歯科技工管理学研究

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歯科技工士・岩澤 毅

杉岡範明 組織の視点<1>歯科技工士の代表組織としての役割

2017年09月17日 | 森元主税


月刊 『歯科医療経済』 2017年9月号

特集/進む高齢化とデジタル化、どうなる歯科技工の未来予想図

◇ 組織の視点<1>歯科技工士の代表組織としての役割

  公益社団法人日本歯科技工士会 杉岡範明会長に聞く

歯科技工界の代表組織である日本歯科技工士会では、将来予想される人材不足についてどのような見解を示しているのか。現状の課題と組織としての役割について、杉岡範明会長に伺った。

―歯科技工士学校への入学希望者が減少している理由についてどのようにお考えですか

杉岡 まず18歳人口の減少が挙げられます。この影響は歯科技工士養成施設に限ったことではありません。
 また、歯科技工士という職業の認知率が低いためという意見もありますが、就労環境や待遇を包括した労務環境に対する不満などがネット上では多く見受けられ、離職率が高いという現実もからも、社会が歯科技工士という仕事を評価していないことが大きな理由の一つではないかと考えています。

 ただし、現状ではまだ『歯科技工士不足』という状態に至っていないので、冷静に状況を見極めていく必要があると考えています。

―志望者の減少を改善するためにはどのような対策が必要でしょうか

杉岡 近年の歯科保健医療の変化に伴い、心療室内でのシェードテイキング、人工歯の選択等チェアサイドでの歯科技工士に関連する業務の評価や地域包括ケアシステムを推進する中で訪問診療における歯科技工士の業務の在り方を検討し、医療に携わりたいという若者の期待に応えるカリキュラムを取り入れ、
教育内容を魅力あるものに改善する必要があると思います。そのためにも教育年限の延を三年以上にする必要があると考えます。


―労務環境の改善のために組織としてはどのような対応をされていますか

杉岡 まず、この職業を志してくれた若者を、歯科界挙げて未来に繋げる努力が必要だと思います。その上で、会員に雇用契約の整備等を促し、就労環境の改善を求めています。また、女性活躍推進委員会を設置し、女性歯科技工士が働きやすい環境のあり方について議論を進め、今年度は全国6地域でセミナーを展開しています。
 しかし、そもそも歯科技工士の待遇は、委託歯科技工の評価によって大きな影響を受けます。そのための課題解決に向けて行政、関係団体等と積極的に話し合います。

―高齢化が進む会員に対し、デジタル技工のような新たな技術に関する支援を行うことについてはいかがですか

杉岡 デジタル技工が普及すると言われていますが、現時点ではまだ補綴物全体の一分野に過ぎません。保険適用のCAD/CAM冠はさらにそのごく一部です。
したがって、デジタル技術が歯科技工全体に与える影響は、慎重に見極める必要があと考えています。歯科技工に必要なツールであることは間違いありません。

―歯科技工士の需給問題を考える際に、正確な就業者数や歯科技工士数の把握が課題とのことですが

杉岡 歯科技工に関わる政策立案のためには正確なデータに基づく分析が必要であることから、その点については厚生労働省と精力的に折衝を進めます。
歯科技工法により就業者は2年に一度の「業務従事届」を、歯科技工所の開設者は「歯科技工所開設届」を提出することが義務付けられています。法令順守を内外に徹底し、データを精査し矛盾が生じている地域については行政にしっかりした対応を求めていきます。


http://www.shien.co.jp/act/d.do?id=14154

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