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歯科技工士・岩澤 毅

大学という病―東大紛擾と教授群像 (中公文庫 た 74-1) 竹内 洋 (著)

2008年11月03日 | amazon.co.jp・リストマニア
人間的な、余りに人間的な学者群像, 2008/11/3

By 歯職人

 東京大学経済学部を主な舞台に、その創成期から68年大学紛争期に時代を置き、東京大学・文部省・新聞・雑誌、そしてそこで蠢く「学者・インテリ」の余りに人間的な「渡世」と「処世」が、豊富な資料的裏づけを持ちながら展開されている。
 東京大学経済学部教授会内の派閥抗争と「院外団」、そして時世が縦糸・横糸として絡まりながら、名目的なイデオロギー・学説と言ってしまっては身もふたも無いが、後に名を残す学者が、時に攻守を換え三国志もどきの合従連衡も繰り返しながら刻んだ歴史が記述されていく。
 「高名」であろう学者の生態は可笑しくも悲しいが、人と組織そして権力を考える時、何処の世界でも展開されている人間模様が、大学という舞台であるがゆえに膨大な記録が残されていると見る事もできる。
 本書から読み取れる人間模様は、今日もどこかで配役と時代設定・名目を変えながら再演されていることだろう。
 「派閥菌」「派閥病」の感染・発病を回避するために、あるいはせめて重症化を防ぐために一読するのも一法と思われる。

ダイガクトイウヤマイ トウダイフンジョウトキョウジュグンゾウ チュウコウブンコ
中公文庫
大学という病―東大紛擾と教授群像

竹内 洋【著】
中央公論新社 (2007/07/25 出版)

346p / 15cm / A6判
ISBN: 9784122048874
NDC分類: 377.28


価格: ¥979 (税込)

詳細
昭和三年、三・一五事件で東京帝国大生の検挙者が続出、学内では左傾教授の処分が行われた。
左傾認定を受けた大森義太郎は自ら辞任するが、それは十年にわたる派閥抗争の序章に過ぎなかった―。
経済学部を壊滅状態に追いやった「大森事件」とその余波を豊富なエピソードとデータを駆使して描き、大学のあり方を問う警世の書。


1 昭和三年四月十七日、安田講堂
2 黄色いノートと退屈な授業
3 俸給と稿料
4 消費される大学教授
5 繁殖する派閥菌
6 河合栄治郎学部長の光と影
7 河合の孤立と大森の困窮
8 帝大粛正のミステリー
9 反復する記憶―急進右翼と全共闘
10 大学は死んでいた

昭和3年の大森義太郎助教授辞職に始まり平賀粛学までの10年に及ぶ東京帝国大学経済学部の派閥抗争。そして全共闘運動。豊富なエピソードとデータを駆使して描く「大学崩壊」ドラマ。

著者紹介
竹内洋[タケウチヨウ]
1942年(昭和17)、新潟県生まれ。京都大学教育学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程修了。京都大学大学院教育学研究科教授を経て、関西大学文学部教授、京都大学名誉教授。96年に『日本のメリトクラシー』(東京大学出版会)で第三九回日経経済図書文化賞を受賞。歴史社会学・教育社会学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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