日歯技工誌 28:135~139,2007
発行 平成19年12月20日
原著
社会保険歯科診療点数と歯科技工の法的位置
―法令の構造の考察を中心として―
岩澤 毅
NHI Points System for Dental Treatment and the Legal Position of Dental Laboratory Techniques
― With a central focus on the structure of laws ―
Iwasawa Tsuyoshi
抄録
昭和63年,厚生大臣(当時)により発せられた大臣告示,いわゆる「7:3」告示に関して,その意味をめぐって混乱みられるが,健康保険法とその省令,診療報酬改定の通則の内在論理からその意味を解釈することが必要である.
その内在論理と他資料から診療報酬改定告示「別表第2歯科診療報酬点数表 第2章 第12部 歯冠修復及び欠損補綴 通則5」は歯科技工所に対して社会保険歯科診療にかかわる委託歯科技工料金の請求権等を認めるものではなく,狭義の歯冠修復および欠損補綴点数の構成と決定が,特定歯科医療材料・歯科用貴金属・パラ価格や薬価改定と相似した実勢価格に基礎を置く,中央社会保険医療協議会での合意・確認されたルールのうえに構築されている報酬算定原則に貫かれていることが確認された.
キーワード:健康保険法,中央社会保険医療協議会, 診療報酬点数,大臣告示,歯科技工料
It is essential to interpret the proclamation made by the then Minister of Health and Welfare in 1988,so called “7:3 Proclamation,” by the inherent logic of the Health Insurance Law, the ministry ordinance, and the general rules.
The underlying logic and other documents have confirmed that the proclaimed revision of the medical treatment remuneration system, “Appendix 2: Table of Dental Treatment Remuneration Points, Chapter 2-Part 12: Dental Crown Repair and Dentures, General Rule 5,” does not entitle dental laboratories to claim fees for entrusted dental laboratory techniques regarding dental treatment covered by social insurance. Also, that it consistently applies the calculation principle of remuneration established in accordance with the rules agreed upon and confirmed by the Central Social Insurance Medical Council. The Council treats the configuration and decision of points for narrowly defined dental crown repair and dentures based on prices for specific dental materials, precious metals for dental purposes and palladium, as well as market prices similar to those of the NHI price revision.
Key words: Health Insurance Law, Central Social Insurance Medical Council, medical treatment remuneration points, ministerial proclamation, dental laboratory technical fee
秋田県歯科技工士会
2007年5月18日受付 2007年10月3日受理
A.緒言
社会保険歯科診療点数と歯科技工の法的関係を考察し,併せて昭和63年,厚生大臣(当時)により発せられた診療報酬改定の大臣告示,いわゆる「7:3」告示を考察する.
「7:3」告示に関して,告示後20年に迫る今日に至るも,数々の誤解および混乱がみられる1~12) .著者は,評論としてこれらに見解13,14)を述べてきた.本報では,日本国憲法と法律,とくに健康保険法と通則の5自体の内在論理からその意味を解明する.
B.研究方法
歯科技工の法的関係を明らかにするために,日本国憲法第4章第41条・第5章第65条・第73条,内閣法第4条・第11条,国家行政組織法第12条を調査した.また,社会保険歯科診療報酬点数の構成と決定に関して,健康保険法第76条,社会保険医療協議会法第2条,大臣告示・診療報酬の算定方法別表第2歯科診療報酬点数表第2章第12部歯冠修復及び欠損補綴通則5,その他歯科技工士法施行規則等の文言の論理解析をした.
C.結果
1.法律の構造
a. 憲法と行政
わが国の法律に関わる事柄に関し考察するには,日本国憲法に立ち返り法令の階層構造15)を理解し,委任移譲の連鎖を確認しなければならない.
憲法第41条により国会の唯一の立法機関としての地位,第73条第6項の規定から内閣の行政権の憲法および法律の規定を実施するため性格が明らかにされ,現行憲法の権力分立による権力集中の防止の原則と権力制限規範としての側面が現れている.
内閣法第4条から内閣の職権と法律の優位,国家行政組織法第12条から行政機関の基準,内閣法第11条と国家行政組織法第14条から,憲法と法律を根拠とした行政運営の原則を確認することができる.
b.法律の構造
法律の支配の構造は,憲法に基づく法律,法律に基づく政令,法律に基づく省令,さらに法律の制限範囲内での行政行為としての通知・通達,この階層をもつ階層構造であり,また憲法・法律・他の秩序としてこの階層構造は「権限の委任・委譲の連鎖」であり,逆の側面からは,「法的権限の根拠を求める連鎖」とも理解できる.
であるから,法律の委任・根拠のない大臣告示により「義務を課し,若しくは国民の権利を制限する規定」は,あり得ないのである.
2.健康保険法等の構造
公的医療保険制度は,主に健康保険法により制度設計されており,保険診療とそれに関する医療費の流れを,保険者・被保険者・保険医療機関・審査支払機関の相互関係と理解することもできる.また医療費決定の行政手続も定められている.
a.第76条(図1)
診療報酬改定告示(診療報酬の算定方法)別表第2歯科診療報酬点数表は,健康保険法の第76条第2項に根拠を持つ.
a)1項の要点
支払先,すなわち誰に支払われるかを規定している.保険医療機関である医療機関,保険薬局が受け取るものと規定している.歯科医療では,保険医療機関である歯科医療機関が受け取るものとなる.
b)2項の要点
2項と社会保険医療協議会法第2条を根拠に,中央社会保険医療協議会(以下中医協とする)の審議を経て,療養の給付に要する費用の額は診療報酬改定告示(診療報酬の算定方法)・診療報酬点数表として告示(大臣告示)されることが理解できる.
健康保険法第76条2項と社会保険医療協議会法2条(図2)に根拠をもつ,この診療報酬改定の大臣告示の中にある「別表第2 第2章 第12部通則の5」が,いわゆる「7:3」大臣告示である.
この告示が現在も「診療報酬改定告示(診療報酬の算定方法)の別表第2歯科診療報酬点数表 第2章 第12部 歯冠修復及び欠損補綴 通則5」として存在している.
b.「通則の5」の全文言(図3)の内在論理の分析
診療報酬告示の一部である「通則の5」の全文言を論理解析すれば,
x=製作技工に要する費用
y=製作管理に要する費用
z=歯冠修復及び欠損補綴料
と置くと,連立方程式
z=x+y 第一の式
x:y≒7:3 第二の式
とすることができる.
「外項の積と内項の積は等しい」ので,これを用い第二の式を展開し 7y≒3x
両辺を7で除すと y≒3x/7
ここでyの値を得る.
第一の式z=x+yのyに,yの値を代入すると
z≒x+3x/7
xは,1×xすなわち(7/7)× xであるから
z≒(7+3) x/7
zの値は z≒10 x/7
すなわち,zは,xを7で除し,10を乗ずると≒z,すなわち歯冠修復及び欠損補綴料を導くことができる.
さらに,政策当局の政策目的・政策目標の附加(当局の政策誘導) 16)が存在し得るので,これを
±α※=政策目的・政策目標の附加(当局の政策誘導)(※正確に記せば+α. αは,負の数の場合もあり得る)とすると,実際の診療報酬改定作業のルールを,
改定点数≒ 10×(実勢委託歯科技工料金調査結果等)/7±α
とすることが,通則の5と区分内関係点数に整合性・安定性・根拠性を与えることが理解できる.
「通則の5」は,市場経済に信頼を置く事を前提にすれば,歯科技工料金調査が高精度で高頻度に行われ,その結果が適切に診療報酬改定に反映されるならば,論理的整合性を有する論理構成13,14)である.
c.「7:3」大臣告示の意味
論理的法令解析から「昭和63年5月30日付厚生省告示第165号(7:3)大臣告示の意義」を次のように結論付けることができる.
昭和63年5月30日付厚生省告示第165号通則の5 の意義は,(狭義の)歯冠修復および欠損補綴料の「積算基準・根拠,算定基準」を,委託歯科技工料調査等を基礎に示したことである.
法的に厚生省(現厚生労働省)・中医協が,定めることができるのは,すなち職務権限をもつのは,健康保険法の定めの下,社会保険制度内にその位置をしめる保険医・保険医療機関の診療報酬点数制定であり,健康保険法は厚生労働省・中医協に,歯科技工所に対する保険医療機関からの委託歯科技工料金を定める職務権限を与えていない.
d.歯科技工士法施行規則第12条(図4)
歯科技工士法施行規則第12条に定められる「歯科技工指示書」と保険医療機関及び保険医療養担当規則第23条に定められる「処方せん」との比較から明らかなように,「処方せん」には,保険請求に必要なデータがあり,「歯科技工指示書」には,当該歯科技工が保険に係るか否かのデータは何もない.歯科技工所(歯科技工士)は己の行う歯科技工に関し,保険に係るか否かを知る立場になく,いわゆる保険歯科技工士は存在しない.
歯科技工士法施行規則12条に定められる「歯科技工指示書」に保険・自費の区別はない.レジン床義歯は,レジン床義歯であり,金銀パラジウム合金による全部鋳造冠は金銀パラジウム合金による全部鋳造冠であり,そこに保険・自費の区別はない.歯科技工所(歯科技工士)の立場からは,公的制度として保険・自費の区別をすべき格段の目安はない.
e.平成14年03月19日(火)付,小泉内閣答弁書の論理解析
平成14年3月19日,「参議院議員櫻井充(民主)提出歯科技工士の技工料の決定方法に関する質問に対する答弁書」は,通則の5について「補綴物等の製作技工の委託を円滑に実施する観点から,製作技工に要する費用と製作管理に要する費用の標準的な割合を示したものである.」と答弁している.
さらに「算定告示は,健康保険法(大正11年法律第70号)第43条9第2項に基づき,保険医療機関等が療養の給付に関し保険者に請求できる費用の額の算定方法を定めるものであり,保険医療機関等が補綴物等の製作技工等を委託する際の委託費の額を拘束するものではない.」と答弁している.
この答弁書は,既述の著者の論点と整合性をもち,かつ合致する.答弁書により否定された保険歯科医療機関に対する診療報酬から,委託歯科技工料金への分配拘束が達成されたとの「分配拘束論」1~10)は,憲法・内閣法の行政制度面の各条文から,また健康保険制度を構築する健康保険法等の各条文からも,さらに当該大臣告示通則の5の文言の論理分析からも,整合性をもちえないのである.
f.歯科技工士の法的地位および歯科診療報酬決定方法についての総括
以上の論点から,健康保険制度の中に歯科技工所(歯科技工士)は当事者としては存在していない.その存在しない歯科技工所(歯科技工士)が大臣告示通則の5により,公的制度的委託歯科技工料金に得たとする「分配拘束論」は成立しない.
日本国は,私有財産制を肯定し財産権は憲法第29条(図5)上保障された権利である.保険歯科医療機関に対する歯科診療報酬を,大臣告示の意味内容を読み替えることにより,その使途と価格を公定できたかのような説は,法律的な根拠を持たず,日本国憲法とその法体系と相容れるものではない.
前述の,
改定点数≒ 10×(実勢委託歯科技工料金調査結果等)/7±α
の意味から,保険歯科医療機関であれ委託先歯科技工所であれ,市場を通じて実勢歯科技工料金の形成に参加している.歯科医師と歯科技工士が共に個別具体的患者の歯科医療に責任をもち,個々の経営に責任をもち,日本の歯科医療に責任をもち,歯冠修復及び欠損補綴の品質に責任をもつ立場に立つならば,保険医療機関と歯科技工所相互の経営と原価計算を尊重した個々の根拠に基づく「製作管理に要する費用」,「製作技工に要する費用」,「委託歯科技工料」が設定されることが当然であり,その結果に基づく歯科診療報酬制度と歯科診療報酬点数の形成が必要となる.
D.考察
「通則の5」は,歯科技工所に対して社会保険歯科診療にかかわる委託歯科技工料金の請求権等を認めるものではない.
「通則の5」は,(狭義の)歯冠修復および欠損補綴点数の構成と決定が,特定歯科医療材料・歯科用貴金属材料の基準材料価格や薬価基準と相似した実勢価格に基礎を置く中医協で合意・確認されたルールである.
さらに, 「通則の5」の理解のためには,現在構築されている診療報酬制度の理論17,18)と,現行の健康保険診療報酬制度の理解が必要である.「分配拘束論」は,この法律・制度理解を誤ったものである.
昭和63年5月30日付,大臣告示の解釈に,一部混乱がみられる不幸な事態を生んだことの遠因として,歯科技工を法律・経済・社会・文化等の側面から社会科学的・人文科学的に解明し,歯科技工と歯科技工学に資する歯科技工管理学19)の未形成があることに注意を喚起したい.
現行の社会保険歯科診療制度の改善すべき点は,立法府である国会における制度改正のための法律制定・改正等と,それを生み出す基盤となる歯科医療政策研究の深化と世論の形成,そして歯科技工士自身による歯科技工管理学の発展が,不可分に必要であることを指摘したい.
E.結論
社会保険歯科診療点数と歯科技工の法的関係を考察し,昭和63年大臣告示,いわゆる「7:3」告示に関してその意味を解明したところ次の結果を得た.
1. いわゆる保険歯科技工士は存在しない
2. 歯科技工士は己が行う歯科技工に関して,それが保険で給付されるか否かを知る立場にない
3. 歯科技工士は,いわゆる「請求権」を保持しない
4. いわゆる「7:3」告示は,「形骸化」6)することなく,現在も実勢価格に基礎を置く診療報酬点数形成のガイドラインとして存在する
稿を終えるにあたり,学恩あるすべての諸兄に深甚なる感謝の意を表します.
本論文の要旨は,日本歯科技工学会第28回学術大会(2006年17,18日,広島市)において発表した.
文献
1)内藤達郎:「7:3問題」を総括する①,日本歯科新聞1301,4,日本歯科新聞社,東京,2005.
2)内藤達郎:「7:3問題」を総括する②,日本歯科新聞,1302,3,日本歯科新聞社,東京,2005.
3)内藤達郎:「7:3問題」を総括する③,日本歯科新聞1305,5,日本歯科新聞社,東京,2005.
4)内藤達郎:「7:3問題」を総括する④,日本歯科新聞1306,3,日本歯科新聞社,東京,2005.
5)内藤達郎:「7:3問題」を総括する⑤,日本歯科新聞1307,10,日本歯科新聞社,東京,2006.
6)内藤達郎:「7:3問題」を総括する⑥,日本歯科新聞,1308,6,日本歯科新聞社,東京,2006.
7)内藤達郎:「7:3問題」を総括する⑦,日本歯科新聞1309,3,日本歯科新聞社,東京,2006.
8)桜井 充:歯科技工士の技工料の決定方法に関する質問主意書,平成14年2月19日第154回国会参議院質問主意書提出番号11号,2002
9)金田誠一:第154回国会衆議院厚生労働委員会議事録09号,17~19 ,2002.
10)金田誠一:第155回国会衆議院厚生労働委員会議事録02号,16~17 ,2002.
11)川島 哲:一週間でマスターするキャストパーシャル〈上〉,36~40,医歯薬出版,東京.
12)財団法人日本総合研究所:診療報酬のあり方に関する総合的調査 その1 論点整理,21~31 , 東京, 2004.
13)岩澤 毅:昭和と平成の勝ち組の論理と心理-昭和63年大臣告示の解釈,ごまめ30,55~61,2003.
14)岩澤 毅:2006年1月28日法律勉強会報告,東京歯技431付録,2006.
15)菅野耕毅:歯科技工関係法規,95,医歯薬出版,東京,2005.
16)遠藤久夫:医療保険・診療報酬制度:講座医療経済・政策学第2巻,55~63, 勁草書房,東京,2005.
17)大内講一:やさしい医療経学,108~111,勁草書房,東京,2005.
18)大内講一:やさしい医療経学,118~121,勁草書房,東京,2005.
19)岩澤毅:「歯科技工管理学」の提唱,ごまめ33:65~68,2005.
○健康保険法
(大正十一年四月二十二日)
(法律第七十号)
(療養の給付に関する費用)
第七十六条 保険者は、療養の給付に関する費用を保険医療機関又は保険薬局に支払うものとし、保険医療機関又は保険薬局が療養の給付に関し保険者に請求することができる費用の額は、療養の給付に要する費用の額から、当該療養の給付に関し被保険
者が当該保険医療機関又は保険薬局に対して支払わなければならない一部負担金に相当する額を控除した額とする。
2 前項の療養の給付に要する費用の額は、厚生労働大臣が定めるところにより、算定するものとする。
厚生労働省法令等データシステム(http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/index.html)より
図1健康保険法第76条
○ 社会保険医療協議会法
(昭和二十五年三月三十一日)
(法律第四十七号)
(所掌事務)
第二条 中央協議会は、次に掲げる事項について、厚生労働大臣の諮問に応じて審議し、及び文書をもつて答申するほか、自ら厚生労働大臣に、文書をもつて建議することができる。
一 健康保険法(大正十一年法律第七十号)第七十六条第二項の規定による定め、同法第八十五条第二項の規定による基準、同法第八十五条の二第二項の規定による基準、同法第八十六条第二項第一号の規定による定め及び船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)第二十八条ノ四第二項の規定による定めに関する事項
二 健康保険法第八十八条第四項の規定による定めに関する事項
厚生労働省法令等データシステム(http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/index.html)より
図2社会保険医療協議会法第2条
歯科診療報酬表
第2章 第12部 歯冠修復及び欠損補綴
A.通則
5 歯冠修復及び欠損補綴料には,製作技工に要する費用及び製作管理に要する費用が含まれ,その割合は,製作技工に要する費用がおおむね100分の70,製作管理に要する費用がおおむね100分の30である.
日本歯科技工士会:社会保険歯科診療における歯科技工関連部門の知識と解説(平成16年版),15,2005.より
図3歯科診療報酬点数表
○ 歯科技工士法施行規則
(昭和三十年九月二十二日)
(厚生省令第二十三号)
(指示書)
第十二条 法第十八条の規定による指示書の記載事項は、次のとおりとする。
一 設計
二 作成の方法
三 使用材料
四 発行の年月日
五 発行した歯科医師の住所及び氏名
六 当該指示書による歯科技工が行われる場所が 歯科技工所であるときは、その名称
厚生労働省法令等データシステム(http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/index.html)より
図4歯科技工士法施行規則第12条
日本国憲法(昭和二十一年十一月三日公布)
第二十九条 財産権は、これを侵してはならない。
2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
3 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
法令データ提供システム(http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxsearch.cgi)
より
図5日本国憲法第29条
発行 平成19年12月20日
原著
社会保険歯科診療点数と歯科技工の法的位置
―法令の構造の考察を中心として―
岩澤 毅
NHI Points System for Dental Treatment and the Legal Position of Dental Laboratory Techniques
― With a central focus on the structure of laws ―
Iwasawa Tsuyoshi
抄録
昭和63年,厚生大臣(当時)により発せられた大臣告示,いわゆる「7:3」告示に関して,その意味をめぐって混乱みられるが,健康保険法とその省令,診療報酬改定の通則の内在論理からその意味を解釈することが必要である.
その内在論理と他資料から診療報酬改定告示「別表第2歯科診療報酬点数表 第2章 第12部 歯冠修復及び欠損補綴 通則5」は歯科技工所に対して社会保険歯科診療にかかわる委託歯科技工料金の請求権等を認めるものではなく,狭義の歯冠修復および欠損補綴点数の構成と決定が,特定歯科医療材料・歯科用貴金属・パラ価格や薬価改定と相似した実勢価格に基礎を置く,中央社会保険医療協議会での合意・確認されたルールのうえに構築されている報酬算定原則に貫かれていることが確認された.
キーワード:健康保険法,中央社会保険医療協議会, 診療報酬点数,大臣告示,歯科技工料
It is essential to interpret the proclamation made by the then Minister of Health and Welfare in 1988,so called “7:3 Proclamation,” by the inherent logic of the Health Insurance Law, the ministry ordinance, and the general rules.
The underlying logic and other documents have confirmed that the proclaimed revision of the medical treatment remuneration system, “Appendix 2: Table of Dental Treatment Remuneration Points, Chapter 2-Part 12: Dental Crown Repair and Dentures, General Rule 5,” does not entitle dental laboratories to claim fees for entrusted dental laboratory techniques regarding dental treatment covered by social insurance. Also, that it consistently applies the calculation principle of remuneration established in accordance with the rules agreed upon and confirmed by the Central Social Insurance Medical Council. The Council treats the configuration and decision of points for narrowly defined dental crown repair and dentures based on prices for specific dental materials, precious metals for dental purposes and palladium, as well as market prices similar to those of the NHI price revision.
Key words: Health Insurance Law, Central Social Insurance Medical Council, medical treatment remuneration points, ministerial proclamation, dental laboratory technical fee
秋田県歯科技工士会
2007年5月18日受付 2007年10月3日受理
A.緒言
社会保険歯科診療点数と歯科技工の法的関係を考察し,併せて昭和63年,厚生大臣(当時)により発せられた診療報酬改定の大臣告示,いわゆる「7:3」告示を考察する.
「7:3」告示に関して,告示後20年に迫る今日に至るも,数々の誤解および混乱がみられる1~12) .著者は,評論としてこれらに見解13,14)を述べてきた.本報では,日本国憲法と法律,とくに健康保険法と通則の5自体の内在論理からその意味を解明する.
B.研究方法
歯科技工の法的関係を明らかにするために,日本国憲法第4章第41条・第5章第65条・第73条,内閣法第4条・第11条,国家行政組織法第12条を調査した.また,社会保険歯科診療報酬点数の構成と決定に関して,健康保険法第76条,社会保険医療協議会法第2条,大臣告示・診療報酬の算定方法別表第2歯科診療報酬点数表第2章第12部歯冠修復及び欠損補綴通則5,その他歯科技工士法施行規則等の文言の論理解析をした.
C.結果
1.法律の構造
a. 憲法と行政
わが国の法律に関わる事柄に関し考察するには,日本国憲法に立ち返り法令の階層構造15)を理解し,委任移譲の連鎖を確認しなければならない.
憲法第41条により国会の唯一の立法機関としての地位,第73条第6項の規定から内閣の行政権の憲法および法律の規定を実施するため性格が明らかにされ,現行憲法の権力分立による権力集中の防止の原則と権力制限規範としての側面が現れている.
内閣法第4条から内閣の職権と法律の優位,国家行政組織法第12条から行政機関の基準,内閣法第11条と国家行政組織法第14条から,憲法と法律を根拠とした行政運営の原則を確認することができる.
b.法律の構造
法律の支配の構造は,憲法に基づく法律,法律に基づく政令,法律に基づく省令,さらに法律の制限範囲内での行政行為としての通知・通達,この階層をもつ階層構造であり,また憲法・法律・他の秩序としてこの階層構造は「権限の委任・委譲の連鎖」であり,逆の側面からは,「法的権限の根拠を求める連鎖」とも理解できる.
であるから,法律の委任・根拠のない大臣告示により「義務を課し,若しくは国民の権利を制限する規定」は,あり得ないのである.
2.健康保険法等の構造
公的医療保険制度は,主に健康保険法により制度設計されており,保険診療とそれに関する医療費の流れを,保険者・被保険者・保険医療機関・審査支払機関の相互関係と理解することもできる.また医療費決定の行政手続も定められている.
a.第76条(図1)
診療報酬改定告示(診療報酬の算定方法)別表第2歯科診療報酬点数表は,健康保険法の第76条第2項に根拠を持つ.
a)1項の要点
支払先,すなわち誰に支払われるかを規定している.保険医療機関である医療機関,保険薬局が受け取るものと規定している.歯科医療では,保険医療機関である歯科医療機関が受け取るものとなる.
b)2項の要点
2項と社会保険医療協議会法第2条を根拠に,中央社会保険医療協議会(以下中医協とする)の審議を経て,療養の給付に要する費用の額は診療報酬改定告示(診療報酬の算定方法)・診療報酬点数表として告示(大臣告示)されることが理解できる.
健康保険法第76条2項と社会保険医療協議会法2条(図2)に根拠をもつ,この診療報酬改定の大臣告示の中にある「別表第2 第2章 第12部通則の5」が,いわゆる「7:3」大臣告示である.
この告示が現在も「診療報酬改定告示(診療報酬の算定方法)の別表第2歯科診療報酬点数表 第2章 第12部 歯冠修復及び欠損補綴 通則5」として存在している.
b.「通則の5」の全文言(図3)の内在論理の分析
診療報酬告示の一部である「通則の5」の全文言を論理解析すれば,
x=製作技工に要する費用
y=製作管理に要する費用
z=歯冠修復及び欠損補綴料
と置くと,連立方程式
z=x+y 第一の式
x:y≒7:3 第二の式
とすることができる.
「外項の積と内項の積は等しい」ので,これを用い第二の式を展開し 7y≒3x
両辺を7で除すと y≒3x/7
ここでyの値を得る.
第一の式z=x+yのyに,yの値を代入すると
z≒x+3x/7
xは,1×xすなわち(7/7)× xであるから
z≒(7+3) x/7
zの値は z≒10 x/7
すなわち,zは,xを7で除し,10を乗ずると≒z,すなわち歯冠修復及び欠損補綴料を導くことができる.
さらに,政策当局の政策目的・政策目標の附加(当局の政策誘導) 16)が存在し得るので,これを
±α※=政策目的・政策目標の附加(当局の政策誘導)(※正確に記せば+α. αは,負の数の場合もあり得る)とすると,実際の診療報酬改定作業のルールを,
改定点数≒ 10×(実勢委託歯科技工料金調査結果等)/7±α
とすることが,通則の5と区分内関係点数に整合性・安定性・根拠性を与えることが理解できる.
「通則の5」は,市場経済に信頼を置く事を前提にすれば,歯科技工料金調査が高精度で高頻度に行われ,その結果が適切に診療報酬改定に反映されるならば,論理的整合性を有する論理構成13,14)である.
c.「7:3」大臣告示の意味
論理的法令解析から「昭和63年5月30日付厚生省告示第165号(7:3)大臣告示の意義」を次のように結論付けることができる.
昭和63年5月30日付厚生省告示第165号通則の5 の意義は,(狭義の)歯冠修復および欠損補綴料の「積算基準・根拠,算定基準」を,委託歯科技工料調査等を基礎に示したことである.
法的に厚生省(現厚生労働省)・中医協が,定めることができるのは,すなち職務権限をもつのは,健康保険法の定めの下,社会保険制度内にその位置をしめる保険医・保険医療機関の診療報酬点数制定であり,健康保険法は厚生労働省・中医協に,歯科技工所に対する保険医療機関からの委託歯科技工料金を定める職務権限を与えていない.
d.歯科技工士法施行規則第12条(図4)
歯科技工士法施行規則第12条に定められる「歯科技工指示書」と保険医療機関及び保険医療養担当規則第23条に定められる「処方せん」との比較から明らかなように,「処方せん」には,保険請求に必要なデータがあり,「歯科技工指示書」には,当該歯科技工が保険に係るか否かのデータは何もない.歯科技工所(歯科技工士)は己の行う歯科技工に関し,保険に係るか否かを知る立場になく,いわゆる保険歯科技工士は存在しない.
歯科技工士法施行規則12条に定められる「歯科技工指示書」に保険・自費の区別はない.レジン床義歯は,レジン床義歯であり,金銀パラジウム合金による全部鋳造冠は金銀パラジウム合金による全部鋳造冠であり,そこに保険・自費の区別はない.歯科技工所(歯科技工士)の立場からは,公的制度として保険・自費の区別をすべき格段の目安はない.
e.平成14年03月19日(火)付,小泉内閣答弁書の論理解析
平成14年3月19日,「参議院議員櫻井充(民主)提出歯科技工士の技工料の決定方法に関する質問に対する答弁書」は,通則の5について「補綴物等の製作技工の委託を円滑に実施する観点から,製作技工に要する費用と製作管理に要する費用の標準的な割合を示したものである.」と答弁している.
さらに「算定告示は,健康保険法(大正11年法律第70号)第43条9第2項に基づき,保険医療機関等が療養の給付に関し保険者に請求できる費用の額の算定方法を定めるものであり,保険医療機関等が補綴物等の製作技工等を委託する際の委託費の額を拘束するものではない.」と答弁している.
この答弁書は,既述の著者の論点と整合性をもち,かつ合致する.答弁書により否定された保険歯科医療機関に対する診療報酬から,委託歯科技工料金への分配拘束が達成されたとの「分配拘束論」1~10)は,憲法・内閣法の行政制度面の各条文から,また健康保険制度を構築する健康保険法等の各条文からも,さらに当該大臣告示通則の5の文言の論理分析からも,整合性をもちえないのである.
f.歯科技工士の法的地位および歯科診療報酬決定方法についての総括
以上の論点から,健康保険制度の中に歯科技工所(歯科技工士)は当事者としては存在していない.その存在しない歯科技工所(歯科技工士)が大臣告示通則の5により,公的制度的委託歯科技工料金に得たとする「分配拘束論」は成立しない.
日本国は,私有財産制を肯定し財産権は憲法第29条(図5)上保障された権利である.保険歯科医療機関に対する歯科診療報酬を,大臣告示の意味内容を読み替えることにより,その使途と価格を公定できたかのような説は,法律的な根拠を持たず,日本国憲法とその法体系と相容れるものではない.
前述の,
改定点数≒ 10×(実勢委託歯科技工料金調査結果等)/7±α
の意味から,保険歯科医療機関であれ委託先歯科技工所であれ,市場を通じて実勢歯科技工料金の形成に参加している.歯科医師と歯科技工士が共に個別具体的患者の歯科医療に責任をもち,個々の経営に責任をもち,日本の歯科医療に責任をもち,歯冠修復及び欠損補綴の品質に責任をもつ立場に立つならば,保険医療機関と歯科技工所相互の経営と原価計算を尊重した個々の根拠に基づく「製作管理に要する費用」,「製作技工に要する費用」,「委託歯科技工料」が設定されることが当然であり,その結果に基づく歯科診療報酬制度と歯科診療報酬点数の形成が必要となる.
D.考察
「通則の5」は,歯科技工所に対して社会保険歯科診療にかかわる委託歯科技工料金の請求権等を認めるものではない.
「通則の5」は,(狭義の)歯冠修復および欠損補綴点数の構成と決定が,特定歯科医療材料・歯科用貴金属材料の基準材料価格や薬価基準と相似した実勢価格に基礎を置く中医協で合意・確認されたルールである.
さらに, 「通則の5」の理解のためには,現在構築されている診療報酬制度の理論17,18)と,現行の健康保険診療報酬制度の理解が必要である.「分配拘束論」は,この法律・制度理解を誤ったものである.
昭和63年5月30日付,大臣告示の解釈に,一部混乱がみられる不幸な事態を生んだことの遠因として,歯科技工を法律・経済・社会・文化等の側面から社会科学的・人文科学的に解明し,歯科技工と歯科技工学に資する歯科技工管理学19)の未形成があることに注意を喚起したい.
現行の社会保険歯科診療制度の改善すべき点は,立法府である国会における制度改正のための法律制定・改正等と,それを生み出す基盤となる歯科医療政策研究の深化と世論の形成,そして歯科技工士自身による歯科技工管理学の発展が,不可分に必要であることを指摘したい.
E.結論
社会保険歯科診療点数と歯科技工の法的関係を考察し,昭和63年大臣告示,いわゆる「7:3」告示に関してその意味を解明したところ次の結果を得た.
1. いわゆる保険歯科技工士は存在しない
2. 歯科技工士は己が行う歯科技工に関して,それが保険で給付されるか否かを知る立場にない
3. 歯科技工士は,いわゆる「請求権」を保持しない
4. いわゆる「7:3」告示は,「形骸化」6)することなく,現在も実勢価格に基礎を置く診療報酬点数形成のガイドラインとして存在する
稿を終えるにあたり,学恩あるすべての諸兄に深甚なる感謝の意を表します.
本論文の要旨は,日本歯科技工学会第28回学術大会(2006年17,18日,広島市)において発表した.
文献
1)内藤達郎:「7:3問題」を総括する①,日本歯科新聞1301,4,日本歯科新聞社,東京,2005.
2)内藤達郎:「7:3問題」を総括する②,日本歯科新聞,1302,3,日本歯科新聞社,東京,2005.
3)内藤達郎:「7:3問題」を総括する③,日本歯科新聞1305,5,日本歯科新聞社,東京,2005.
4)内藤達郎:「7:3問題」を総括する④,日本歯科新聞1306,3,日本歯科新聞社,東京,2005.
5)内藤達郎:「7:3問題」を総括する⑤,日本歯科新聞1307,10,日本歯科新聞社,東京,2006.
6)内藤達郎:「7:3問題」を総括する⑥,日本歯科新聞,1308,6,日本歯科新聞社,東京,2006.
7)内藤達郎:「7:3問題」を総括する⑦,日本歯科新聞1309,3,日本歯科新聞社,東京,2006.
8)桜井 充:歯科技工士の技工料の決定方法に関する質問主意書,平成14年2月19日第154回国会参議院質問主意書提出番号11号,2002
9)金田誠一:第154回国会衆議院厚生労働委員会議事録09号,17~19 ,2002.
10)金田誠一:第155回国会衆議院厚生労働委員会議事録02号,16~17 ,2002.
11)川島 哲:一週間でマスターするキャストパーシャル〈上〉,36~40,医歯薬出版,東京.
12)財団法人日本総合研究所:診療報酬のあり方に関する総合的調査 その1 論点整理,21~31 , 東京, 2004.
13)岩澤 毅:昭和と平成の勝ち組の論理と心理-昭和63年大臣告示の解釈,ごまめ30,55~61,2003.
14)岩澤 毅:2006年1月28日法律勉強会報告,東京歯技431付録,2006.
15)菅野耕毅:歯科技工関係法規,95,医歯薬出版,東京,2005.
16)遠藤久夫:医療保険・診療報酬制度:講座医療経済・政策学第2巻,55~63, 勁草書房,東京,2005.
17)大内講一:やさしい医療経学,108~111,勁草書房,東京,2005.
18)大内講一:やさしい医療経学,118~121,勁草書房,東京,2005.
19)岩澤毅:「歯科技工管理学」の提唱,ごまめ33:65~68,2005.
○健康保険法
(大正十一年四月二十二日)
(法律第七十号)
(療養の給付に関する費用)
第七十六条 保険者は、療養の給付に関する費用を保険医療機関又は保険薬局に支払うものとし、保険医療機関又は保険薬局が療養の給付に関し保険者に請求することができる費用の額は、療養の給付に要する費用の額から、当該療養の給付に関し被保険
者が当該保険医療機関又は保険薬局に対して支払わなければならない一部負担金に相当する額を控除した額とする。
2 前項の療養の給付に要する費用の額は、厚生労働大臣が定めるところにより、算定するものとする。
厚生労働省法令等データシステム(http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/index.html)より
図1健康保険法第76条
○ 社会保険医療協議会法
(昭和二十五年三月三十一日)
(法律第四十七号)
(所掌事務)
第二条 中央協議会は、次に掲げる事項について、厚生労働大臣の諮問に応じて審議し、及び文書をもつて答申するほか、自ら厚生労働大臣に、文書をもつて建議することができる。
一 健康保険法(大正十一年法律第七十号)第七十六条第二項の規定による定め、同法第八十五条第二項の規定による基準、同法第八十五条の二第二項の規定による基準、同法第八十六条第二項第一号の規定による定め及び船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)第二十八条ノ四第二項の規定による定めに関する事項
二 健康保険法第八十八条第四項の規定による定めに関する事項
厚生労働省法令等データシステム(http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/index.html)より
図2社会保険医療協議会法第2条
歯科診療報酬表
第2章 第12部 歯冠修復及び欠損補綴
A.通則
5 歯冠修復及び欠損補綴料には,製作技工に要する費用及び製作管理に要する費用が含まれ,その割合は,製作技工に要する費用がおおむね100分の70,製作管理に要する費用がおおむね100分の30である.
日本歯科技工士会:社会保険歯科診療における歯科技工関連部門の知識と解説(平成16年版),15,2005.より
図3歯科診療報酬点数表
○ 歯科技工士法施行規則
(昭和三十年九月二十二日)
(厚生省令第二十三号)
(指示書)
第十二条 法第十八条の規定による指示書の記載事項は、次のとおりとする。
一 設計
二 作成の方法
三 使用材料
四 発行の年月日
五 発行した歯科医師の住所及び氏名
六 当該指示書による歯科技工が行われる場所が 歯科技工所であるときは、その名称
厚生労働省法令等データシステム(http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/index.html)より
図4歯科技工士法施行規則第12条
日本国憲法(昭和二十一年十一月三日公布)
第二十九条 財産権は、これを侵してはならない。
2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
3 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
法令データ提供システム(http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxsearch.cgi)
より
図5日本国憲法第29条