『日本歯技』2014年7月号「反射鏡」
○6月21日の第3回社員総会で選出され理事間の互選により生まれた新執行部は、その任期のスタートを切った。この執行部は、本会が2015年に迎える歯科技工(士)法制定・歯科技工士会創立60周年の記念すべき年の執行を担う。過去、本会は様々な時代状況の中でその節目を迎え、その任を担う執行部が時代に相応しい意味付けのもとに周年行事を執り行った。50周年は「半世紀」というキーワードで語られた。60周年は、東洋風に「還暦」がキーワードとなるだろうか、あるいは西洋風に「ダイヤモンド」となるだろうか。
○1955年は、保守合同による自由民主党の結党と左右に分裂していた日本社会党の再統一による二大政党制(55年体制)の成立の年であり、高度経済成長の始期とされる。様々な評価を生んだ「55年体制」も既に消滅し、約20年が経過した。この後の期間を表現する定着した表現はまだ生まれていないが、我々は否応なく今ここに生きている。
○歯科技工士は、世界史的にも稀な戦後の高度経済成長にも伴走しながら、国民皆保険制度による歯科需要の下支えをも基盤として、その歯科技工経済を形作ってきた。そして今、日本が直面する少子高齢化、人口減少社会の進行、とりわけ18歳人口の急激な減少は、大学をはじめとする教育施設経営に大きな地殻変動を及ぼしている。われわれが実感しやすい例としては、歯科技工士養成所への入学者の顕著な減少と言う形で姿を現している。
○日本社会の構造変化、日本経済の在り方の大きな変化の中で、本会は法制定・創立60周年を迎える。記念行事は、九州・福岡県での開催となる。本会と地元地域組織の担当者により様々な取り組みが立案され、進行していくこととなるだろう。世界でも稀な歯科技工士の教育と資格を定めた法律を持つ日本の歯科技工士として、かつ今を生きるものとして、次世代に何を残し伝え、更に何を付け加えるべきかを考える期間とし大いに意義のある時間を過ごしたい。