人民の海無き山岳ゲリラ, 2009/2/18
By 歯職人
カストロ兄弟と共に闘ったのキューバ革命戦争勝利し、一度は政権運営の任にあたったその国を旅立ち、ボリビアを舞台に新たな革命戦争を目指したゲバラの落日を描くチェ・パート2。
キューバ政権奪取後、政権を離れた経緯には既に諸説が語られているが、政権運営・政権維持の日々にリアル感を持ちえず、戦場にのみ死に場所を求める心性と理解したい。これは、晩年の西郷隆盛等にも見られると思う。
しかし、ボリビアにおいては、「外国人」としての現地政治との距離、キューバ革命の成功体験による視野狭窄、あるいは革命家としての「名声」とのジレンマ、伝説の革命家に寄りかかる革命家志願者のひ弱さ等があったのではなかろうか、これらの諸々が人民の海無き山岳ゲリラを消耗戦・敗退戦へと導く。
本編では、ゲバラの病もあろうが、「老い」と前屈みの司令官の映像が痛々しい。客観情勢あるいは主客の基盤を冷静に観察せず、希望的観測・願望先行のカストロ兄弟無き単独の革命司令官の夢想が、銃殺時の意識喪失までのタイムラグを表現したゲバラの視界の揺れとかすみの中に落とし込まれて描かれている。
『モーターサイクル・ダイアリーズ』と合せて、3部作として鑑賞するのも一興と思われる。
「梁山泊」、「亀山社中」、改革を志す者たちの心を揺さぶる物語が様々存在するが、学ぶべきものは敗北と失敗の中にこそあると考えさせる物語である。
チェ/39歳 別れの手紙
原題:Che: Part Two
監督・撮影:スティーブン・ソダーバーグ
製作:ローラ・ビックフォード、ベニチオ・デル・トロ
製作総指揮:アルバロ・アウグスティン、アルバロ・ロンゴリア、ベレン・アティエンサ、フレデリック・W・ブロスト、グレゴリー・ジェイコブズ
脚本:ピーター・バックマン
美術:アンチェン・ゴメス
音楽:アルベルト・イグレシアス
製作国:2008年スペイン・フランス・アメリカ合作映画
上映時間:2時間13分
配給:ギャガ・コミュニケーションズ、日活
「トラフィック」でオスカー監督賞&助演男優賞を受賞したスティーブン・ソダーバーグとベニチオ・デル・トロが、キューバ革命を率いた指導者エルネスト・チェ・ゲバラの半生を描いた2部作の第2部。キューバでの革命を成功させたゲバラだったが、地位や市民権を全て放棄し、再び革命の旅に乗り出す。1966年、独裁政権下にあるボリビアに入国したゲバラは、ゲリラとして政府軍と戦うが……。
By 歯職人
カストロ兄弟と共に闘ったのキューバ革命戦争勝利し、一度は政権運営の任にあたったその国を旅立ち、ボリビアを舞台に新たな革命戦争を目指したゲバラの落日を描くチェ・パート2。
キューバ政権奪取後、政権を離れた経緯には既に諸説が語られているが、政権運営・政権維持の日々にリアル感を持ちえず、戦場にのみ死に場所を求める心性と理解したい。これは、晩年の西郷隆盛等にも見られると思う。
しかし、ボリビアにおいては、「外国人」としての現地政治との距離、キューバ革命の成功体験による視野狭窄、あるいは革命家としての「名声」とのジレンマ、伝説の革命家に寄りかかる革命家志願者のひ弱さ等があったのではなかろうか、これらの諸々が人民の海無き山岳ゲリラを消耗戦・敗退戦へと導く。
本編では、ゲバラの病もあろうが、「老い」と前屈みの司令官の映像が痛々しい。客観情勢あるいは主客の基盤を冷静に観察せず、希望的観測・願望先行のカストロ兄弟無き単独の革命司令官の夢想が、銃殺時の意識喪失までのタイムラグを表現したゲバラの視界の揺れとかすみの中に落とし込まれて描かれている。
『モーターサイクル・ダイアリーズ』と合せて、3部作として鑑賞するのも一興と思われる。
「梁山泊」、「亀山社中」、改革を志す者たちの心を揺さぶる物語が様々存在するが、学ぶべきものは敗北と失敗の中にこそあると考えさせる物語である。
チェ/39歳 別れの手紙
原題:Che: Part Two
監督・撮影:スティーブン・ソダーバーグ
製作:ローラ・ビックフォード、ベニチオ・デル・トロ
製作総指揮:アルバロ・アウグスティン、アルバロ・ロンゴリア、ベレン・アティエンサ、フレデリック・W・ブロスト、グレゴリー・ジェイコブズ
脚本:ピーター・バックマン
美術:アンチェン・ゴメス
音楽:アルベルト・イグレシアス
製作国:2008年スペイン・フランス・アメリカ合作映画
上映時間:2時間13分
配給:ギャガ・コミュニケーションズ、日活
「トラフィック」でオスカー監督賞&助演男優賞を受賞したスティーブン・ソダーバーグとベニチオ・デル・トロが、キューバ革命を率いた指導者エルネスト・チェ・ゲバラの半生を描いた2部作の第2部。キューバでの革命を成功させたゲバラだったが、地位や市民権を全て放棄し、再び革命の旅に乗り出す。1966年、独裁政権下にあるボリビアに入国したゲバラは、ゲリラとして政府軍と戦うが……。