「川上武全記録」医療問題研究第一世代の足跡, 2009/6/19
By 歯職人
幸せな書物、幸せな著者と言えると思う。
川上武氏が人生の大半を捧げた「医療史」「患者史」「医療問題」研究を、良き理解者であり同じ志を持つ仲間により整理され引き出される対談と、書籍等の編集を通じ氏に同伴した編集者による的確な整理が成されている資料集と言える。この一冊を残すことにより、一つの分野の導きの糸が形成されている。
輸入物・翻訳物でない「医療問題の分析と実践的提言、現代医療史の研究」第一世代の川上武先生の証言を、二木立(医療経済・政策学)・北川隆吉(専修大学教授・東京自治問題研究所)・岡部昭彦(科学評論家・元「自然」編集長)の各氏が聞き手・対談相手・引き出し役となり記録する。また川上武先生と仕事を共に編集者による川上氏の業績の資料・史料整理による「川上武全記録」です。
いわゆる「退官・最終講義録」の在野の研究者版と言えば、イメージを掴め理解が早いだろうか。
各論を取り上げれば、川上氏の「サークル」が、このままでは、現代の読者に了解可能とは思えない。川上氏が研究に足を踏み入れた時代背景・時代の空気を読者の側の努力により補強が必要と思われる。また川上氏における武谷「技術論」の影響についても同様に、対談者とは了解可能でも現代の読者の側からは、時代認識等の補強努力が必要と思われる。
戦中・戦後の知識層の生き方、国際政治等、背景として承知しておくべき数々の事項が必要であり、立場により異なる見解もあり得よう。
川上武氏の過去の著作の「目次」と「あとがき」の掲載は、優れた同時代史の描写として記録性を持つものと思われる。川上氏の事実確認と史料・資料確定への誠実な姿勢と厳格さを求める水準は、ややもすると「量産」と「使い捨て」・「即効性」に流される現在の風潮への警告となるであろう。
この一冊の今日的意義は、「医療問題の分析と実践的提言、現代医療史の研究」の手がかがりとなり、入り口となり後継世代を生む礎となるべきものと言える。
センゴニホンイリョウシノショウゲン イチケンキュウシャノアユミ イリョウフクシシリーズ 74
医療・福祉シリーズ〈74〉
戦後日本医療史の証言―一研究者の歩み
川上武
勁草書房 (1998/11/25 出版)
399,5p / 19cm / B6判
ISBN: 9784326799251
NDC分類: 490.21
価格: ¥5,250 (税込)
詳細
日常診療とサークル方式の研究生活40余年、著者の個人史と全著作の主要目次、あとがき等を収録。
一貫して医療問題の分析と実践的提言、現代医療史の研究を続けてきた一研究者の軌跡を通して、戦後の日本医療の歴史と将来を展望する。
第1部 戦後日本医療史の証言(戦後日本医療史の証言;サークル・討論からの生きた提言;続・戦後日本医療史の証言―地域医療の中での研究志向)
第2部 著作リスト一覧―主要著書目次、まえがき、あとがき(著作リスト一覧(1961~1997年)
主要目次と“まえがき”“あとがき”
未収録のエッセイ、人物論、書評一覧(1947~1998年))
著者の臨床医・研究者としての生の軌跡と著書の一覧,主な目次,あとがき等を集成して,戦後の日本医療の動向を浮彫りにし将来を展望。
【目次】
まえがき
第1部 戦後日本医療史の証言
1 戦後日本医療史の証言 聞き手 二木立
2 サークル・討論からの生きた提言 聞き手 北川隆吉
3 続・戦後日本医療史の証言 聞き手 岡部昭彦
第2部 著作リスト一覧
1 著作リスト一覧(1961~1997年)
2 主要目次と”まえがき””あとがき”
3 未収録のエッセイ、人物論、書評一覧(1947~1998年)
あとがき
人名索引
By 歯職人
幸せな書物、幸せな著者と言えると思う。
川上武氏が人生の大半を捧げた「医療史」「患者史」「医療問題」研究を、良き理解者であり同じ志を持つ仲間により整理され引き出される対談と、書籍等の編集を通じ氏に同伴した編集者による的確な整理が成されている資料集と言える。この一冊を残すことにより、一つの分野の導きの糸が形成されている。
輸入物・翻訳物でない「医療問題の分析と実践的提言、現代医療史の研究」第一世代の川上武先生の証言を、二木立(医療経済・政策学)・北川隆吉(専修大学教授・東京自治問題研究所)・岡部昭彦(科学評論家・元「自然」編集長)の各氏が聞き手・対談相手・引き出し役となり記録する。また川上武先生と仕事を共に編集者による川上氏の業績の資料・史料整理による「川上武全記録」です。
いわゆる「退官・最終講義録」の在野の研究者版と言えば、イメージを掴め理解が早いだろうか。
各論を取り上げれば、川上氏の「サークル」が、このままでは、現代の読者に了解可能とは思えない。川上氏が研究に足を踏み入れた時代背景・時代の空気を読者の側の努力により補強が必要と思われる。また川上氏における武谷「技術論」の影響についても同様に、対談者とは了解可能でも現代の読者の側からは、時代認識等の補強努力が必要と思われる。
戦中・戦後の知識層の生き方、国際政治等、背景として承知しておくべき数々の事項が必要であり、立場により異なる見解もあり得よう。
川上武氏の過去の著作の「目次」と「あとがき」の掲載は、優れた同時代史の描写として記録性を持つものと思われる。川上氏の事実確認と史料・資料確定への誠実な姿勢と厳格さを求める水準は、ややもすると「量産」と「使い捨て」・「即効性」に流される現在の風潮への警告となるであろう。
この一冊の今日的意義は、「医療問題の分析と実践的提言、現代医療史の研究」の手がかがりとなり、入り口となり後継世代を生む礎となるべきものと言える。
センゴニホンイリョウシノショウゲン イチケンキュウシャノアユミ イリョウフクシシリーズ 74
医療・福祉シリーズ〈74〉
戦後日本医療史の証言―一研究者の歩み
川上武
勁草書房 (1998/11/25 出版)
399,5p / 19cm / B6判
ISBN: 9784326799251
NDC分類: 490.21
価格: ¥5,250 (税込)
詳細
日常診療とサークル方式の研究生活40余年、著者の個人史と全著作の主要目次、あとがき等を収録。
一貫して医療問題の分析と実践的提言、現代医療史の研究を続けてきた一研究者の軌跡を通して、戦後の日本医療の歴史と将来を展望する。
第1部 戦後日本医療史の証言(戦後日本医療史の証言;サークル・討論からの生きた提言;続・戦後日本医療史の証言―地域医療の中での研究志向)
第2部 著作リスト一覧―主要著書目次、まえがき、あとがき(著作リスト一覧(1961~1997年)
主要目次と“まえがき”“あとがき”
未収録のエッセイ、人物論、書評一覧(1947~1998年))
著者の臨床医・研究者としての生の軌跡と著書の一覧,主な目次,あとがき等を集成して,戦後の日本医療の動向を浮彫りにし将来を展望。
【目次】
まえがき
第1部 戦後日本医療史の証言
1 戦後日本医療史の証言 聞き手 二木立
2 サークル・討論からの生きた提言 聞き手 北川隆吉
3 続・戦後日本医療史の証言 聞き手 岡部昭彦
第2部 著作リスト一覧
1 著作リスト一覧(1961~1997年)
2 主要目次と”まえがき””あとがき”
3 未収録のエッセイ、人物論、書評一覧(1947~1998年)
あとがき
人名索引