゃないかということでございますけれども、どういう工夫をして歯科技工士がかかわる治療に関して点数があり得るのかということも考えていかなきゃいけないのではないのかというふうに思います。
診療報酬改定については、ちょうどことしがその年になりますので、物価、賃金の動向、あるいは医療機関の収支状況、対応が必要な医療課題、その中にはこの歯科技工士の問題も念頭に置くべきなのかもわかりませんが、保険料等の国民負担のあり方などを総合的に勘案して改定率を決めなければならないということで、予算編成の過程においてしっかりと議論をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
○堀内(照)委員 我が党の田村智子参議院議員が二〇一一年の九月に質問主意書で、歯科の基礎的技術料について、長期に据え置かれたものについて問いただしたときに、五十八もの技術が二十五年間報酬が引き上がっていないということが答弁でありまして、これは歯科業界でも大きな反響を呼んで、前々回、二〇一二年の改定で基礎的技術料などが引き上げられ、前回、一四年の改定では、今大臣の答弁がございましたように、当然幾つか引き上げられているものもあるわけです。
しかし、その一二年改定の際に、兵庫県保険医協会歯科部会長の談話でこう述べているんです。
二〇一〇年改定以前の十年間で七・三%引き下げられた診療報酬を回復するに至らず、十六年間にわたり二兆五千億円台に抑制された歯科医療費の総枠拡大にはほど遠い改定率である、そのため、中医協の医療経済実態調査で損益差額が初めて百万円を切るまでとなった歯科医院経営の危機を改善するには到底及んでいないということであります。
ぜひ、こういう実態、声に応えて努力をいただきたいということを指摘したいと思います。
同時に、考えなければならないのは、若い技工士をどう育てるのかということであります。
一つは、地域的な特徴も踏まえて、都道府県が事業を策定する地域医療介護総合確保基金で、若い技工士を育てるための奨学金制度なり、研修制度なり、必要だという声があるわけですが、そういうものが活用できるかどうか、これを確認したいんです。
○二川政府参考人 昨年成立いたしました医療介護総合確保推進法に基づきまして、各都道府県に地域医療介護総合確保基金が設置されているわけでございます。
対象の事業といたしましては、医療従事者の確保に関する事業、これがあるわけでございまして、ただいま御指摘の歯科技工士の人材確保、あるいは養成所に対する設備整備等も対象の事業というふうになってございまして、実際にこの基金を活用した取り組みも既に行われているところでございます。
○堀内(照)委員 私も調べましたら、幾つかの都道府県で既に歯科技工士にかかわる事業を進めているところがありました。養成学校などを通じて新しい技術の養成などに取り組んでいるわけですが、しかし、兵庫県は、今言いましたように、そもそも養成学校がなくなってしまっている。そういった事業をやる足場という点でも非常に、なくなっているという面と、それからまた、この問題はやはり全国的にも共通した課題だというふうに思うわけです。
この点も最後に大臣にぜひお伺いしたいと思います。
国としても、今から本腰を入れて、つまり十年、二十年たてば本当に技工士がいなくなるという事態が危惧されると私は思いますので、若い技工士を育てていくこと、育成することとともに、働き続けられる環境、これを支える事業もぜひ検討すべきではないかと思うわけですが、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 先ほども申し上げたわけでありますけれども、質の高い歯科技工士を確保していくということが、よりよい歯科医療を提供するために極めて大事でありますし、うまく合わない歯科技工物を改良していくときのつらさというのは、はた目で見ていると大変なことでもありますから、やはり質を上げていくということはとても大事なんだろうというふうに思います。
去年、通常国会で医療法の改正を行ったときに、歯科技工士法も改正を行って、この試験の全国統一化というのをやっとできたわけでありまして、これが一つのきっかけとなって質の向上につながればなというふうに思うことが一点。
それと、さっき申し上げたように、国としても、技工士の評価を上げる先鞭をつける意味で、人事院で初任給基準表の改正というのを今年度から行ったというようなこともございます。
一方で、これもやはり質を上げるということで、先ほど井坂議員からはお叱りを頂戴いたしましたけれども、質が上がらないで評価を上げろと言ってもなかなか難しいので、やはり評価を高めるための質をどう上げていくかということで、厚生労働科学研究において、歯科技工業の実態についても情報収集を行っていくということもございます。
いずれにしても、先ほどの診療報酬の中でも、この歯科技工士がかかわる行為についての評価を上げていくような質の改善というものを厚労省としてもバックアップができればなというふうに思います。
○堀内(照)委員 終わりますけれども、私がこの間お話を伺った技工士の皆さん、患者のために技工物をつくるということに非常に喜びを感じて、みずからの技術に誇りを持っておられます。その喜びや誇りが将来を見通せない低賃金、劣悪な労働環境の中で傷つけられている。質を改善してとおっしゃいますけれども、私は、むしろ今の歯科技工士の働き、役割をもっと評価するということが、質を改善するのを待って評価じゃなくて、今の実態をもっと評価していくということが必要なんだと思います。
若い技工士を育て、その彼らが誇りを持って仕事を続けられるような環境をつくる、その政治の責任を果たすことを強く求めて、質問を終わります。