22 - 参 - 社会労働委員会 - 25号
昭和30年07月12日
○委員長(小林英三君) 御異議ないものと認めます。
なお、日程によりますというと、歯科技工法案が残っておるのですが、継続してやりますか、それとも次回に譲りますか。
○山下義信君 次回にお願いしましょう。
○委員長(小林英三君) では、本日は、これに、散会いたします。
午後零時二十八分散会
22 - 参 - 社会労働委員会 - 26号
昭和30年07月14日
昭和三十年七月十四日(木曜日)
午後十一時六分開会
本日の会議に付した案件
○歯科技工法案(内閣提出)
○委員長(小林英三君) 次に、歯科技工法案を議題といたします。
御質疑をお願いいたします
○高野一夫君 政府委員にお尋ねいたしますが、私が前回お尋ねした点なんでありますけれども、この附則に特例技工士なるものがあり、特例技工所なるものがあるわけであります。そこでこの条文を読みますと、いかにも過去の業務をやっている者に対する既得権を認め、そうしてその年限内において試験をやれば正規の歯科技工士になる、こういうようなふうに解せられるような感じがいたすのでありますが、しからば、特例技工士でなくして、やはり歯科技工士としての資格を認め、その業務を認めることになると思うのであります。ところが、この間政府委員の御答弁によるというと、これは特例技工士とか、あるいは特例技工所なるものを、特別のそういう名称を置くのでなくして、法律の条文整理の都合上ここにあげたにすぎないのだ、こういうようなことであったようでございますが、この点についてもう少し詳しく御説明を願いたい。
○政府委員(高田浩運君) 前回御質問がありました節にお答え申し上げましたように、現在技師の仕事に従事しておりまして、経過的にこの法律ができましてもなお一定の期間従事できる、そういう人方については、本来から申し上げれば特定の名称をつける必要はないのでございます。と申しますのは、そういう人たちに対して、将来この法律がほんとうに本格的に実施されました以後において技工士になられる方と区別をするのであるならば、これは特定の名称をつける必要がありますけれども、そういう意図は、もちろんこの法律によりましておわかりの通りに、ないのでございますので、そういう意味からする特定の名称をつける必要はこれはないわけでございます。従いまして率直に申し上げまして、こういう特別の名前をつけることは、われわれの万であえて好んでおるわけではございませんけども、前回申し上げましたように、条文整理上、何らかのこういう名前を、簡単な文字を使いませんというと、非常に条文が冗漫になりましてかえって不明確、読んだ場合に繁雑であり、かえって不親切な結果になることをおそれまして、便宜こういう名前を条文の整理上使わしていただいた次第でございます。
○高野一夫君 しからば、附則第二条に該当する者は、今後とも一般の場合と同様に歯科技工士と称し、また附則第五条かに該当するものは歯科技工所と称してごうも差しつかえないわけでありますか。
○政府委員(高田浩運君) お説の通りでございます。
○委員長(小林英三君) 他に御発言がなけらねば、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小林英三君) 御異議がないようでございます。質疑は終了したものと認めます。
この際お諮りいたします。加藤武徳君から委員長の手元に修正案が提出されておりますので、本修正案を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小林英三君) 御異議がないものと認めます。それでは加藤委員より修正案の趣旨説明を願います。
○加藤武徳君 それではまず修正案を朗読さしていただきます。
歯科技工法に対する修正案
歯科技工法案の一部を次のように修正する。
目次中「(第二十一条-第二十六条)」を「(第二十一条-第二十七条)」に、「(第二十七条-第三十一条)」を「(第二十八条-第三十二条)」に改める。第十二第一項中「歯科技工士学校又は同条第二号に規定する」を削る。
第十四条中第一号を削り、第二号を第一号とし、第三号を第二号とし、第四号を第三号とする。
第十六条を次のように改める。第十六条 この章に規定するもののほか、第十四条第一号に規定する歯科技工士養成所並びに試験科目及び受験手続その他試験に関して必要な事項は、厚生省令で定める。
第十八条に次のただし書を加える。
ただし、病院又は診療所内の場所において、かつ、患者の治療を担当する歯科医師の直接の指示に基いて行う場合は、この限りでない。
第二十六条を第二十七条とし、以下順次一条ずつ繰り下げ、第二十五条の次に次の一条を加える。
(広告の制限)第二十六条 歯科技工の業又は歯科技工所に関しては、文書その他いかなる方法によるを問わず、何人も、次に掲げる事項を除くほか、広告をしてはならない。
一、歯科医師又は歯科技工士である旨
二、歯科技工に従事する歯科医師又は歯科技工士の氏名
三、歯科技工所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項
四、その他都道府県知事の許可を受けた事項
2 前項各号に掲げる事項を広告するに当つても、歯科医師若しくは歯科技工士の技能、経歴若しくは学位に関する事項にわたり、又はその内容が虚偽にわたつてはならない。
繰り下げ後の第三十一条第二号中「又は第二十二条」を「第二十二条又は第二十六条」に改め、同条第三号中「第二十六条第一項」を「第二十七条第一項」に改める。
繰り下げ後の第三十二条中「第二十八条第四号」を「第二十九条第四号」に改める。
附則第二条第三項中「及び第二十条」を「第二十条及び第二十六条」に改める。
附則第五条第二項中「第二十六条第一項」を「第二十七条第一項」に改め、同条に次の一項を加える。
3 第一項及び附則第二条第三項において準用する第二十六条の規定に違反した者は、五千円以下の罰金に処する。
附則第七条中「第五条第二項」を「第五条第二項若しくは第三項」に改める。
附則第九条中「歯科衛生婦」を「歯科衛生士」に改める。
簡単に提案の理由を御説明申し上げますると、少々繁雑なようでございまするが、内容は簡単な三点に相なっております。まず、技術的な条文の修正でございまするが、目次の修正は、新たに第二十六条の広告制限の規定を設けましたために、二十六条以下を繰り下げまする措置といたしまして目次の整理を行なっております。
実質的な修正の第一点は、お手元に修正案の解説といたしまして配ってあるはずと存じまするが、この解説の第二、第三、第四の点でございます。すなわち、政府原案におきましては、第十四条において、歯科技工士となりまするための「試験は、次の各号の一に該当する者でなければ、受けることができない。」、かようなことで、一、二、三、四、四つの場合をあげておるのでありまするが、試験を受け得まする四つの場合の第三と第四は、さほど私は問題にならない、かように思うのでありまするが、第一の「文部大臣の指定した歯科技工士学校を卒業した者」と、「第二の厚生大臣の指定した歯科技工士養成所を卒業した者」、かような二本建によりまして試験を受け得まする資格を作りますことは、御承知の通り歯科技工士は歯科医師との数の均衡を必要といたします。その均衡が歯科医師五に対して歯科技工士一であるが あるいは歯科医師四に対して一であるか、または三に対して一であるかの問題はしばらくおくといたしまして、いずれにいたしましても、歯科医師の数と絶えず均衡を保つ必要があるのでありまするが、養成機関を文部省の所管下におきまする学校と厚生大臣の所管下におきまする養成所と二本建でありましては、両者間の緊密な調整を保ちつつ養成をいたすと仮定をいたしましても、あるいは不均衡が起るのではないか、かような危惧があるわけであります。従いまして今回のこの修正では、文部省の指定いたしまする歯科技工士学校を除きまして、厚生省の指定いたしまする歯科技工士の養成施設一本、かように一元化した方が好ましい、かような立場から第十二条と第十四条及び第十六条、この三カ条を修正しようとするものでございます。
それから修正の第二点は、指示書についてでございます。これは修正案解説の第五でございまするが、第十六条の修正とありまするのは誤りで、第十八条の修正が正しいのでございます。政府原案におきましては第十八条で、歯科医師または歯科技工士は、厚生省会できめた事項を記載した歯科医師の指示書をもちまして歯科技工士に業として技工をやらせるんだ、かように相なっておるのでありまするが、いかなる場合でもこの原則通りに文書による指示書が必要であるかどうか、この点の検討をいたしたのでありまするが、同一の病院または同一の診療所内におきまして、かつ患者の治療を担当いたしておりまする歯科医師が、みずから直接の指示を行いまして製作せしめる場合には、文書によりまする指示書は必ずしも必要でないんじやないだろうか、かように考えまして指示書の例外の措置を第十八条のただし書きによりまして認めようといたしまするのが修正の第二点でございます。
第三点は、新たに第二十六条に広告制限の規定を設けようとするものでございます。歯科技工士は歯科医師の指示に基きまして技工を業といたす者でございまするところから、対外的な交渉部面は比較的少のうございます。従いまして対外的な宣伝広告の制限は必要ではないんじゃないか、かような見解もないではないと思うのでありまするが、過去におきまして歯科技工士、あるいは歯科技工所が対外的な宣伝広告を行い、それがために歯科医師法違反に問われた例がないでもないのでありまして、むしろこの際は医師並びに歯科医師と同様に広告制限を行うことによりまして、かようなあやまちを犯しますることを未然に防ぐ措置が必要ではないか、かような立場から、医師並びに歯科医師に負わせておりまする広告制限とほぼ同様な第二十六条の広告制限の規定を設けたわけでございまするが、なお、二十六条のこの規定と関連をいたしまして、繰り下げ後の第三十一条、第三十二条に若干の技術上の修正を行いましたのと、附則第二条及び第五条並びに第七条の広告制限の違反を犯しました場合の処罰規定等を含みまする若干の修正を行なつておるわけでございます。
最後に、これも技術的な点でございまするが、附則の第九条の修正でございます。附則の第九条におきましては、歯科技工士の名称を挿入いたしまする措置を技術的に考えておるのでありまするが、「歯科衛生婦」の下に「、歯科技工士」を加える。」、かように相なつておりまするが、先ほど本委員会におきまして、歯科衛生婦ではなく歯科衛生士と、かような修正議決が行われた点にかんがみまして、「歯科衛生婦」を「歯科衛生士」、かように修正いたす。
以上簡単ではございまするが、修正案の説明でございます。
○委員長(小林英三君) ただいまの修正案に対しまして、質疑のおありの方は順次御質疑を願います。
○田村文吉君 政府委員に伺いたいのですが、文部大臣の指定している歯科技工士学校という特殊のものがあるのですか。またなければないで、文部省で歯科技工を教える総合的な学校というものがあるのでしょうか、ないのでしょうか。
○政府委員(高田浩運君) 歯科技工士の養成をいたしております養成施設が現在三カ所ありますけれども、これはいわば、まあ端的に申し上げれば、法律以前の姿でもございますので、学校とも養成所ともつかないそういった格好のものでございまして、従っていわゆる厳密な意味での学校ではないと承知いたしております。
○田村文吉君 そうでもございましょうが、技術上、そういう技術を教えている総合的の学校があるんじゃないかどうかということです。
○政府委員(高田浩運君) いわゆる歯科大学におきましては、歯科医師の教育としては、これは教育の一部としてはやっておりますけれども、これを別といたしまして、ここにこの法案に規定をいたしまする歯科技工士の養成機関としては、養成施設は三カ所ございますけれども、いわゆる学校教育法にいう学校にはなっていない、そういうふうに承知をいたしております。
○田村文吉君 そこで、修正案の提案者に伺いたいんですが、歯科大学なり、歯科専門の学校で教育を受けて歯科技術を修得した人が受験する資格を今度なくするということになるんですか。受験の資格はあるんですか、ないんですか。
○加藤武徳君 受験の資格はございます。具体的に申し上げますと、たとえば日本大学の歯学部には技工士養成所、かような施設がございまするが、これは学校教育法にいう学校ではないわけでございまして、この施設を厚生省によって指定をすることによりまして受験資格が生ずる、かように了解をいたしております。
○田村文吉君 それはそうだろうと思うんですが、そうでない総合的の歯科大学とか歯科専門学校といものでそういう技工を教えている。教えているんだが、これは厚生省の指定の所を出たのでなければ、受験資格はないんだということになるんですかどうかということなんです。
○加藤武徳君 厚生省が指定をしなければ、受験資格は生まれない、かように了解をいたします。
○田村文吉君 大へんその点が窮屈になるように思うんですが、提案者として、そういうことにお考えになりませんですか。
○加藤武徳君 私は、おそらく既存の養成施設のすべてを厚生省が指定なさると思いまするし、修正案のごとく、文部、厚生二本建を一元化したことによりまして、養成施設で学ばれる諸君が不利益を受けるとか、不便になるというようなことはないと、私はかように思います。
○田村文吉君 そうすると、そういう大学に対しては、厚生省が指定をするということによって救済ができる、こういうお考えですか。
○加藤武徳君 さようでございます。
○田村文吉君 ちょっと政府委員に伺いますが、そういうことはできますか。
○政府委員(高田浩運君) たとえば看護婦の養成所等につきましても、大学の附属の養成所につきまして厚生大臣が指定している例もございますし、それは可能でございます。
○田村文吉君 私の言うのは、養成所ということは明瞭にここに書いてあるからまだいいんですが、養成所の名前を使わないもので、ある大学を厚生省が指定して、そこを出た人は養成所を出た人と同様に受験資格はあるんだ、こういうことは指定できるかどうかということです。
○加藤武徳君 ただいまの田村先生の御質問でございますが、大学の歯学部等におきまして歯科技工に関しまする業を修めます人は、当然歯科医師としての資格を取得なさる人でございまするから、歯科技工の業務は歯科医師は当然できる。そのほかに歯科技工のみをなし得る者をこの法律によって認めようという考え方でございまするから、ただいまの御質問の点は、当然歯科医師としての資格で歯科技工ができる、私はかように思っております。
○相馬助治君 加藤君の修正に関連して政府側の見解を二点伺いたいんです。
第一点は、ただいま田村委員とも質疑がなされましたが、それに類することで、今回のこの加藤君の提案した修正案について、厚生省自体の総合的な見解を承わりたいと思います。おそらくこれについては、議員さんが修正されたものについてとやかく意見を言うべき筋ではございませんと、こういうふうな答弁が予想されますが、私が聞いているのは、そういうことではなくて、政治的なものでなくて、厚生省自体としては、この修正によって実は事務処理上こういう支障が予想されますとか、そういう支障は何もありませんとかということを伺いたいというので、全く事務的なことでございまするから、どのようなことをおっしゃっても加藤君に失礼にならぬと思いますので、一つ御見解を承わりたいと思うのです。これは質問の性質上、次官の答弁はお断わりをいたして、事務当局からの答弁をお聞きいたします。
それから第二は、これにやはり連関しておることではありますが、加藤君の修正案を見ますと、広告制限の規定を設けることになっておりまするが、このような重大なことを、原案を作る場合に厚生省において問題にならなかったのか、なったのか。かりに問題になったとするならば、問題になりながら、しかもこの制限を設けなかった理由は何であったか、この点承わりたい。
○政府委員(高田浩運君) 結論から先に申し上げれば、事務上の支障はないと考えております。
さらに各項目について私どもの考え方を申し上げさしていただきます。第一点の、養成施設について文部大臣の指定した学校を云々という項目を削る、従っていわゆる厚生大臣一本の指定にするという改正の点でございますけれども、この点は、従来は医療関係者あるいは医療関係の補助者に関しまする規定におきましては、大体において学校については文部大臣が指定をし、養成所については厚生大臣が指定をする、そういうような従来の例になっておりましたし、いわゆる学校と、それからそのほかの養成施設についての政府部内の取扱いからこういう
ことになつておったその例にならったのでございますけれども、しかし、今御修正として提案になったような例も一、二あるにはあるのでございます。それはたとえば栄養士でありますとか、あるいはクリーニング師でありますとか、そういったものについては厚生大臣一本になっております。この辺は従って、事務処理上の建前と申しますか、そういう点は別といたしまして、取扱い方は支障は来たさない、かように考えております。
それから第二点の指示書の件でございます。この点も先日申し上げましたように、厚生省令で定める云々ということでございまして、原文にございますが、この点で実際に自分の診療所内における技工につきましては、ある程度のしんしゃくを加えることを考えておったのでございますが、この点をただし書きの形においてはっきりさせるということに結果としてはなるわけでございます。
それから第三の広告制限の点でございます。この点は御推測のように、私どもも十分検討いたしまして、それで大衆に対して、もし間違った広告が行われることになれば、その害毒が及ぶことを相当考慮いたしまして検討いたしましたけれども、法制上の立場から、このような強い制限を置くことはいかがかというような考え方もございまして、その辺の意見を考慮いたしまして原案からとりまして御提出申し上げたような、そういうようないきさつでございます。
以上であります。
○高野一夫君 今の御説明で二点だけ私はさらに確めておきたいと思うのでありますが、現在文部省指定の技工士学校があるとするならば、それは直ちに厚生省指定に移し得るものであるかどうか、これが一点。それからついでに申し上げますが、もう一つは、第十八条の加藤委員の修正案でありますが、この指示書なるものは原案にもあるけれども、これは歯科医師がその同じ病院、同じ診療所内において歯科医師が直接技工士に命令を下すものであって、患者が何ら介在する必要のないものであるから、患者の介在を必要とする処方せんとは性格的に全然違うものである、かように解して私は十八条の修正案に賛成をしたいと思うわけでありますけれども、この処方せんなるものと、ここにある指示書と性格が完全に違うものであるという私の見解が、あなた方としてどういうふうにお考えになるかどうか、この二点を伺いたい。
○政府委員(高田浩運君) 現在いわゆる歯科技工士の養成をいたしておりまする養成施設は、いわばこういったような法律以前の姿でございましたので、今お話のありました文部大臣が指定した、あるいはするとかいう問題以前の問題でございますので、今後法律ができましたら、あらためてこの法律に従って指定の申請をする、そういうことになるわけでございます。
第二点のお話でございますが、今御引例になりました処方せんということでございますが、実は指示書というのは処方せんとは私は違った性格のものに考えておるのでございます。処方せんというのは、これはもう申し上げるまでもなく、医師から患者に交付をして、患者が薬局に提出をして調剤をしてもらう、そういうことになるわけでございますけれども、もともとこの指示書というのは歯科医師が歯科疾患のある者を診療いたします過程において、技工をなす必要がある場合に、たまたま自分がやるべき技工の全部または一部をほかの者に委託して作らせる、そういう性格のものでございますので、この指示書を患者に渡して患者が技工所に持っていって技工をやってもらう、そういうことは全然実は意図しておりませんので、みずから歯科医師が指示書を書いてそれを自分なりあるいは自分の使者を通じて技工所あるいは技工士に委託をして作らせるということでございまして、その辺はむしろまあ処方せん的というよりもむしろカルテ的に考えておるのでございます。
○高野一夫君 了承いたしました。
○委員長(小林英三君) 他に御質疑ございませんか。――御質疑はないようでございます。修正案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小林英三君) 御異議がないものと認めます。これより討論に入りたいと存じます。原案並びに修正案につきまして、討論に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小林英三君) 御異議ないものと認めますこれより。討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
○相馬助治君 私は、ただいま議案となりました歯科技工法案に対しまして、加藤武徳君提案の修正案に賛成し、その修正部分を除いた政府原案に賛成の意見を表明いたします。
修正案を見ますると、その第二十六条に広告の制限の規定を設けるように相なっております。これはこの法案が成立することによつて、私どもが最もおそれますことは歯科技工士が歯科医師と同一の診療をなす、すなわち診療上の混乱を招くおそれがないかということでございまして、これらに連関いたしまして、この広告の制限というものは適切なる修正であると存ずるのでございます。その他については別に意見はございませんが、どこまでもこの法律案の成立することによって、将来歯科技工士が歯科医師の診療内容にまで立ち入ることによる診療上の紛淆を来たすことのないように、当局におかれては十分御留意あって、本法を適用、運用されることを期待いたすものでございます。
以上をもって、加藤武徳君提案の修正案に賛成し、修正部分を除く政府原案に賛成の意思を表明するものでございます。
○委員長(小林英三君) 他に御発言がなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小林英三君) 全員でございます。よって本修正案は全会一致で可決いたしました。
昭和30年07月12日
○委員長(小林英三君) 御異議ないものと認めます。
なお、日程によりますというと、歯科技工法案が残っておるのですが、継続してやりますか、それとも次回に譲りますか。
○山下義信君 次回にお願いしましょう。
○委員長(小林英三君) では、本日は、これに、散会いたします。
午後零時二十八分散会
22 - 参 - 社会労働委員会 - 26号
昭和30年07月14日
昭和三十年七月十四日(木曜日)
午後十一時六分開会
本日の会議に付した案件
○歯科技工法案(内閣提出)
○委員長(小林英三君) 次に、歯科技工法案を議題といたします。
御質疑をお願いいたします
○高野一夫君 政府委員にお尋ねいたしますが、私が前回お尋ねした点なんでありますけれども、この附則に特例技工士なるものがあり、特例技工所なるものがあるわけであります。そこでこの条文を読みますと、いかにも過去の業務をやっている者に対する既得権を認め、そうしてその年限内において試験をやれば正規の歯科技工士になる、こういうようなふうに解せられるような感じがいたすのでありますが、しからば、特例技工士でなくして、やはり歯科技工士としての資格を認め、その業務を認めることになると思うのであります。ところが、この間政府委員の御答弁によるというと、これは特例技工士とか、あるいは特例技工所なるものを、特別のそういう名称を置くのでなくして、法律の条文整理の都合上ここにあげたにすぎないのだ、こういうようなことであったようでございますが、この点についてもう少し詳しく御説明を願いたい。
○政府委員(高田浩運君) 前回御質問がありました節にお答え申し上げましたように、現在技師の仕事に従事しておりまして、経過的にこの法律ができましてもなお一定の期間従事できる、そういう人方については、本来から申し上げれば特定の名称をつける必要はないのでございます。と申しますのは、そういう人たちに対して、将来この法律がほんとうに本格的に実施されました以後において技工士になられる方と区別をするのであるならば、これは特定の名称をつける必要がありますけれども、そういう意図は、もちろんこの法律によりましておわかりの通りに、ないのでございますので、そういう意味からする特定の名称をつける必要はこれはないわけでございます。従いまして率直に申し上げまして、こういう特別の名前をつけることは、われわれの万であえて好んでおるわけではございませんけども、前回申し上げましたように、条文整理上、何らかのこういう名前を、簡単な文字を使いませんというと、非常に条文が冗漫になりましてかえって不明確、読んだ場合に繁雑であり、かえって不親切な結果になることをおそれまして、便宜こういう名前を条文の整理上使わしていただいた次第でございます。
○高野一夫君 しからば、附則第二条に該当する者は、今後とも一般の場合と同様に歯科技工士と称し、また附則第五条かに該当するものは歯科技工所と称してごうも差しつかえないわけでありますか。
○政府委員(高田浩運君) お説の通りでございます。
○委員長(小林英三君) 他に御発言がなけらねば、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小林英三君) 御異議がないようでございます。質疑は終了したものと認めます。
この際お諮りいたします。加藤武徳君から委員長の手元に修正案が提出されておりますので、本修正案を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小林英三君) 御異議がないものと認めます。それでは加藤委員より修正案の趣旨説明を願います。
○加藤武徳君 それではまず修正案を朗読さしていただきます。
歯科技工法に対する修正案
歯科技工法案の一部を次のように修正する。
目次中「(第二十一条-第二十六条)」を「(第二十一条-第二十七条)」に、「(第二十七条-第三十一条)」を「(第二十八条-第三十二条)」に改める。第十二第一項中「歯科技工士学校又は同条第二号に規定する」を削る。
第十四条中第一号を削り、第二号を第一号とし、第三号を第二号とし、第四号を第三号とする。
第十六条を次のように改める。第十六条 この章に規定するもののほか、第十四条第一号に規定する歯科技工士養成所並びに試験科目及び受験手続その他試験に関して必要な事項は、厚生省令で定める。
第十八条に次のただし書を加える。
ただし、病院又は診療所内の場所において、かつ、患者の治療を担当する歯科医師の直接の指示に基いて行う場合は、この限りでない。
第二十六条を第二十七条とし、以下順次一条ずつ繰り下げ、第二十五条の次に次の一条を加える。
(広告の制限)第二十六条 歯科技工の業又は歯科技工所に関しては、文書その他いかなる方法によるを問わず、何人も、次に掲げる事項を除くほか、広告をしてはならない。
一、歯科医師又は歯科技工士である旨
二、歯科技工に従事する歯科医師又は歯科技工士の氏名
三、歯科技工所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項
四、その他都道府県知事の許可を受けた事項
2 前項各号に掲げる事項を広告するに当つても、歯科医師若しくは歯科技工士の技能、経歴若しくは学位に関する事項にわたり、又はその内容が虚偽にわたつてはならない。
繰り下げ後の第三十一条第二号中「又は第二十二条」を「第二十二条又は第二十六条」に改め、同条第三号中「第二十六条第一項」を「第二十七条第一項」に改める。
繰り下げ後の第三十二条中「第二十八条第四号」を「第二十九条第四号」に改める。
附則第二条第三項中「及び第二十条」を「第二十条及び第二十六条」に改める。
附則第五条第二項中「第二十六条第一項」を「第二十七条第一項」に改め、同条に次の一項を加える。
3 第一項及び附則第二条第三項において準用する第二十六条の規定に違反した者は、五千円以下の罰金に処する。
附則第七条中「第五条第二項」を「第五条第二項若しくは第三項」に改める。
附則第九条中「歯科衛生婦」を「歯科衛生士」に改める。
簡単に提案の理由を御説明申し上げますると、少々繁雑なようでございまするが、内容は簡単な三点に相なっております。まず、技術的な条文の修正でございまするが、目次の修正は、新たに第二十六条の広告制限の規定を設けましたために、二十六条以下を繰り下げまする措置といたしまして目次の整理を行なっております。
実質的な修正の第一点は、お手元に修正案の解説といたしまして配ってあるはずと存じまするが、この解説の第二、第三、第四の点でございます。すなわち、政府原案におきましては、第十四条において、歯科技工士となりまするための「試験は、次の各号の一に該当する者でなければ、受けることができない。」、かようなことで、一、二、三、四、四つの場合をあげておるのでありまするが、試験を受け得まする四つの場合の第三と第四は、さほど私は問題にならない、かように思うのでありまするが、第一の「文部大臣の指定した歯科技工士学校を卒業した者」と、「第二の厚生大臣の指定した歯科技工士養成所を卒業した者」、かような二本建によりまして試験を受け得まする資格を作りますことは、御承知の通り歯科技工士は歯科医師との数の均衡を必要といたします。その均衡が歯科医師五に対して歯科技工士一であるが あるいは歯科医師四に対して一であるか、または三に対して一であるかの問題はしばらくおくといたしまして、いずれにいたしましても、歯科医師の数と絶えず均衡を保つ必要があるのでありまするが、養成機関を文部省の所管下におきまする学校と厚生大臣の所管下におきまする養成所と二本建でありましては、両者間の緊密な調整を保ちつつ養成をいたすと仮定をいたしましても、あるいは不均衡が起るのではないか、かような危惧があるわけであります。従いまして今回のこの修正では、文部省の指定いたしまする歯科技工士学校を除きまして、厚生省の指定いたしまする歯科技工士の養成施設一本、かように一元化した方が好ましい、かような立場から第十二条と第十四条及び第十六条、この三カ条を修正しようとするものでございます。
それから修正の第二点は、指示書についてでございます。これは修正案解説の第五でございまするが、第十六条の修正とありまするのは誤りで、第十八条の修正が正しいのでございます。政府原案におきましては第十八条で、歯科医師または歯科技工士は、厚生省会できめた事項を記載した歯科医師の指示書をもちまして歯科技工士に業として技工をやらせるんだ、かように相なっておるのでありまするが、いかなる場合でもこの原則通りに文書による指示書が必要であるかどうか、この点の検討をいたしたのでありまするが、同一の病院または同一の診療所内におきまして、かつ患者の治療を担当いたしておりまする歯科医師が、みずから直接の指示を行いまして製作せしめる場合には、文書によりまする指示書は必ずしも必要でないんじやないだろうか、かように考えまして指示書の例外の措置を第十八条のただし書きによりまして認めようといたしまするのが修正の第二点でございます。
第三点は、新たに第二十六条に広告制限の規定を設けようとするものでございます。歯科技工士は歯科医師の指示に基きまして技工を業といたす者でございまするところから、対外的な交渉部面は比較的少のうございます。従いまして対外的な宣伝広告の制限は必要ではないんじゃないか、かような見解もないではないと思うのでありまするが、過去におきまして歯科技工士、あるいは歯科技工所が対外的な宣伝広告を行い、それがために歯科医師法違反に問われた例がないでもないのでありまして、むしろこの際は医師並びに歯科医師と同様に広告制限を行うことによりまして、かようなあやまちを犯しますることを未然に防ぐ措置が必要ではないか、かような立場から、医師並びに歯科医師に負わせておりまする広告制限とほぼ同様な第二十六条の広告制限の規定を設けたわけでございまするが、なお、二十六条のこの規定と関連をいたしまして、繰り下げ後の第三十一条、第三十二条に若干の技術上の修正を行いましたのと、附則第二条及び第五条並びに第七条の広告制限の違反を犯しました場合の処罰規定等を含みまする若干の修正を行なつておるわけでございます。
最後に、これも技術的な点でございまするが、附則の第九条の修正でございます。附則の第九条におきましては、歯科技工士の名称を挿入いたしまする措置を技術的に考えておるのでありまするが、「歯科衛生婦」の下に「、歯科技工士」を加える。」、かように相なつておりまするが、先ほど本委員会におきまして、歯科衛生婦ではなく歯科衛生士と、かような修正議決が行われた点にかんがみまして、「歯科衛生婦」を「歯科衛生士」、かように修正いたす。
以上簡単ではございまするが、修正案の説明でございます。
○委員長(小林英三君) ただいまの修正案に対しまして、質疑のおありの方は順次御質疑を願います。
○田村文吉君 政府委員に伺いたいのですが、文部大臣の指定している歯科技工士学校という特殊のものがあるのですか。またなければないで、文部省で歯科技工を教える総合的な学校というものがあるのでしょうか、ないのでしょうか。
○政府委員(高田浩運君) 歯科技工士の養成をいたしております養成施設が現在三カ所ありますけれども、これはいわば、まあ端的に申し上げれば、法律以前の姿でもございますので、学校とも養成所ともつかないそういった格好のものでございまして、従っていわゆる厳密な意味での学校ではないと承知いたしております。
○田村文吉君 そうでもございましょうが、技術上、そういう技術を教えている総合的の学校があるんじゃないかどうかということです。
○政府委員(高田浩運君) いわゆる歯科大学におきましては、歯科医師の教育としては、これは教育の一部としてはやっておりますけれども、これを別といたしまして、ここにこの法案に規定をいたしまする歯科技工士の養成機関としては、養成施設は三カ所ございますけれども、いわゆる学校教育法にいう学校にはなっていない、そういうふうに承知をいたしております。
○田村文吉君 そこで、修正案の提案者に伺いたいんですが、歯科大学なり、歯科専門の学校で教育を受けて歯科技術を修得した人が受験する資格を今度なくするということになるんですか。受験の資格はあるんですか、ないんですか。
○加藤武徳君 受験の資格はございます。具体的に申し上げますと、たとえば日本大学の歯学部には技工士養成所、かような施設がございまするが、これは学校教育法にいう学校ではないわけでございまして、この施設を厚生省によって指定をすることによりまして受験資格が生ずる、かように了解をいたしております。
○田村文吉君 それはそうだろうと思うんですが、そうでない総合的の歯科大学とか歯科専門学校といものでそういう技工を教えている。教えているんだが、これは厚生省の指定の所を出たのでなければ、受験資格はないんだということになるんですかどうかということなんです。
○加藤武徳君 厚生省が指定をしなければ、受験資格は生まれない、かように了解をいたします。
○田村文吉君 大へんその点が窮屈になるように思うんですが、提案者として、そういうことにお考えになりませんですか。
○加藤武徳君 私は、おそらく既存の養成施設のすべてを厚生省が指定なさると思いまするし、修正案のごとく、文部、厚生二本建を一元化したことによりまして、養成施設で学ばれる諸君が不利益を受けるとか、不便になるというようなことはないと、私はかように思います。
○田村文吉君 そうすると、そういう大学に対しては、厚生省が指定をするということによって救済ができる、こういうお考えですか。
○加藤武徳君 さようでございます。
○田村文吉君 ちょっと政府委員に伺いますが、そういうことはできますか。
○政府委員(高田浩運君) たとえば看護婦の養成所等につきましても、大学の附属の養成所につきまして厚生大臣が指定している例もございますし、それは可能でございます。
○田村文吉君 私の言うのは、養成所ということは明瞭にここに書いてあるからまだいいんですが、養成所の名前を使わないもので、ある大学を厚生省が指定して、そこを出た人は養成所を出た人と同様に受験資格はあるんだ、こういうことは指定できるかどうかということです。
○加藤武徳君 ただいまの田村先生の御質問でございますが、大学の歯学部等におきまして歯科技工に関しまする業を修めます人は、当然歯科医師としての資格を取得なさる人でございまするから、歯科技工の業務は歯科医師は当然できる。そのほかに歯科技工のみをなし得る者をこの法律によって認めようという考え方でございまするから、ただいまの御質問の点は、当然歯科医師としての資格で歯科技工ができる、私はかように思っております。
○相馬助治君 加藤君の修正に関連して政府側の見解を二点伺いたいんです。
第一点は、ただいま田村委員とも質疑がなされましたが、それに類することで、今回のこの加藤君の提案した修正案について、厚生省自体の総合的な見解を承わりたいと思います。おそらくこれについては、議員さんが修正されたものについてとやかく意見を言うべき筋ではございませんと、こういうふうな答弁が予想されますが、私が聞いているのは、そういうことではなくて、政治的なものでなくて、厚生省自体としては、この修正によって実は事務処理上こういう支障が予想されますとか、そういう支障は何もありませんとかということを伺いたいというので、全く事務的なことでございまするから、どのようなことをおっしゃっても加藤君に失礼にならぬと思いますので、一つ御見解を承わりたいと思うのです。これは質問の性質上、次官の答弁はお断わりをいたして、事務当局からの答弁をお聞きいたします。
それから第二は、これにやはり連関しておることではありますが、加藤君の修正案を見ますと、広告制限の規定を設けることになっておりまするが、このような重大なことを、原案を作る場合に厚生省において問題にならなかったのか、なったのか。かりに問題になったとするならば、問題になりながら、しかもこの制限を設けなかった理由は何であったか、この点承わりたい。
○政府委員(高田浩運君) 結論から先に申し上げれば、事務上の支障はないと考えております。
さらに各項目について私どもの考え方を申し上げさしていただきます。第一点の、養成施設について文部大臣の指定した学校を云々という項目を削る、従っていわゆる厚生大臣一本の指定にするという改正の点でございますけれども、この点は、従来は医療関係者あるいは医療関係の補助者に関しまする規定におきましては、大体において学校については文部大臣が指定をし、養成所については厚生大臣が指定をする、そういうような従来の例になっておりましたし、いわゆる学校と、それからそのほかの養成施設についての政府部内の取扱いからこういう
ことになつておったその例にならったのでございますけれども、しかし、今御修正として提案になったような例も一、二あるにはあるのでございます。それはたとえば栄養士でありますとか、あるいはクリーニング師でありますとか、そういったものについては厚生大臣一本になっております。この辺は従って、事務処理上の建前と申しますか、そういう点は別といたしまして、取扱い方は支障は来たさない、かように考えております。
それから第二点の指示書の件でございます。この点も先日申し上げましたように、厚生省令で定める云々ということでございまして、原文にございますが、この点で実際に自分の診療所内における技工につきましては、ある程度のしんしゃくを加えることを考えておったのでございますが、この点をただし書きの形においてはっきりさせるということに結果としてはなるわけでございます。
それから第三の広告制限の点でございます。この点は御推測のように、私どもも十分検討いたしまして、それで大衆に対して、もし間違った広告が行われることになれば、その害毒が及ぶことを相当考慮いたしまして検討いたしましたけれども、法制上の立場から、このような強い制限を置くことはいかがかというような考え方もございまして、その辺の意見を考慮いたしまして原案からとりまして御提出申し上げたような、そういうようないきさつでございます。
以上であります。
○高野一夫君 今の御説明で二点だけ私はさらに確めておきたいと思うのでありますが、現在文部省指定の技工士学校があるとするならば、それは直ちに厚生省指定に移し得るものであるかどうか、これが一点。それからついでに申し上げますが、もう一つは、第十八条の加藤委員の修正案でありますが、この指示書なるものは原案にもあるけれども、これは歯科医師がその同じ病院、同じ診療所内において歯科医師が直接技工士に命令を下すものであって、患者が何ら介在する必要のないものであるから、患者の介在を必要とする処方せんとは性格的に全然違うものである、かように解して私は十八条の修正案に賛成をしたいと思うわけでありますけれども、この処方せんなるものと、ここにある指示書と性格が完全に違うものであるという私の見解が、あなた方としてどういうふうにお考えになるかどうか、この二点を伺いたい。
○政府委員(高田浩運君) 現在いわゆる歯科技工士の養成をいたしておりまする養成施設は、いわばこういったような法律以前の姿でございましたので、今お話のありました文部大臣が指定した、あるいはするとかいう問題以前の問題でございますので、今後法律ができましたら、あらためてこの法律に従って指定の申請をする、そういうことになるわけでございます。
第二点のお話でございますが、今御引例になりました処方せんということでございますが、実は指示書というのは処方せんとは私は違った性格のものに考えておるのでございます。処方せんというのは、これはもう申し上げるまでもなく、医師から患者に交付をして、患者が薬局に提出をして調剤をしてもらう、そういうことになるわけでございますけれども、もともとこの指示書というのは歯科医師が歯科疾患のある者を診療いたします過程において、技工をなす必要がある場合に、たまたま自分がやるべき技工の全部または一部をほかの者に委託して作らせる、そういう性格のものでございますので、この指示書を患者に渡して患者が技工所に持っていって技工をやってもらう、そういうことは全然実は意図しておりませんので、みずから歯科医師が指示書を書いてそれを自分なりあるいは自分の使者を通じて技工所あるいは技工士に委託をして作らせるということでございまして、その辺はむしろまあ処方せん的というよりもむしろカルテ的に考えておるのでございます。
○高野一夫君 了承いたしました。
○委員長(小林英三君) 他に御質疑ございませんか。――御質疑はないようでございます。修正案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小林英三君) 御異議がないものと認めます。これより討論に入りたいと存じます。原案並びに修正案につきまして、討論に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小林英三君) 御異議ないものと認めますこれより。討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
○相馬助治君 私は、ただいま議案となりました歯科技工法案に対しまして、加藤武徳君提案の修正案に賛成し、その修正部分を除いた政府原案に賛成の意見を表明いたします。
修正案を見ますると、その第二十六条に広告の制限の規定を設けるように相なっております。これはこの法案が成立することによつて、私どもが最もおそれますことは歯科技工士が歯科医師と同一の診療をなす、すなわち診療上の混乱を招くおそれがないかということでございまして、これらに連関いたしまして、この広告の制限というものは適切なる修正であると存ずるのでございます。その他については別に意見はございませんが、どこまでもこの法律案の成立することによって、将来歯科技工士が歯科医師の診療内容にまで立ち入ることによる診療上の紛淆を来たすことのないように、当局におかれては十分御留意あって、本法を適用、運用されることを期待いたすものでございます。
以上をもって、加藤武徳君提案の修正案に賛成し、修正部分を除く政府原案に賛成の意思を表明するものでございます。
○委員長(小林英三君) 他に御発言がなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小林英三君) 全員でございます。よって本修正案は全会一致で可決いたしました。