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歯科技工士・岩澤 毅

歯科医療白書 2013年版 激動の時代を振り返る

2014年05月10日 | amazon.co.jp・リストマニア
敢えて掲げられた「激動の時代を振り返る」 2014/05/10(土) — 読者によるレビューです

レビュアー: 歯の職人


 日歯大久保会長は本書の冒頭「刊行にあたって」に、「わが国が世界最速で超高齢社会を迎え、さらに団塊の世代が後期高齢者となる2025年以降、従来の地方都市や村で起こった高齢化が一気に大都市に及ぶことなど、わが国が世界で体験したことのない過酷な道を歩まなければならず、このような事態を前にして、われわれは単純な未来志向だけでこの状況を乗りきることはできない」との時代認識を示す。
 日歯連事件も歴史的一事象として総括を終え、「歯科医師会は、今後のわが国の在り方を左右する、つまり活力のある健康長寿社会の実現という大きく重い職責を担い続ける」(大久保満男日歯会長)との認識に立つ現在、「第7章 歯科医療機関の経営」「1.歯科診療所の経営分析・コ・デンタルをとりまく環境変化」の「①歯科衛生士の附則と将来予想」「②歯科技工士の附則と将来予測」については、更なる厚みある解明と対策の提示を期待したい。
(387字)

http://www.shien.co.jp/act/d.do?id=7046&review=true

 編集委員に秋元秀俊氏が加わった体制での初、且つ前回の2008年から5年を経ての白書刊行である。
 日歯大久保会長は本書の冒頭「刊行にあたって」に、「わが国が世界最速で超高齢社会を迎え、さらに団塊の世代が後期高齢者となる2025年以降、従来の地方都市や村で起こった高齢化が一気に大都市に及ぶことなど、わが国が世界で体験したことのない過酷な道を歩まなければならず、このような事態を前にして、われわれは単純な未来志向だけでこの状況を乗りきることはできない」との時代認識を示す。
 さらに、「こここに至った道筋を今一度、単なる過去としてではなく、今に繋がるものとして、さらにつながる道として、その過去を検証し、そこから何を学ぶかお真剣に問わなければならない」と提起し、サブタイトルの「激動の時代を振り返る」を敢えて掲げた理由を解き明かす。
 純粋民間の手による「歯科医院経営白書」「歯科医業経営白書」とは、立場を異にする公益社団法人日本歯科医師会・日本歯科総合研究機構による編著となる白書として、日本の歯科医療の現在を記録した一冊となっている。
 いわゆる日歯連事件も歴史的一事象として総括を終え、「歯科医師会は、今後のわが国の在り方を左右する、つまり活力のある健康長寿社会の実現という大きく重い職責を担い続けるために、これからも明確な旗を掲げ、全会員とともにハードルを確実に超えていきたいと考えている」(大久保満男日歯会長)との認識に立つ現在、「第7章 歯科医療機関の経営」「1.歯科診療所の経営分析・コ・デンタルをとりまく環境変化」の「①歯科衛生士の附則と将来予想」「②歯科技工士の附則と将来予測」については、更なる厚みある解明と対策の提示を期待したい。


『歯科医療白書 2013年度版』刊行にあたって

 公益社団法人日本歯科医師会 会長 大久保満男


第1章 歯科保健の現状

 1.歯科口腔保健法の成立

 2.高齢者の現在歯数にみる医療環境の世代格差
 ・現在歯数のギャップは国民皆保険との関係から生まれたのではないか
 ・小児のむし歯は減少しつづけ、高齢者の歯周疾患罹患状況は変化する

(石井巧男 恒石美登里)

第2章 歯科医療の重要

 1.歯科患者数の現状
 ・患者数には種類の統計がある
 ・21世紀に入ってから医科の患者数は減少しているが、歯科の患者数は横ばいである
 ・診療所では歯科も医科も外来患者数は横ばいであるが、歯科では70歳以上の患者数が医科よりも大きく増加している
 ・病院の外来患者数は医科では減少しているが、歯科では増加している
 ・歯科の診療所数は12年間に8%増加している
 ・1診療所当たり患者数は医科の40%未満であり、12年間に8%減少している
 ・1施設当たりの患者数は医科の診療所では内科が歯科と同様の現象傾向となっている

 2.1日当たり歯科診療医療費の現状
 ・歯科診療所の外来の1日当たり医療費は医科診療所より若干高い、また病院と診療所では病院の外来は診療所より1割以上低い
 ・医療費の増加は1日当たり医療費の自然増が主な要因である
 ・歯科の自然増は医科に比べ低い
 ・高齢者の歯科の外来1日当たり医療費は自然増はマイナスになっているということは・・・・

 3.1施設当たり歯科診療費の現状

 4.年齢別歯科診療医療費の状況

 5.都道府県別歯科診療医療費の状況

 6.国民医療費における歯科診療医療費の推移
(石原公一郎)
 
第3章 国民経済・国民生活と歯科医療費

 1.国民医療費と歯科医療費

 2.家計における歯科医療費

 3.消費者から見た歯科医療
(恒石美登里)

第4章 歯科医療の供給

 1.歯科医師数の推移と将来推計

  1)医師・歯科医師・薬剤師調査にみる歯科医師数の推移

  2)これまで行われた歯科医師数の将来推計

 2.歯科医師供給数の抑制と質の確保

 3.歯科医療施設の推移

 4.歯科衛生士数、歯科技工士数の推移
(尾崎哲則) 

第5章 歯科医療サービスの価格

 1.医療サービス価格と日本の医療の特徴

 2.歯科医療サービスの価格変動

  1)歯科医療の数量・価格分析

  2)1日当たり医療費の医歯比較

  3)診療行為別にみた価格変動

 3.診療報酬改定における技術評価

 4.歯科材料の価格

  1)歯科材料の数量・価格分析

  2)金銀バラジウム合金の価格変動

 5.生産性からみた歯科医療サービス価格

  1)歯科医療サービスの付加価値

  2)歯科医療サービスの生産力

  3)歯科医療サービス価格の低迷
(五十嵐公)

第6章 診療報酬改定の変遷と分析・評価

 1.中医協改革とその影響

  1)日歯連事件をめぐる動き

  2)中医協「組織」の見直し

  3)中医協機能の見直し

 2.社会保障制度改革と診療報酬改定

  1)社会保障制度改革をめぐ動き

  2)社会保障制度における医療

 3.診療報酬改定のプロセスと考え方

  1)改定プロセスと中医協

  2)診療報酬におけるモノと技術の評価の考え方


 4.医療費財源と診療報酬改定

  1)医療財源と改定率

  2)全体改定率と各科改定率


 5.診療報酬点数の決め方

  1)医科改定の動向

  2)歯科点数表の課題

  3)改定作業における診療報酬点数の決め方
(笹井啓史)

 6.中医協に関連する日本歯科医学会の役割

  1)2009年以降の中医協の変遷

  2)日本歯科医学会で実施した医療問題に関わる内容

  3)日本歯科医学会の診療報酬に関わる役割のまとめ

  4)医療機器保険適用希望書提出と先進医療承認申請
(住友雅人)

第7章 歯科医療機関の経営

 1.歯科診療所の経営分析

  1)保険診療報酬をとりまく環境分析
  ・診療報酬改定の影響
  ・二極化の進行と歯科経営
  ・近い将来に予想される環境変化と影響を考える
   ①消費増税とその影響について
   ②混合診療の解禁について
  ・コ・デンタルをとりまく環境変化
   ①歯科衛生士の附則と将来予想
   ②歯科技工士の附則と将来予測


 2.高齢者、要介護者、在宅診療の視点

  1)人口推移予測と、歯科医療に予測される変化

  2)地域包括ケアシステムと歯科診療所の役割

 3.今後の歯科診療所の戦略
(木村泰久)


第8章 医療経済実態調査の分析

 1.医療経済実態調査の概要

 2.医業収入と医業費用の年次推移からみた歯科と医科との経年比較

 3.歯科と医科における医業収支差額及び収支率の年次推移

 4.偉業収入゜の変化に関する要因分析

 5.個人立医科診療所外来における診療かと歯科の経年変化

 6.歯科及び医科診療所における資金繰りの変化

 7.第18回中医協・医療経済実態調査結果の分析
(川渕孝一)

第9章 都道府県別にみた歯科医療費の分析

 1.2010年度の都道府県別歯科医療費の分析

   2010年度外来歯科医療費を用いた都道府県別相関図

 2.2000年と比較した2010年における外来歯科医療費増減の変化とその要因分析(都道府県別)

   都道府県外来歯科医療費増減の変化

   都道府県外来歯科医療費の類型化に影響する因子

   まとめ
(恒石美登里)

第10章 歯科診療費からみた東日本大震災の影響

 1.東日本大震災の被災状況と医療費負担の減免措置

 2.対象3県の1人当たり点数の変化

 3.受診率と1件当たり点数

 4.一部負担金免除をきっかけにニーズのディマインド化
(中島久幸)

特別論文 中央社会保険医療協議会の役割とその変化 土田武史

 はじめに

 1.日本の医療保障制度の特徴

 2.歯科診療の特徴

 3.小泉政権における医療政策による変化

  1)日本医師会の弱体化

  2)混合診療の解禁要求への対応

 4.中医協改革とその影響

  1)中医協改革の概要

  2)改革後の診療報酬改定


巻末資料


結びにかえて

2014年3月
編集委員一同

執筆者一覧

  石井 拓雄 東京歯科大学副学長/日本歯科総合研究機構 研究部長
  恒石美登里 日本歯科総合研究機構 主任研究員
  石原公一郎 厚生労働省 年金局 基金数理室 企業年金財政分析官
  尾崎 哲則 日本大学歯学部 医療人間科学分野 教授
  五十嵐 公 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 助教
  菊地 隆俊 一般財団法人 社会保険協会 参与
  笹井 啓史 日本大学松戸歯学部保健医療政策学 教授
  住友 雅人 日本歯科医学会 会長
  木村 泰久 株式会社M&D医業経営研究所 代表取締役/公益財団法人 日本医業コンサルタント協会 企画調査委員会歯科専門部会 会長
  川渕 孝一 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 教授
  中島 久幸 ゼッタテクノロジー株式会社 システムアナリスト
  土田 武史 早稲田大学商学部 教授

編集者

  石井 拓雄 東京歯科大学副学長/日本歯科総合研究機構 研究部長
  恒石美登里 日本歯科総合研究機構 主任研究員
  菊地 隆俊 一般財団法人 社会保険協会 参与
  宮武 光良 一般社団法人 口腔保健協会 顧問
  秋元 秀俊 有限会社秋編集事務所 代表取締役

担当役員

  冨野  晃 公益社団法人 日本歯科医師会 副会長、日本歯科総合研究機構 機構長



公益社団法人日本歯科医師会・日本歯科総合研究機構 編著
2014年03月26日 A4判 176頁
3,240円(税込)
社会保険協会

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