○高田(浩)政府委員 私が申し上げましたのは、私にそういう考えがあったのであるということではなくて、参議院においてこの修正が提案された趣旨は、私が審議の状況を聞いておりましたところでは、そういうふうに判断をいたしましたという意味で、御参考のために申し上げたわけであります。
○中村委員長 それでは永山忠則君。
○永山委員 ただいま文部政務次官は、原案通りでないと支障を来たすということを言われたのでありますが、これは内閣の意見として取り扱ってよいのでありますか。厚生省の方の事務当局及び次官の方では、修正されたのでも差しつかえないのだというように言われておりますので、そこを一つ内閣として統一していただきたい。修正では困るのか困るということを具体的に言えば、現在の東京医科歯科大学の附属の方に行っておる人が、受験資格がなくなるから困るのだというのか、その点一つはっきりした政府としての答弁を願いたいと思います。
○寺本政府委員 原案は内閣提出の法律案でありまして、原案を出すことについては、政府の意見は統一しておるわけであります。参議院で修正を受けましたあと、これでもがまんするかしないかということについては、文部省として反対の意見を持っております。これじゃ困るという意見を持っておるのでありますが、厚生省では、先ほどからの御答弁では、これでもよいという意見のようでありますので、これは内閣としてあらためて意見の統一を要する事項であると考えます。
○永山委員 それでは、一つ内閣として意見を統一して御通知していただきたいと思います。現在東京医科歯科大学の附属で技工士養成をやっておるのでありますが、それが三カ年ありまして、本年すでに卒業いたしております。これが受験資格を得られるかどうかという問題について、厚生省の事務当局では、各種学校の養成所に指定していけるのだというような考え方で申しておりますけれども、実際上この法律で「文部大臣の指定した歯科技工士学校を卒業した者」という分を削除してしまえば、それは事実上取り扱うことができぬのだ。またそのねらいは、やはりそういうような指定をせぬというようなねらいのもとに実質的に修正されたのだというふうに考えられるのでありますから、事実上現在養成を受けておる人の直接死命を制する重大問題がそこにございますので、基本的理論的問題もございますけれども、現実の問題としても重大でございますから、これを直ちに統一していただき、そしてわれわれも態度をきめなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。
○紅露政府委員 まだ御質問も続く様子もございますが、先ほどの点で、厚生省の立場を申し上げたいと思うのであります。
これは繰り返して申し上げる必要はないことでございますが、参議院の修正でこのようになったわけでございまして、私どもは、その修正の点に、何でもかんでも固執するというような態度ではございません。願うところは原案を通していただきたい。修正についてどういう考えかというと、やはり修正者の気持をもそんたくいたしまして、事務当局からもいろいろ申されておるが、私どもは私どもの立場で、ほんとうにまっすぐ表面だけのことを申し上げておるのでありまして、受けて立った修正でございますので、この修正に何でもかんでも固執しようというような態度はとっておりません。しかし、これから閣議にかけて思想統一をして出直すということでございますと、これは時間等の関係もございまして、提案者としては少々困惑するわけでございまして、この点は文部政務次官ともいましばらくお打ち合せをしたいと思いますので、その点皆様の御審議におまかせして見ていただくか、あるいは閣議に持ち込むかという点、しばらくお待ちを願いたいと存じます。
○寺本政府委員 私は、先ほどから委員の方が厚生省に尋ねられたのは、厚生省の意見を求められたものだと思っておりました。ところが、ただいま厚生政務次官からの話によると、先ほどからの御答弁は、参議院の修正者の意思をくんで答弁されておるのだそうですから、政府の立場ではないというふうに了解してよかろうと思いますので、さよう御了承願います。
○永山委員 次官、ただいまの点で、要するに、政府としてはこの修正ではいけないのだということに思想が統一したということでございますか、そこをはっきり……。
○紅露政府委員 重ねてお願いを申し上げますが、何かこそこそと私語もあるようでございますけれども、提案者といたしましては、あくまでも原案の通過が当初からの願いでございますので、御審議にまかせまして、どうぞ一つ原案が――あるいはその御審議の思惑によりまして、修正を認められても、一向に厚生省としては差しつかえないのでございまして、皆様の御審議におまかせいたしまして、すみやかな通過をお願いしたいと思います。
○永山委員 それでは事務当局は、文部大臣の指定を削られても、厚生大臣の指定で、各種学校を養成所にしてやれるのだという考え方を事務当局は言わておるのですが、それは参議院の意見なんですか、事務当局の意見なんですか。
○高田(浩)政府委員 私どもの意見でございます。なお念のために申し上げますが、参議院において支障ありやなしやと聞かれた場合において、私どもは、事務的な支障はございませんとお答えをいたしました。
○永山委員 それでは、やはり思想統一ができていないのでありまして、文部省の見解は、各種学校を養成所として拡大解釈していくことにはならぬのだという御意見です。そうすると、やはり思想が一致していないということになります。
○寺本政府委員 政府の意見は統一していることは、先ほどからお聞きの通りでございます。厚生政務次官が、政府としては原案の成立を希望する、参議院の修正でなく、原案の成立を希望するということを言うておられます。ただいま永山委員は、事務当局の御意見をお聞きでございますが、政府の意見をお聞き取りの上で御審議いただきますようお願い申し上げます。
○永山委員 それでは政府としては、この文部大臣の指定したという分が削られますれば、現在の医科歯科大学の附属は指定ができないのだということに、政府としてはなるという解釈にしてよろしゅうございますか。いわゆる事務当局は、各種学校を養成所にして、厚生大臣で医科歯科大学の分も指定しようと思えばできるのだという御意見を厚生省は言われ、文部省は、それはできないのだ、こうおっしゃっているのです。事務当局は対立しているのですが、政府としては具体的な問題として、各種学校を指定することは困難だ、第一号を削られれば、結局東京医科歯科大学の附属でやっている技工士、受験資格の学校には認められぬということになるのだというのか、その点をはっきりしていただきたいのです。
○寺本政府委員 文部省では、政府としても文部事務当局も意見の食い違いはございません。その点をまず御了承いただきたいと存じます。文部省は、まず学校は学校、養成所は養成所という建前をとっておりますので、学校が削除された以上は、各種学校であっても養成所ではないという解釈をとっております。
○永山委員 ただいまのお言葉は、政府としての御答弁として聞きましてよろしゅうございますか、厚生政務次官……。
○中村委員長 厚生政務次官の答弁を求められておりますから、政務次官答弁して下さい。
○紅露政府委員 ただいまのお尋ねの点でございますが、これは法制局とも十分打ち合せてございまして、厚生大臣の指定でいける、かように事務当局は申しているのでございます。しかし、これは先刻来申しておりますように、厚生省としては修正を受けて立ったのでございまして、原案がこうした問題のために時間切れになってしまうことを非常におそれるのでございます。ですから、私どもの間にも、少しも不統一の点はございませんが、しかしこの修正で困りはしないかと言われれば、厚生省としては、非常に好ましいのだ、こう解釈しているのです。一元化するということの効果はあるわけですから、事務的の支障はもちろんありませんが、実際において、先ほども申し上げました通り、これは非常にデリケートな関係に、歯科医師と技工士というものが置かれているという特殊な関係、特殊な問題として、そうしてこれの効果というものはあるということで、それならやれるかといえば、やれます、差しつかえないと言うただけのことでございますので、これは決して食い違っているわけでもなんでもないのでございます。
○中村(英)委員 大体この連合審査会が持たれ、さらに今政府の御答弁を聞いておりますと、事務生局と政府と意見が違う。事務当局と政府と意見が違うというべらぼうな話はない。局はあくまでも政府です。こういうべらぼうの答弁が出ることは、私はこの問題の持っている背景なりこれによって起る結果というものを、具体的に皆さんが御存じないから、こういうあつかましいこと、出しゃばったことを言うが、実は私、歯医者なんです。そういう点で、私少し具体的に質問申し上げまして、この法案のよって来たるところを御理解願いたいと思いますし、さらにそのことによって、政府の意見を御統一願いたいと思っております。
御承知のように、厚生政務次官が言われましたように、歯科の技工の学校の歴史はきわめて新しい。新しいが、技工そのものの歴史は古い。さらに御承知のように、歯科医が普通医の中から分離発展してきた経過の中には、非常に長い間の困難な道を歩んで、六十年、七十年、百年かかりまして、やっと歯科医が技工を中心として今日まで発達してきたのです。そういう発達の経過中で、二十年くらい前にお茶の水の官立学校ができた。そこで、その官立学校に今いわれる各種学校と称される技工学校がある。ほかの学校にはない。こういう状態の中で、この問題が論議されているのです。そこで私お伺いしますが、お茶の水にある技工学校は、一年間十五人ずつ四十五名の学生を入れておるのです。これは国立学校設置法第五条による規定に基いて実施されておるのです。これの解釈については、いろいろありまするし、さらに辻原議員が申されたような疑問も、文教委員の中にはわいてくると思うのです。たとえば商船学校の問題は、運輸省と文部省で管割を争っておる、こういう議論がなぜわいてくるかというと、この問題が持っておる背景なり、結果を御了解願いたいのです。なぜこれが問題になるかというと、つまり厚生次官の言われた、これによって起る効果の問題について御了解が願いたい。なぜかというと、商船学校なり何なりは、他に対立するものがない。看護婦やレントゲンもそうです。幾ら看護婦学校が充実し発展しても、みずから医者と同じような仕事をする状態にはなり得ない。歯科技工は、歯科医発展の歴史から見ても、この学校が法律的に扱いにくい、厚生省の指定は事務上非常にむずかしい、宙ぶらりんになるという文部省の議論が、かりに百歩譲って正しいとしても、それでこの東京医科歯科大学の四十五名の学校と同じように、他の私立学校にも認めると六つできます。すると一年十五名卒業するものが、その学校だけでも百五名卒業するのだ。すると、今三万対六千の比率である技工士と歯科医の比率が、百五名作ることで――学校である限り五年、十年、二十年の間にはどんどん拡充される、数も二十名が三十名になるでしょう。こんなものは法律では取り締れない。いつか三十年先、五十年先には、技工士みずからが、自分たちも歯科医でなくても技工ができるという時期がくる。つまり私どもの悩んだ医薬分業と同じような事態が予見されるのです。その危険があること、これが厚生次官の言われる一元化の効果に関連があると私は思う。かりに一歩譲っての話ですが、この学校について、厚生省、文部省の両方指定する場合には、そういうふうになることが望ましくないという事態が起り得る。商船学校の場合にはそういうことはない、看護婦学校の場合にはそういうことはないから、この問題は辻原君が非常に心配されるように、このケースがどこにも拡がっていくと、そういうことになるから困るじゃないかということは、問題になり得ないと私は思います。これを一つ了解してもらいたいのが一つ。
さらに、そういう点で、私はこの法律がいろいろな経過を絡まして、政府原案の文部省と厚生省と両方で指定するという原案を、これは参議院で修正されたのです。修正された経過の中に、十分文部省なりあるいは文教委員会の人の了解を得ないままになったから、こういう事態の問題が起った。これはそのときにおける現象の問題である。歴史的に見ると、この問題はその現象の小さい問題だと思う。そういうものは一つの現象にすぎない。扱いが下手だとか、そういうことにすぎない。やはり大きな本筋は、歯科医業が大衆に迷惑かけずに、完全な発達をし得るかどうかということが、この問題の本質でなければならない。そういう点から考えて、私は法律家でないからわかりませんが、かりにこの修正案が通るとしたら、文部省が指定になって受験資格だけはあろうと思う。そうすると、法律的に扱いが非常にむずかしくなる。そういう扱いの方は、文部省と厚生省の方で、だめを詰めてもらわなければならぬと思うが、その点だけをだめを詰めたらいけると思う。その点については、厚生次官が言われたこの一元化の効果を、つまり将来技工と歯科が分離しない事態が起り得るものであると思う。そういう点で、一つ御所見をお伺いしたいわけです。
○稲田政府委員 ただいまの御質問は、文部大臣が指定いたす場合におきましては、この養成の数につきまして制約がつかない。やがて非常に多量の歯科技工士を出すであろうという御見解でありますけれども、文部省といえども、この養成機関がどの程度であるべきかというような点につきましては、十分厚生省とも密接な連絡を取っていたしまするし、やはりこの歯科医師それ自身が、文部大臣の認可いたしまする大学において養成せられて、国家試験によって資格を得る。それと何ら異なることなき体系において出ますことについては、支障がないと信じております。
○中村(英)委員 なるほど形式的にはそうです。形式的には大学令による歯科大学ができておる。そうなりますと、今のお茶の水に技工学校がある。それを他の私立学校にも――当然これは六つできると思うのです。これはとめる理由がない、また作らなければいかぬ。そうすると、学校である限りは、これは何年か先、今あなたがそう答弁なさっても、何年か先には、学校である限りは拡充してくることは当然のことであると思う。拡充してくると、歯科医の歴史的な発展に徴して、当然これは看護婦とは違いますから、技工士みずからが、歯科医でなくても自分たちにもできるんだという事態がくる危険がある。このことは御了解願えると思う。こういう点において、全然そういうふうなことが将来予見されない、こうおっしゃるならば話は別ですが、そういう危険はあり得るものと私は思うのです。
○稲田政府委員 その点は、厚生省が指定せられても同様のことだと思います。文部省が指定いたしまする場合にも、厚生省と緊密に連絡いたします。
○中村(英)委員 それでは、いろいろ質問もございますが、ここら辺で散会されて話し合ってやったらいいと思います。
○中村委員長 それでは社会労働委員会・文教委員会連合審査会は散会いたします。
午前十時二十八分散会
○中村委員長 それでは永山忠則君。
○永山委員 ただいま文部政務次官は、原案通りでないと支障を来たすということを言われたのでありますが、これは内閣の意見として取り扱ってよいのでありますか。厚生省の方の事務当局及び次官の方では、修正されたのでも差しつかえないのだというように言われておりますので、そこを一つ内閣として統一していただきたい。修正では困るのか困るということを具体的に言えば、現在の東京医科歯科大学の附属の方に行っておる人が、受験資格がなくなるから困るのだというのか、その点一つはっきりした政府としての答弁を願いたいと思います。
○寺本政府委員 原案は内閣提出の法律案でありまして、原案を出すことについては、政府の意見は統一しておるわけであります。参議院で修正を受けましたあと、これでもがまんするかしないかということについては、文部省として反対の意見を持っております。これじゃ困るという意見を持っておるのでありますが、厚生省では、先ほどからの御答弁では、これでもよいという意見のようでありますので、これは内閣としてあらためて意見の統一を要する事項であると考えます。
○永山委員 それでは、一つ内閣として意見を統一して御通知していただきたいと思います。現在東京医科歯科大学の附属で技工士養成をやっておるのでありますが、それが三カ年ありまして、本年すでに卒業いたしております。これが受験資格を得られるかどうかという問題について、厚生省の事務当局では、各種学校の養成所に指定していけるのだというような考え方で申しておりますけれども、実際上この法律で「文部大臣の指定した歯科技工士学校を卒業した者」という分を削除してしまえば、それは事実上取り扱うことができぬのだ。またそのねらいは、やはりそういうような指定をせぬというようなねらいのもとに実質的に修正されたのだというふうに考えられるのでありますから、事実上現在養成を受けておる人の直接死命を制する重大問題がそこにございますので、基本的理論的問題もございますけれども、現実の問題としても重大でございますから、これを直ちに統一していただき、そしてわれわれも態度をきめなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。
○紅露政府委員 まだ御質問も続く様子もございますが、先ほどの点で、厚生省の立場を申し上げたいと思うのであります。
これは繰り返して申し上げる必要はないことでございますが、参議院の修正でこのようになったわけでございまして、私どもは、その修正の点に、何でもかんでも固執するというような態度ではございません。願うところは原案を通していただきたい。修正についてどういう考えかというと、やはり修正者の気持をもそんたくいたしまして、事務当局からもいろいろ申されておるが、私どもは私どもの立場で、ほんとうにまっすぐ表面だけのことを申し上げておるのでありまして、受けて立った修正でございますので、この修正に何でもかんでも固執しようというような態度はとっておりません。しかし、これから閣議にかけて思想統一をして出直すということでございますと、これは時間等の関係もございまして、提案者としては少々困惑するわけでございまして、この点は文部政務次官ともいましばらくお打ち合せをしたいと思いますので、その点皆様の御審議におまかせして見ていただくか、あるいは閣議に持ち込むかという点、しばらくお待ちを願いたいと存じます。
○寺本政府委員 私は、先ほどから委員の方が厚生省に尋ねられたのは、厚生省の意見を求められたものだと思っておりました。ところが、ただいま厚生政務次官からの話によると、先ほどからの御答弁は、参議院の修正者の意思をくんで答弁されておるのだそうですから、政府の立場ではないというふうに了解してよかろうと思いますので、さよう御了承願います。
○永山委員 次官、ただいまの点で、要するに、政府としてはこの修正ではいけないのだということに思想が統一したということでございますか、そこをはっきり……。
○紅露政府委員 重ねてお願いを申し上げますが、何かこそこそと私語もあるようでございますけれども、提案者といたしましては、あくまでも原案の通過が当初からの願いでございますので、御審議にまかせまして、どうぞ一つ原案が――あるいはその御審議の思惑によりまして、修正を認められても、一向に厚生省としては差しつかえないのでございまして、皆様の御審議におまかせいたしまして、すみやかな通過をお願いしたいと思います。
○永山委員 それでは事務当局は、文部大臣の指定を削られても、厚生大臣の指定で、各種学校を養成所にしてやれるのだという考え方を事務当局は言わておるのですが、それは参議院の意見なんですか、事務当局の意見なんですか。
○高田(浩)政府委員 私どもの意見でございます。なお念のために申し上げますが、参議院において支障ありやなしやと聞かれた場合において、私どもは、事務的な支障はございませんとお答えをいたしました。
○永山委員 それでは、やはり思想統一ができていないのでありまして、文部省の見解は、各種学校を養成所として拡大解釈していくことにはならぬのだという御意見です。そうすると、やはり思想が一致していないということになります。
○寺本政府委員 政府の意見は統一していることは、先ほどからお聞きの通りでございます。厚生政務次官が、政府としては原案の成立を希望する、参議院の修正でなく、原案の成立を希望するということを言うておられます。ただいま永山委員は、事務当局の御意見をお聞きでございますが、政府の意見をお聞き取りの上で御審議いただきますようお願い申し上げます。
○永山委員 それでは政府としては、この文部大臣の指定したという分が削られますれば、現在の医科歯科大学の附属は指定ができないのだということに、政府としてはなるという解釈にしてよろしゅうございますか。いわゆる事務当局は、各種学校を養成所にして、厚生大臣で医科歯科大学の分も指定しようと思えばできるのだという御意見を厚生省は言われ、文部省は、それはできないのだ、こうおっしゃっているのです。事務当局は対立しているのですが、政府としては具体的な問題として、各種学校を指定することは困難だ、第一号を削られれば、結局東京医科歯科大学の附属でやっている技工士、受験資格の学校には認められぬということになるのだというのか、その点をはっきりしていただきたいのです。
○寺本政府委員 文部省では、政府としても文部事務当局も意見の食い違いはございません。その点をまず御了承いただきたいと存じます。文部省は、まず学校は学校、養成所は養成所という建前をとっておりますので、学校が削除された以上は、各種学校であっても養成所ではないという解釈をとっております。
○永山委員 ただいまのお言葉は、政府としての御答弁として聞きましてよろしゅうございますか、厚生政務次官……。
○中村委員長 厚生政務次官の答弁を求められておりますから、政務次官答弁して下さい。
○紅露政府委員 ただいまのお尋ねの点でございますが、これは法制局とも十分打ち合せてございまして、厚生大臣の指定でいける、かように事務当局は申しているのでございます。しかし、これは先刻来申しておりますように、厚生省としては修正を受けて立ったのでございまして、原案がこうした問題のために時間切れになってしまうことを非常におそれるのでございます。ですから、私どもの間にも、少しも不統一の点はございませんが、しかしこの修正で困りはしないかと言われれば、厚生省としては、非常に好ましいのだ、こう解釈しているのです。一元化するということの効果はあるわけですから、事務的の支障はもちろんありませんが、実際において、先ほども申し上げました通り、これは非常にデリケートな関係に、歯科医師と技工士というものが置かれているという特殊な関係、特殊な問題として、そうしてこれの効果というものはあるということで、それならやれるかといえば、やれます、差しつかえないと言うただけのことでございますので、これは決して食い違っているわけでもなんでもないのでございます。
○中村(英)委員 大体この連合審査会が持たれ、さらに今政府の御答弁を聞いておりますと、事務生局と政府と意見が違う。事務当局と政府と意見が違うというべらぼうな話はない。局はあくまでも政府です。こういうべらぼうの答弁が出ることは、私はこの問題の持っている背景なりこれによって起る結果というものを、具体的に皆さんが御存じないから、こういうあつかましいこと、出しゃばったことを言うが、実は私、歯医者なんです。そういう点で、私少し具体的に質問申し上げまして、この法案のよって来たるところを御理解願いたいと思いますし、さらにそのことによって、政府の意見を御統一願いたいと思っております。
御承知のように、厚生政務次官が言われましたように、歯科の技工の学校の歴史はきわめて新しい。新しいが、技工そのものの歴史は古い。さらに御承知のように、歯科医が普通医の中から分離発展してきた経過の中には、非常に長い間の困難な道を歩んで、六十年、七十年、百年かかりまして、やっと歯科医が技工を中心として今日まで発達してきたのです。そういう発達の経過中で、二十年くらい前にお茶の水の官立学校ができた。そこで、その官立学校に今いわれる各種学校と称される技工学校がある。ほかの学校にはない。こういう状態の中で、この問題が論議されているのです。そこで私お伺いしますが、お茶の水にある技工学校は、一年間十五人ずつ四十五名の学生を入れておるのです。これは国立学校設置法第五条による規定に基いて実施されておるのです。これの解釈については、いろいろありまするし、さらに辻原議員が申されたような疑問も、文教委員の中にはわいてくると思うのです。たとえば商船学校の問題は、運輸省と文部省で管割を争っておる、こういう議論がなぜわいてくるかというと、この問題が持っておる背景なり、結果を御了解願いたいのです。なぜこれが問題になるかというと、つまり厚生次官の言われた、これによって起る効果の問題について御了解が願いたい。なぜかというと、商船学校なり何なりは、他に対立するものがない。看護婦やレントゲンもそうです。幾ら看護婦学校が充実し発展しても、みずから医者と同じような仕事をする状態にはなり得ない。歯科技工は、歯科医発展の歴史から見ても、この学校が法律的に扱いにくい、厚生省の指定は事務上非常にむずかしい、宙ぶらりんになるという文部省の議論が、かりに百歩譲って正しいとしても、それでこの東京医科歯科大学の四十五名の学校と同じように、他の私立学校にも認めると六つできます。すると一年十五名卒業するものが、その学校だけでも百五名卒業するのだ。すると、今三万対六千の比率である技工士と歯科医の比率が、百五名作ることで――学校である限り五年、十年、二十年の間にはどんどん拡充される、数も二十名が三十名になるでしょう。こんなものは法律では取り締れない。いつか三十年先、五十年先には、技工士みずからが、自分たちも歯科医でなくても技工ができるという時期がくる。つまり私どもの悩んだ医薬分業と同じような事態が予見されるのです。その危険があること、これが厚生次官の言われる一元化の効果に関連があると私は思う。かりに一歩譲っての話ですが、この学校について、厚生省、文部省の両方指定する場合には、そういうふうになることが望ましくないという事態が起り得る。商船学校の場合にはそういうことはない、看護婦学校の場合にはそういうことはないから、この問題は辻原君が非常に心配されるように、このケースがどこにも拡がっていくと、そういうことになるから困るじゃないかということは、問題になり得ないと私は思います。これを一つ了解してもらいたいのが一つ。
さらに、そういう点で、私はこの法律がいろいろな経過を絡まして、政府原案の文部省と厚生省と両方で指定するという原案を、これは参議院で修正されたのです。修正された経過の中に、十分文部省なりあるいは文教委員会の人の了解を得ないままになったから、こういう事態の問題が起った。これはそのときにおける現象の問題である。歴史的に見ると、この問題はその現象の小さい問題だと思う。そういうものは一つの現象にすぎない。扱いが下手だとか、そういうことにすぎない。やはり大きな本筋は、歯科医業が大衆に迷惑かけずに、完全な発達をし得るかどうかということが、この問題の本質でなければならない。そういう点から考えて、私は法律家でないからわかりませんが、かりにこの修正案が通るとしたら、文部省が指定になって受験資格だけはあろうと思う。そうすると、法律的に扱いが非常にむずかしくなる。そういう扱いの方は、文部省と厚生省の方で、だめを詰めてもらわなければならぬと思うが、その点だけをだめを詰めたらいけると思う。その点については、厚生次官が言われたこの一元化の効果を、つまり将来技工と歯科が分離しない事態が起り得るものであると思う。そういう点で、一つ御所見をお伺いしたいわけです。
○稲田政府委員 ただいまの御質問は、文部大臣が指定いたす場合におきましては、この養成の数につきまして制約がつかない。やがて非常に多量の歯科技工士を出すであろうという御見解でありますけれども、文部省といえども、この養成機関がどの程度であるべきかというような点につきましては、十分厚生省とも密接な連絡を取っていたしまするし、やはりこの歯科医師それ自身が、文部大臣の認可いたしまする大学において養成せられて、国家試験によって資格を得る。それと何ら異なることなき体系において出ますことについては、支障がないと信じております。
○中村(英)委員 なるほど形式的にはそうです。形式的には大学令による歯科大学ができておる。そうなりますと、今のお茶の水に技工学校がある。それを他の私立学校にも――当然これは六つできると思うのです。これはとめる理由がない、また作らなければいかぬ。そうすると、学校である限りは、これは何年か先、今あなたがそう答弁なさっても、何年か先には、学校である限りは拡充してくることは当然のことであると思う。拡充してくると、歯科医の歴史的な発展に徴して、当然これは看護婦とは違いますから、技工士みずからが、歯科医でなくても自分たちにもできるんだという事態がくる危険がある。このことは御了解願えると思う。こういう点において、全然そういうふうなことが将来予見されない、こうおっしゃるならば話は別ですが、そういう危険はあり得るものと私は思うのです。
○稲田政府委員 その点は、厚生省が指定せられても同様のことだと思います。文部省が指定いたしまする場合にも、厚生省と緊密に連絡いたします。
○中村(英)委員 それでは、いろいろ質問もございますが、ここら辺で散会されて話し合ってやったらいいと思います。
○中村委員長 それでは社会労働委員会・文教委員会連合審査会は散会いたします。
午前十時二十八分散会