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歯科技工士・岩澤 毅

鈴木 譲仁 (著)  ルポ 「中国製品」の闇 (集英社新書)

2013年09月28日 | amazon.co.jp・リストマニア
●●●なジャーナリストによる●●●なルポ, 2013/9/28

By歯職人

 著者の鈴木譲仁氏は、「はじめに」で「私は、揺れ動く日本の政治体制に隠れて居座り、川辺の柳の地下に張り巡らした根っこのごとく、日本社会を水面下で支配し続けている。不可解な「闇構造」の存在に大きな危機感を感じているのだ。」とし、「本書に登場するさまざまな問題は、決して歯科医療に限定されているわけではない。これは日本社会が抱えている「闇構造」の氷山の一角なのだ。」と、提起する。
 さらに、この「闇構造」の「核心に迫れば」、業界と行政の「組織保全構造」があると言う。
 そして、「はじめに」の最後を、「日本独自の「闇構造」を解体し、新たな産業構造を生み出せるか否かが、今後の日本の命運を担っているだろう。もはや、時間的余裕はないのだ。」と結んでいる。
 この著者による「はじめに」を受ければ、本書のレビューの判断基準は、本書が、この「闇構造」の「核心に迫る」ことが出来ているか?であり、「組織保全構造」を解明したか?にあると言えよう。
 結論から言えば、中国を中心ジャンルにしてきた著者であるだけに、中国現地取材が多角的であり厚みがあり、軽薄な予断や偏見とは無縁であり、読み応えがあり貴重である。足で書いた原稿を感じさせる臨場感である。佐高信の語彙ではないが、「足軽作家」という言葉を思い出した。
 しかし、本書冒頭の問題説明部分の20ページ10行目「保団連の資料によると」、21ページ10行目「保団連の調査によると」の様に、資料名、発行年月日等の記述も無い。これにより、本書の記述自体の検証可能性を担保していない。
 また、事実と事実を結ぶ論理が、150ページ3行目「容易に想像できる」、151ページ3行目「同じような「ごまかし」が派生する危険性はないのだろうか。」、同ページ後ろから6行目「可能性もまったく否定できないだろう。」では、本書の論述に力を与えないであろう。
 本書の「おわりに」で、鈴木氏の主要な関心とものの見方が明らかになる。180ページ3行目「最大の要因は、中国共産党政府の、巨大で旧態依然とした組織的弊害が生み出す毒害にある。」「中国社会は、歴史的にも特異な「宗族社会」と結びついている。/「宗族」とは、儒教同族集団を示したものだ。」。181ページ後ろから6行目「巨大なヒエラルキーで構成された中国共産党だが、、、」と続く。
 冒頭に戻り、本書が「日本社会を水面下で支配し続けている。不可解な「闇構造」」を解明したかが、ここで問われなければならない。
 レビューアーは、本書が挑戦した「不可解な「闇構造」」の解明は、今だならずと判断する。

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『ルポ「中国製品」の闇』鈴木譲仁 

無秩序な生産国、無責任な輸入国。
なぜ、リスクが野放しなのか?

 いまや「中国」と無縁で経済活動を営むことは難しい。消費者も、さまざまな形で「中国製品」を購入している。それが日本の現実だ。しかし、その背後には、生産する中国の「無秩序」と、輸入する日本の「無責任」という図式がある……。
 著者は「義歯」という入り口から、中国製品をめぐる問題に切り込む。発がん性物質の検出が報告され、現地では健康被害が訴えられている「中国産」義歯を、日本は厳格な安全検査を行なうことなく、単なる雑貨物として輸入しているのだ。
 中国の現場を取材し、日本の医療の実態を調査して浮かび上がった「闇構造」とは? 迫真のルポルタージュ!

著者情報
鈴木譲仁(すずき じょうじ)

一九五四年生まれ。ジャーナリスト。中国を中心に、アジアの政治、経済、社会問題など幅広いジャンルで取材活動を行なう。『アジア「黄金郷」の旅 新日本人発見』(徳間文庫)、『「猛毒大国」中国を行く』(新潮新書)、『世界の中国人ジョーク集』(中公新書ラクレ)など著書多数。

集英社新書
ルポ「中国製品」の闇

鈴木 譲仁【著】

価格 \735(税込) 集英社(2013/09発売)

サイズ 新書判/ページ数 184p/高さ 18cm
商品コード 9784087207088
NDC分類 497.5

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