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歯科技工士・岩澤 毅

『日本歯技』2015年9月号巻頭言 継ぐ60年! 笑顔の未来 歯科技工士の貢献

2015年09月01日 | 基本・参考
『日本歯技』2015年9月号 巻頭言

継ぐ60年! 笑顔の未来 歯科技工士の貢献

 戦後70年、日本は戦争をすることなく平和を保ち、憲法第9条が守られてきた。国会ではこれからの日本国の安全保障をどうするのが審議されている。各都市において集会やデモなどが催され、60年安保闘争や70年安保闘争が思い起こされるものがある。国民の関心の深さか感じられる。

 歯科技工法(現歯科技工士法)制定運動は、戦後の廃墟と混乱の中から抜け出し、歯科医療に貢献する歯科技工の確立を訴え、国民の口腔保険衛生の普及発達進展に資するため歯科技工の法的確立は不可欠であるとの認識のもと出発した。昭和26年、日本歯科技工士会の源流が決議をあげ、運動を展開し、その成果として歯科技工法が昭和30年8月16日公布10月15日施行され、歯科技工士が歯科専門職種として認知された。

 それから60年後、幾多の変遷を経て本年10月17日、福岡市において「歯科技工士法制定および日本歯科技工士会創立60周年地域交流記念大会」が開催される。

 歯科技工の歴史は古く、それぞれの時代の中で技術を培い、引き継がれている。現存する木製義歯(黄楊の木)からは、江戸時代には一部の装具師が生業としていたことを知ることが出来る。近代歯科技工の幕開けは、明治時代の松岡万蔵らの歯科技工を専門職として高めた働きによる。

 現在では医学の進歩と少子高齢化が進む長寿社会の中で、健康な状態で自立して暮らすことができる健康寿命が目標とされる。歯冠修復および欠損補綴を中心とする咀嚼機能の回復が脳機能の活性化に繫がり、認知症の抑制、歩行機能の回復が望めるとして、歯科技工は国民に大きな期待を寄せられている。

 歯科技工法制定後、資格試験は都道府県知事により実施されていた。その後本会の働きかけにより、厚生大臣免許となった。本年4月、悲願であった歯科技工士国家試験の全国統一化がなり、60年の歳月を経て名実共に国家試験となり、60周年記念大会への大きな贈り物となった。

 「ローマは一日にしてならず」の言葉が有るように、歯科技工を生業とする多くの先人達の成果を受け継いだものが、今日の歯科技工の発達・発展の礎となっていることを知ることが出来る。次世代の者たちに、医療従事者として国民に貢献ができる歯科医療専門職を引き継ぐべく、責務を果たしていきたい。

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