歯科技工管理学研究

歯科技工管理学研究ブログ
歯科技工士・岩澤 毅

「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告

2010年12月24日 | 判例・通知・他
「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針」(医療広告ガイドライン)に関するQ&A(事例集)
平成19年9月19日作成
(平成20年3月14日一部追加)
(平成22年2月19日一部追加)
(平成22年12月24日一部追加)



※Q&Aは、紙による広告に限らず、映像・音声等による広告も対象となります。
Q1 広告の対象範囲(ガイドライン第2部関係)

Q2 広告可能な事項(ガイドライン第3部関係)

Q3 禁止される広告(ガイドライン第4部関係)

Q4 相談・指導等の方法(ガイドライン第5部関係)

Q5 その他

【Q1 広告の対象範囲(ガイドライン第2部関係)】
Q1-1 新聞や雑誌の記事の引用は、一切できないのでしょうか。
A1-1 当該記事等に記載された内容が、医療法やガイドラインを遵守した広告が認められるものであれば、医療機関の広告に新聞や雑誌の記事等を引用又は掲載することは可能です。

Q1-2 新聞や雑誌の記事の引用として、例えば、雑誌に掲載されていた「日本が誇る50病院の一覧」をそのまま、他の医療機関名も含めて掲載すれば、広告物に記載可能でしょうか。
A1-2 医療機関の広告に新聞や雑誌の記事等を引用又は掲載した場合、当該記事等の記述は、医療法やガイドラインの適用を受けます。例示の雑誌に掲載されていた「日本が誇る50病院の一覧」等については、他の医療機関名も含めてそのまま掲載したとしても、雑誌社等が評価した結果は、医療法やガイドラインで示している広告が可能な事項に該当せず、また、掲載されていない医療機関よりも優れた旨を示す比較広告になることから、医療機関の広告物に記載することはできません。

Q1-3 キャッチコピーや院長等のあいさつ文を広告物に掲載することは可能でしょうか。
A1-3 医療法やガイドラインで認められた広告が可能な事項(「開院○周年」等)や医療とは直接関係がない表現(「はじめまして」等)を使用したキャッチコピーやあいさつ文であれば、広告物に掲載することは差し支えありません。

(広告可能な例)

・ 「休日・夜間でも来院下さい」

・ 当院は、おかげさまで開院から20年を迎えることができました。これからも、当院のスタッフ一同努力しますので、よろしくお願いします。(病院長;○○ ○○)

Q1-4 インターネット上のバナー広告は、ガイドラインで広告規制の対象であるとされてますが、バナー広告は禁止されるのでしょうか。
A1-4 医療法やガイドラインで認められた広告が可能な事項であれば、バナー広告は可能です。例えば、以下のようなバナー広告をインターネット上に掲載し、当該医療機関のホームページにリンクを張ることは、差し支えありません。

○○病院(所在地○○県○○市) ○○駅徒歩5分
内科、小児科、外科、整形外科 詳細は、当院ホームページへ
病院の
写  真


Q1-5 新聞や雑誌の「記事」は、通常は、患者の受診等を誘引する意図(誘因性)がないため、広告に該当しないとされていますが、広告に該当する「記事風広告」とはどのようなものでしょうか。
A1-5 新聞や雑誌等に掲載された治療方法等に関する記事であっても、医療機関が広告料等の費用を負担する等の便宜を図って記事の掲載を依頼することにより患者等を誘引するような場合は、「誘因性」が認められ、いわゆる「記事風広告」として広告に該当します。したがって、この場合は医療広告ガイドラインを遵守する必要があります。

Q1-6 雑誌の同一紙面上の掲載物のうち、上段が治療法等に関する記事で、下段が当該治療等を実施している医療機関の広告の場合、上段と下段は異なる掲載物であるとして、上段の記事は広告に該当しないと考えてもよいのでしょうか。
A1-6 上段・下段に分離されているとの構成上の理由により、上段の記事が広告に該当しないとは判断できません。例えば、当該医療機関が費用を負担する等の便宜を図って上段の記事の掲載を依頼することにより患者等を誘引するような場合は、上段の記事についても「誘因性」が認められ、いわゆる「記事風広告」として広告に該当します。したがって、この場合は医療広告ガイドラインを遵守する必要があります。

Q1-7 広告のチラシ等に印刷されているQRコードを読み込むことで表示されるホームページ等は、広告に該当するのでしょうか。
A1-7 QRコードを読み込むことで表示されるホームページ等は、当該医療機関の情報を得ようとの目的を有する者が、当該QRコードを読み込ませることで閲覧するものであり、インターネット上のホームページと同様に情報提供や広報として取り扱い、原則として広告とはみなさないこととなります。なお、そのような場合でも、他法令の規制の適用を受けることがありますので、他法令及び関連ガイドラインを遵守する必要があります。

Q1-8 法第42条第1項各号(第3号を除く)に掲げる業務(以下「医療法人の附帯業務」)を専ら行うための施設について、当該施設を一般公開している場合、当該施設単独の広告を行うことは可能でしょうか。また、その際には医療広告ガイドラインに従う必要があるのでしょうか。
A1-8 医療機関の広告として医療法人の附帯業務について掲載するものではなく、当該附帯業務を専ら行うための施設単独の広告については、医療広告には該当しないため、医療広告ガイドラインは適用されません。なお、そのような場合でも、他法令の規制の適用を受けることがありますので、他法令及び関連ガイドラインを遵守する必要があります。

Q1-9 医療機関の敷地内において、医療に関係がなく、当該医療機関と関連性のないものとして区分され、患者の受診を誘引する意図が認められない事項について、単独で掲示することは可能でしょうか。
A1-9 このような場合は、医療広告に該当しないため、掲示することが可能です。なお、他法令の規制の適用を受けることがありますので、他法令及び関連ガイドラインを遵守する必要があります。

Q1-10 フリーペーパーに掲載された医療機関等の広告も医療法の広告規制を受けるのでしょうか。
A1-10 医療法の広告規制の対象となります。

Q1-11 病院の一部門の名称を「○○センター」(透析センター、リハビリセンター等)として院内に掲示することは可能でしょうか。
A1-11 病院の院内掲示であれば、「透析センター」等と掲示することは可能です(広告については、Q2-23参照。)。

Q1-12 複数の医療機関を紹介するパンフレットを、各医療機関の院内で配布する場合、当該パンフレットは広告規制の対象となりますか。
A1-12 当該パンフレットに記載された内容が、「誘因性」、「特定性」及び「認知性」を有するものと判断される場合には、医療法による広告規制の対象になります。

【Q2 広告可能な事項(ガイドライン第3部関係)】
Q2-1 「小児科医」や「外科医」といった表現は広告可能でしょうか。(法第6条の5第1項第7号、広告告示第1条第1号関係)
A2-1 専門医と誤認を与える表現であり、広告は認められません。ただし、「医師の氏名(外科)」、「小児科の担当医」のように所属の診療科(広告可能な診療科名に限る。)を記載することは差し支えありません。

Q2-2 いわゆる内覧会の実施に関する事項は、広告可能でしょうか。(法第6条の5第1項第8号関係)
A2-2 開院前の医療機関の住民向けの説明会(いわゆる内覧会)の実施に関する事項については、「病院又は診療所の管理又は運営に関する事項」として、広告可能です。

Q2-3 提供する医療の内容として、「2週間で90%の患者で効果がみられます。」のような表現は広告可能でしょうか。(法第6条の5第1項第11号関係)
A2-3 治療の効果に関する表現は広告できません。治療効果については、個々の患者の状態等により当然にその結果は異なるものであり、効果について誤認を与えるおそれがあることから、広告可能な事項とはなっておりません。治療内容とその効果については、実際の医師又は歯科医師の診断に基づいて、個々の患者の病状に応じて、説明するべき事項と考えます。

なお、治療結果分析を行っている旨及び当該分析の結果を提供している旨については、広告可能です。また、患者等からの申し出に応じて、死亡率や術後生存率等の治療結果成績を説明することは、差し支えありません。

Q2-4 歯科用インプラントによる治療については、広告可能でしょうか。(法第6条の5第1項第11号、広告告示第2条第5号関係)
A2-4 「自由診療のうち薬事法の承認又は認証を得た医療機器を用いる検査、手術、その他の治療の方法」として、我が国の薬事法上の医療機器として承認されたインプラントを使用する治療の場合には、公的医療保険が適用されない旨と治療に掛かる標準的な費用が併記されていれば、広告可能です。

なお、歯科医師の個人輸入により入手したインプラントによる治療については、広告できません。

Q2-5 「健康診査の実施」として、「脳ドック」は、広告可能でしょうか。(法第6条の5第1項第13号、広告告示第4条第6号関係)
A2-5 いわゆる「脳ドック」として、無症候の人を対象にMRI、MRAによる画像検査を主検査とする一連の検査により、無症候あるいは未発症の脳および脳血管疾患あるいはその危険因子を発見し、それらの発症あるいは進行を防止することを目的とする検査については、広告可能です。

なお、検査に使用するMRI等の画像診断装置は、いずれも我が国の薬事法の承認又は認証を得た医療機器である必要があります。

Q2-6 医師主導治験や医療機器の治験に関することは、広告可能でしょうか。(法第6条の5第1項第13号、広告告示第4条第9号関係)
A2-6 薬事法上の治験に関する事項として、医師主導治験や医療機器の治験に関することも広告可能です。

なお、治験薬と同様に、治験用医療機器の名称も国内外での販売名(商品名)を除き、広告して差し支えありません。また、治験用医療機器の写真の掲載も、通常の治療や検査に使用するのではなく、治験用であることが明らかになっていれば、差し支えありません。

Q2-7 先進医療としての届出をしていない医療機関が、他の医療機関が実施する先進医療と同一の治療法を自由診療として実施する場合、「評価療養と同一の検査、手術、その他の治療の方法」として広告可能でしょうか。(法第6条の5第1項第11号、広告告示第2条第4号関係)
A2-7 先進医療を実施する医療機関として医療技術ごとに設定された一定の施設基準(以下「施設基準」という。)を満たしていない医療機関において実施される当該医療技術については、「評価療養と同一の検査、手術、その他の治療の方法」として広告はできません。

一方、施設基準を事実上満たす医療機関において実施される当該施設基準に係る医療技術については、「評価療養と同一の検査、手術、その他の治療の方法」として広告可能ですが、施設基準を満たしているかどうかについては、広告を行うに際し、関連告示等に照らして、十分な確認を行うことなどにより、確実を期す必要があります。

Q2-8 平成20年4月からの制度改正により、新しく広告することが認められなくなった診療科名(例えば胃腸科、こう門科など)について、制度改正前(平成20年3月31日以前)から紙面や看板上に診療科名を広告していましたが、内容はそのままに広告掲載の契約を単に更新しようと考えています。この場合、新たに更新契約を締結することになりますが、引き続き広告することは可能でしょうか。(法第6条の5第1項第2号関係)
A2-8 平成20年3月31日以前から内容を変更することなく「更新のみを目的として契約」を行う場合は、広告の変更には該当しないため、引き続き広告することが可能です。

しかし、平成20年4月1日以後に新しい診療科名に変えるために、紙面、看板だけでなく、診療科名変更の届出も行った場合は、従前の診療科名を引き続き広告することはできず、新しい診療科名を広告することになります。

Q2-9 広告可能な診療科名として「耳鼻いんこう科」が認められていますが、「耳鼻咽喉科」と漢字で表記することは可能でしょうか。(法第6条の5第1項第2号関係)
A2-9 可能です。

Q2-10 学会の認定する研修施設である旨は広告可能でしょうか。(法第6条の5第1項第5号関係)
A2-10 法令の規定に基づき一定の医療を担うものとして指定を受けたものには該当しないため、広告することはできません。

Q2-11 据え置き型医療機器等の機械器具の配置状況について広告する際に、併せてメーカー名を広告することは可能でしょうか。(法第6条の5第1項第6号関係)
A2-11 可能です。ただし、薬事法において、承認又は認証を得ていない医療機器(以下、「未承認医療機器」という。)については、その販売・授与等にかかる広告が禁じられている他、承認又は認証されている医療機器であっても、昭和55年10月9日薬発第1339号厚生省薬務局長通知の別紙「医薬品等適正広告基準」により、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告は行わないものとされていることに鑑み、医療機器が特定可能となる販売名や型式番号については、広告はできません。

Q2-12 広告に従業者の写真を掲載することは可能でしょうか。(法第6条の5第1項第6号及び第7号、広告告示第1条第1号関係)
A2-12 法又は広告告示により広告が可能とされた事項については、文字だけでなく、写真、イラスト、映像、音声等による表現が可能です。

例えば、以下のような広告は可能です。

○ 従業者の人員配置として、病棟又は診療科の従業者の人数、配置状況として写真を掲載すること。

○ 医療従事者に関する事項として広告可能な氏名、年齢、性別、役職及び略歴を写真とともに掲載すること。

Q2-13 広告に診療風景等の写真を掲載することは可能でしょうか。(法第6条の5第1項第6号、第8号及び第11号関係)
A2-13 法又は広告告示により広告が可能とされた事項については、文字だけでなく、写真、イラスト、映像、音声等による表現が可能です。

例えば、以下のような広告は可能です。

○ 医療機関の構造設備に関する事項として、病室、談話室の設備の写真、据え置き型医療機器の写真を掲載すること。

○ 医療機関の管理又は運営に関する事項として、セカンドオピニオンの実施、症例検討会の実施等の写真を掲載すること。

○ 医療機関において提供される医療の内容に関する事項として、検査、手術等を含む診療風景の写真を掲載すること。なお、診療風景であっても、手術前、手術後のレントゲン写真等を含む写真を掲載することは、治療の効果に関する表現に該当するため広告できません。

Q2-14 医療従事者の略歴として、学会の役員又は会員である旨は広告可能でしょうか。(法第6条の5第1項第7号、広告告示第1条第1号関係)
A2-14 略歴として記載する事項は、社会的な評価を受けている客観的事実であってその正否について容易に確認できるものであることが必要です。例えば、地域医師会等での役職、学会の役員である旨については、現任であれば広告は可能ですが、当該法人又は当該学会のホームページ上等でその活動内容や役員名簿が公開されていることが必要です。また、学会の役員ではなく、単に会員である旨は、原則として広告できません。

なお、略歴とは、特定の経歴を特に強調するものではなく、一連の履歴を総合的に記載したものになります。


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