『日本歯技』2016年5月号巻頭言
組織建設の現在
日本はOECD諸国の中で最も少子高齢化が進んでおり、世界のどの国も経験したことのない速度で人口高齢化が進行している。これは様々な職能団体にも影響を及ぼしており、新卒者が減少し、仕事をリタイヤする人が増加するといった構造的な問題が組織増強への大きな壁となっている。しかし、組織は如何なる環境の変化にも対応し、前進していかなければならない。
2014年度より日本歯科技工士会は「国民に信頼され尊敬される組織の実現」のための日技新発展『7』プランを策定し、目指す方向とそれを達成するための工程を示した。これは会員一人ひとりにナショナルセンターの事業を身近に感じてもらうことによって組織の増強も目指している。
また『7』プランの「入会したくなる組織」実現のためのアクション戦略(組織増強)では、具体的な組織増強策として、重点をおいて取り組む対象を当面、歯科技工学生と増加傾向にある女性歯科技工士とすることが含まれている。日技では「新卒歯科技工士対策委員会」および「女性歯科技工士対策委員会」を設置して現状の把握と実情に則した対策を検討してきた。その内容はすでに取りまとめられ、今年度中に意見書として報告されることとなっている。これらを実行に移し、将来を担う若者や少数であった女性会員が増加することにより、組織が活性化し、将来にわたり安定した組織運営のための環境が整備される。
いうまでもなく、組織は個人の力では解決できないことを取り組み前進させるものであり、日技の究極の存在目的は“歯科技工士の社会的地位の向上”と“経済基盤の確立”である。これらの大きな課題を実現させるためには、組織率を向上させ、歯科技工士全体の総意であることを外部に示すことが重要である。ベテラン会員の皆様には、組織増強と次世代を担う若い会員の育成および活躍の場の提供を引き続きお願いしたい。また、若い会員の皆様には、同級生や先輩・後輩、職場の仲間を誘い、学術やレクレーションなどのイベントに積極的に参加して会員の輪を広げていただきたい。
歯科技工士という素晴らしい職業と私たちの未来のために。
http://www.nichigi.or.jp/about_nichigi/nihonshigi_1605.html