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歯科技工士・岩澤 毅

山下茂子 【プロフェッショナル~専門学校から】歯科技工士 新たな道へ 36歳からの挑戦 

2013年03月03日 | 日本歯科技工学会雑誌
http://www.sankei.com/west/news/130303/wst1303030047-n1.html

2013.3.3 08:00更新

【プロフェッショナル~専門学校から】
歯科技工士 山下茂子さん(54)(上)新たな道へ 36歳からの挑戦 

 すっきりと整頓されたオフィスに、パソコンの大型モニターやスキャナーの機材がデスクに並ぶ。

 グレーと白を基調にした落ち着いた室内。一見、洗練されたデザイン事務所の雰囲気だが、時折「キュイーン」という歯科医院を思わせるエアタービンの音が響く。モニターには歯型の画像が映し出され、やっとここが歯科技工所だと分かるほどのおしゃれな空間だ。

 大阪府吹田市にある「デンタル デジタル オペレーション」。そこで専務取締役を務めている。「一般的な技工所のイメージとは違うでしょう。歯科技工士も若い世代の女性が多いんですよ」と、笑顔で迎えてくれた。

 凛としたスーツ姿。歯科技工士として経営に携わりながら、製品のチェックをしたり、歯科医院や顧客の対応をしたり。医師や同業者、学生へ向けた講演会や講習会など多忙な毎日だ。

 この業界は「男性中心の社会」だったという。技術をコツコツと積み重ねていく職人かたぎで、仕事が深夜にまで及ぶことは日常。家事や子育てを担う女性が働き続けることが難しい職場の一つなのだという。「国家資格を持っているのに、本当にもったいない。今では専門学校で学ぶ生徒の約4割が女性ですが、実際に働いているのはその半分ぐらいのようなんですよ」と話す。

 7年前、歯科製品を提供する「3M」社と提携して「デンタル デジタル オペレーション」を立ち上げた。特徴はなんといってもデジタル化だ。歯科医院などから送られてくる患者の歯型をスキャンし、パソコン上で歯を精密にデザインする。“職人”の手作業が、マウスで生かされる。そのデータをもとに機械が自動的に歯をつくっていくシステムだ。

 「作業時間もある程度読めるし、将来的には在宅でも可能かもしれません」。現在、同社の歯科技工士12人のうち9人が女性。産休・育休中の女性もいるという。

 自身も、子育てをしながら働いた経験を持つ。学生時代は繊維の染色などのテキスタイル系を学び、就職した企業は出産を機に退職。その後、母の営む編み物教室を手伝うようになった。長男が3歳の時だった。

 「すぐ熱を出す子供を抱えながらも仕事は休めない。預かってもらえる場所もなかった。だからこそ、これから母親になろうとしている人たちを応援したいんです」とほほえむ。

 子育てをしながらも視野を広く持ち、何かに挑戦し続ける。自身も歯科技工士の資格取得を目指したのは、36歳になってからだった。同じく歯科技工士で米国で技工所を営む実弟から、「日本で起業するから手伝わないか」と誘われたのがきっかけだった。
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 新大阪歯科技工士専門学校(大阪市淀川区)の夜間部に入学。“36歳の挑戦”が、思ってもみなかった新しい人生を切り開くことになる。(田野陽子)

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