歯科技工管理学研究

歯科技工管理学研究ブログ
歯科技工士・岩澤 毅

石井拓男 訪問歯科診療の現状と将来

2001年11月25日 | 基本・参考
特別基調講演

訪問歯科診療の現状と将来
東京歯科大学社会歯科学研究室
教授 石井拓男

歯科の往診は昭和36年の国民皆保険開始当初から保険点数表に明記され、制度として位置づけられていた。しかし、疾患と医療機関の需要バランスの大きな偏りから、殆ど歯科の往診点数の請求は無く、「歯科に往診無し」は国民の間に、そして歯科医師の中で常識化してしまった。
昭和40年代後半から、国は高齢化を視野におき、医療と福祉の両面で施策を立てることとなった。この制度新設の流れに歯科界は乗ることなく、国家的事業とは遠くかけ離れた所でベクトルの方向を異にして昭和の末期に向かうこととなった。その理由は上記の歯科に往診無しの実態がもたらしたものである。
老人保健法の新設の時から歯科が国全体の流れに乗り遅れていることの認識が生まれ、ようやく重要性に気づいたところから、研究、臨床そして政治的にも活発な動きを示すこととなった。しかし、介護保険法の制定時においても、またもや歯科界は流れにうまく乗ることが出来なかった。
歯科医師1人が対峙する国民は、高齢者のみが増加し、今後は医科と同様に患者と言えば高齢者となることは必然である。そのことに気づいてはいるが、どう対応するのかの具体的な動きが見えないのが現在の歯科界である。国民の求めと歯科界の対応をいかに一致させていくか、訪問歯科診療に志を抱く多くの歯科医師の方々と考えて行きたい。

略 歴
石井 拓男(昭和23年1月21日生)
最終学歴
昭和47年3月 愛知学院大学歯学部卒業
主な経歴
昭和47年 5月 愛知学院大学歯学部助手(口腔衛生学教室)
53年10月 愛知学院大学歯学部講師
63年11月 愛知学院大学歯学部助教授
平成 2年 2月 厚生省入省
3年 4月 厚生省保険局医療課課長補佐
5年 1月 厚生省保険局歯科医療管理官
7年 6月 厚生省健康政策局歯科衛生課課長
9年 7月 厚生省健康政策局歯科保健課課長
11年 9月 東京歯科大学社会歯科学研究室教授
主な公職
日本口腔衛生学会理事、日本公衆衛生学会評議員、
日本歯科医学教育学会評議員

http://www.houmonshika.org/pdf/society/gakkai_2001.pdf

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