123 - 衆 - 厚生委員会 - 12号
平成04年05月20日
○牧野委員長 児玉健次君。
○児玉委員 この四月三十日、私は、北海道の保険医会の十数名の先生方から、今回の診療報酬の改定に関して非常に率直な御意見を伺う機会がありました。
そのとき歯科の先生から、義歯は扱えば扱うほど経営が困難になる。全体として義歯を扱うことについて敬遠する傾向が強くなる中で、町であのお医者さんのところに行けばぴったりしたいい義歯が入れてもらえる、こういう評判が立つと、そのお医者さんのところに今まで以上に患者さんが集中して、ますます経営が困難になっている。そういう歯科医の方にとって、しっかりした歯科技工士を見つけて、そして確保することがこれまた難しい、そういうお話が一斉に出されました。
歯科医の方々から出された強い不満の中で、今回の診療報酬の改定で装着料について三百四十点、装着後一カ月以内の調整は有床義歯指導料、簡単なもの六十点、困難なものは百五十点、こういうふうになっている。ところが、患者さんが来て義歯の調整をする、いろいろ工夫してみても平均して三十分はかかるとおっしゃるのです。それに対して六十点とか百五十点というのは余りに点数が低過ぎる。しかも、その後調整が必要なとき、これはもう再診料二十七点、これで扱う以外にない。この部分を思い切って是正してほしいのだ、こういう強い声が出ておりますが、この点いかがでしょうか。
○黒木政府委員 歯科の診療報酬、御案内のように、私どもは、基本的には全体の点数なり診療報酬で歯科の経営というものは維持されるべきものであるというふうに考えておりまして、そこのところの部分だけで採算か不採算がというのは、余り議論すべき事柄ではないと思うわけでございます。しかしながら、これからの高齢化等も考えまして、私どもは、義歯あるいは補綴等の診療報酬について、これまでも改定の都度いろいろと引き上げ等の措置を図ってきたつもりでございます。
ただいまの御指摘は、義歯の調整について、調整には三十分以上もかかるのに点数が低い、あるいは一カ月経過後にも調整が必要なのに、これがとれないというような御質問だと思います。
まず、義歯の調整でございますが、御指摘のように、有床義歯指導料という中で調整料も見ておるわけでございます。指導料と調整料別建てという御議論もあるでしょうけれども、指導と調整は一体のものとして行われる方が望ましいということから、一本の点数の中に込みで見ているわけでございまして、簡単なものが六十点、困難なものは百五十点ということになっております。私どもは、これで調整料としては相当合理的な点数になっていると思いますが、一カ月経過後の調整につきましては、調整は義歯装着後一カ月以内におおむね二、三回で調整ができるというのが歯科医学の常識であると聞いておりますし、装着後余り時間をかけて調整するというのは、患者本人にとってもいかがなものかと思うわけでございまして、一月以内で算定ができるようにしております。
なお、治療が完了した後、再び義歯による症状を訴えてこられた場合には、別途また六十点が一月に一回算定できる取り扱いになっておりまして、私としても現在の点数で合理的に評価をしているつもりでございます。
○児玉委員 厚生省は、現場でこの分野を担当して苦労されている方々の声に対して、私は謙虚である必要があると思いますね。
今局長は部分を取り上げてとおっしゃったけれども、歯科医師の先生方が一番不満だというのは今の部分なんですよ。そして、おっしゃるとおり、装着後、一応治癒とされた後に患者がその義歯をさらに合わせてほしいと言ったとき、確かに六十点見られていますね。六十点が貨幣で幾らかというのはもうここで言う必要もないので、そういったものが今日の総義歯についての国民のいろいろな不満の重要な要素になっていますよ。一方、全体でというお話ですから、今度は社会保険で五千百七十点、そして老人保健では五千三百七十点、これで十分でないという声が大きく噴出しているではありませんか。総義歯の製作料が千四百点掛ける二倍。この点数は前回も今回も変わりがありません。据え置かれている。
そして、歯科技工士の方の年間労働時間。先日私の部屋に東京の技工士の方がお見えになりましたが、大体開業されている人でいえば、年の労働時間が三千時間だそうですよ。人によっては四千時間働いている人もいる。それほどまで頑張っているわけだが、厚生省の衛生業務報告によれば、現に就業されている技工士さんの数は、昭和六十三年の三万二千五百十八人から一九九〇年、平成二年三万二千四百三十三人と、数年間ずっと着実に数がふえていたのが、この最後の段階で確実に人数が減っていますよ。なぜこの現象が生まれたんでしょうか。
○黒木政府委員 現場の声を知らないんではないかということでございますけれども、私ども、事あるごとに歯科を経営されている人、その他について意見は聞いているつもりでございます。したがいまして、従来歯科の診療報酬は一%以下という形で、非常に低いアップ率にとどまっておりましたのを、本当に数年ぶりに二・七というふうに、私どもは歯科の診療報酬は思い切って引き上げたつもりでございます。
そして、配分に当たりましてはいろいろ御議論いただきました。国会でも歯科については初診料が安過ぎるんではないか、医科に合わすべきじゃないかという意見も相当御見からもいただいたわけでございまして、そういうことから中医協を含めまして、関係者を含めまして、どこの点数にめり張りをつけるべきかということで、初診料もございましょう、再診料もございましょう、あるいは歯槽膿漏のようなものも非常に重要になっておりますから、そういう配分について関係者の意見を十分聞いて、私どもは対応したつもりでございます。なお一層現場の意見を聞きながら努力をしてみたいと思っておるわけでございます。
確かに先ほどの御指摘のように、歯科技工士の就業者数が減っているようでございます。先生御案内のように、歯科医師に対しまして歯科技工士というのは、技工所で働かれるということの意味においてとりますと、年々歯科診療所に対しましてあるいは歯科医師に対しまして、歯科の技工所というのは増加率が高いわけでございます。かつて十対一だったものが昭和六十年ぐらいに四対一ぐらいで、だんだん歯科技工所の数というのはふえておるわけでございまして、言ってみれば、かなり過当競争になっているんではないかという気がいたすわけでございます。そういう意味で、技工所の方が少し経営が苦しくなっておるということのあらわれかなというふうに思います。
突然のお尋ねでございますので、ポイントが外れておるかもしれませんが、感想でございます。
○児玉委員 局長の今のポイントを外れているという部分が極めて正確ですよ。その技工士の経営が困難になっている結果、数が減っていますね。
そこで、今回の改定で、私たちはリアルに見ています。いいところはいいというふうに見なきゃいけないと思っておりますが、歯科衛生士の行う患者に対する指導を加算するという形でお認めになった、これは一歩前進だと思いますね。歯科技工士についても、保険診療上で医療の専門技術職としての役割を明確にして、例えば先ほどの総義歯千四百点掛ける二倍、その中でどの程度を技工料の基準として示すのかという、この点で厚生省としてはやはり一定の線を出すべきだと思いますし、あわせてその際、歯科医の経営が成り立つように、補綴関係の点数については二倍以上に引き上げることを今検討すべきではないか、この二点についてはどうですか。
技工士の技工料の基準を明確にするということと、それを同一のどんぶりの中で歯科医と技工士が奪い合うのでなく、全体として成り立つように補綴関連の点数を二倍以上に引き上げる、この二点について簡潔にお答えいただきたい。
○黒木政府委員 これはもう御案内のことだと思いますけれども、歯科技工料につきましては、昭和六十三年の診療報酬改定におきまして、製作技工に要する費用がおおむね百分の七十、製作管理に要する費用がおおむね百分の三十ということで告示を定めたわけでございまして、私どもは、これが費用の平均的、標準的な割合ということで広く周知をいたしたところでございまして、それによって歯科技工を委託する場合の円滑な実施に資しているものと考えておるわけでございます。
それからもう一点は、補綴関連を二倍以上に引き上げよという御要請だと思いますけれども、この四月に引き上げたばかりでございますし、先ほど申しましたように、私どもは、医業経営がどうかということで、その収支差を医業経営実態調査の中で見ながら、引き上げの枠と申しますか、トータルとしての医業を支える費用の引き上げ幅を決めたわけでございまして、その配分をどうするかということになりますと、補綴関係を大幅に引き上げますとほかの技術料評価が下がるということになるわけでありまして、ではトータルを上げればいいじゃないかということになりますと、もう御案内のように、診療報酬は国民の負担で成り立っているわけでございますから、合理的な説明ができない以上に歯科医業だけたくさんの収入を得るというのも、いかがなことかと考えるわけでございます。
私どもとしては、歯科補綴について非常に困難な技術を伴う、手間暇のかかる技術だというのは十分承知をいたしておりますので、その辺は今後検討すべき問題だというのは承知をいたしております。
○児玉委員 昭和六十三年五月三十日の告示については承知をしています。それがどのように実態的に効き目を発揮しているのか、そこのところを厚生省としてはもう少し目を配るべきだと思います。
この分野で最後の点なんですが、山下厚生大臣は、たしか三月十一日の予算委員会の分科会で、歯科の改善について中医協と相談すべきだという質問があったのに対し、会議録を拝見しますと「よくわかりました。その点は私どもからもよく伝えたいと思います。」とお答えになっているし、そして今局長から御堂の質問とおっしゃったが、四月七日、参議院の厚生委員会で沓脱委員がまさしくこの問題で質問しています。大臣は「いずれにいたしましても十分真剣に検討すべき問題ではあります。」とお答えになっております。時あたかもこの二十九日に中医協の全員懇談会があるそうですから、そこで大臣としては国会における歯科、とりわけ総義歯の関連の問題についてきちんと報告をしていただけるんだと思うのですが、いかがでしょうか。
○山下国務大臣 まだ中医協には話しておりませんけれども、適当な時期にということは私も念頭にございます。
ただ、先生のおっしゃるように、この前も御答弁申し上げたと思うのですけれども、ただ安いから高いからによって、いいとか悪いとかという問題ではないんじゃないかと私は思う。特に歯科の技工なんて極めてデリケートなことでございまして、同じ歯科医と同じ技工士が組んでやっていても、時によっていい場合も悪い場合もあるわけでございまして、問題は一カ月にどの程度の収入を得ておられるか、そういう点は大いに考慮しなきゃなりませんが、ただ値段だけでという先生の御判断に必ずしも私はついていけない面があるのでございます。しかし、先生の御意見としては承っておきますよ。
いずれにいたしましても、しかるべき機関に、さっき申し上げた中医協その他には、適当な時期に私からも話はすることにいたします。
○児玉委員 前段のお話はもう少し議論しなきゃいけませんが、まだ課題がありますので。ちょうど二十九日にあるんですから、タイミングもいいじゃないですか。ぜひ伝えていただきたいと思います。どうですか。
○黒木政府委員 大臣からそのような御答弁をなされたことは十分承知をいたしておりますので、それを踏まえて次回の中医協、これはどういうふうに議事を進めるかというのは会の方向でございますけれども、機会があれば私どもの方から説明のチャンスを得たいと思っております。
平成04年05月20日
○牧野委員長 児玉健次君。
○児玉委員 この四月三十日、私は、北海道の保険医会の十数名の先生方から、今回の診療報酬の改定に関して非常に率直な御意見を伺う機会がありました。
そのとき歯科の先生から、義歯は扱えば扱うほど経営が困難になる。全体として義歯を扱うことについて敬遠する傾向が強くなる中で、町であのお医者さんのところに行けばぴったりしたいい義歯が入れてもらえる、こういう評判が立つと、そのお医者さんのところに今まで以上に患者さんが集中して、ますます経営が困難になっている。そういう歯科医の方にとって、しっかりした歯科技工士を見つけて、そして確保することがこれまた難しい、そういうお話が一斉に出されました。
歯科医の方々から出された強い不満の中で、今回の診療報酬の改定で装着料について三百四十点、装着後一カ月以内の調整は有床義歯指導料、簡単なもの六十点、困難なものは百五十点、こういうふうになっている。ところが、患者さんが来て義歯の調整をする、いろいろ工夫してみても平均して三十分はかかるとおっしゃるのです。それに対して六十点とか百五十点というのは余りに点数が低過ぎる。しかも、その後調整が必要なとき、これはもう再診料二十七点、これで扱う以外にない。この部分を思い切って是正してほしいのだ、こういう強い声が出ておりますが、この点いかがでしょうか。
○黒木政府委員 歯科の診療報酬、御案内のように、私どもは、基本的には全体の点数なり診療報酬で歯科の経営というものは維持されるべきものであるというふうに考えておりまして、そこのところの部分だけで採算か不採算がというのは、余り議論すべき事柄ではないと思うわけでございます。しかしながら、これからの高齢化等も考えまして、私どもは、義歯あるいは補綴等の診療報酬について、これまでも改定の都度いろいろと引き上げ等の措置を図ってきたつもりでございます。
ただいまの御指摘は、義歯の調整について、調整には三十分以上もかかるのに点数が低い、あるいは一カ月経過後にも調整が必要なのに、これがとれないというような御質問だと思います。
まず、義歯の調整でございますが、御指摘のように、有床義歯指導料という中で調整料も見ておるわけでございます。指導料と調整料別建てという御議論もあるでしょうけれども、指導と調整は一体のものとして行われる方が望ましいということから、一本の点数の中に込みで見ているわけでございまして、簡単なものが六十点、困難なものは百五十点ということになっております。私どもは、これで調整料としては相当合理的な点数になっていると思いますが、一カ月経過後の調整につきましては、調整は義歯装着後一カ月以内におおむね二、三回で調整ができるというのが歯科医学の常識であると聞いておりますし、装着後余り時間をかけて調整するというのは、患者本人にとってもいかがなものかと思うわけでございまして、一月以内で算定ができるようにしております。
なお、治療が完了した後、再び義歯による症状を訴えてこられた場合には、別途また六十点が一月に一回算定できる取り扱いになっておりまして、私としても現在の点数で合理的に評価をしているつもりでございます。
○児玉委員 厚生省は、現場でこの分野を担当して苦労されている方々の声に対して、私は謙虚である必要があると思いますね。
今局長は部分を取り上げてとおっしゃったけれども、歯科医師の先生方が一番不満だというのは今の部分なんですよ。そして、おっしゃるとおり、装着後、一応治癒とされた後に患者がその義歯をさらに合わせてほしいと言ったとき、確かに六十点見られていますね。六十点が貨幣で幾らかというのはもうここで言う必要もないので、そういったものが今日の総義歯についての国民のいろいろな不満の重要な要素になっていますよ。一方、全体でというお話ですから、今度は社会保険で五千百七十点、そして老人保健では五千三百七十点、これで十分でないという声が大きく噴出しているではありませんか。総義歯の製作料が千四百点掛ける二倍。この点数は前回も今回も変わりがありません。据え置かれている。
そして、歯科技工士の方の年間労働時間。先日私の部屋に東京の技工士の方がお見えになりましたが、大体開業されている人でいえば、年の労働時間が三千時間だそうですよ。人によっては四千時間働いている人もいる。それほどまで頑張っているわけだが、厚生省の衛生業務報告によれば、現に就業されている技工士さんの数は、昭和六十三年の三万二千五百十八人から一九九〇年、平成二年三万二千四百三十三人と、数年間ずっと着実に数がふえていたのが、この最後の段階で確実に人数が減っていますよ。なぜこの現象が生まれたんでしょうか。
○黒木政府委員 現場の声を知らないんではないかということでございますけれども、私ども、事あるごとに歯科を経営されている人、その他について意見は聞いているつもりでございます。したがいまして、従来歯科の診療報酬は一%以下という形で、非常に低いアップ率にとどまっておりましたのを、本当に数年ぶりに二・七というふうに、私どもは歯科の診療報酬は思い切って引き上げたつもりでございます。
そして、配分に当たりましてはいろいろ御議論いただきました。国会でも歯科については初診料が安過ぎるんではないか、医科に合わすべきじゃないかという意見も相当御見からもいただいたわけでございまして、そういうことから中医協を含めまして、関係者を含めまして、どこの点数にめり張りをつけるべきかということで、初診料もございましょう、再診料もございましょう、あるいは歯槽膿漏のようなものも非常に重要になっておりますから、そういう配分について関係者の意見を十分聞いて、私どもは対応したつもりでございます。なお一層現場の意見を聞きながら努力をしてみたいと思っておるわけでございます。
確かに先ほどの御指摘のように、歯科技工士の就業者数が減っているようでございます。先生御案内のように、歯科医師に対しまして歯科技工士というのは、技工所で働かれるということの意味においてとりますと、年々歯科診療所に対しましてあるいは歯科医師に対しまして、歯科の技工所というのは増加率が高いわけでございます。かつて十対一だったものが昭和六十年ぐらいに四対一ぐらいで、だんだん歯科技工所の数というのはふえておるわけでございまして、言ってみれば、かなり過当競争になっているんではないかという気がいたすわけでございます。そういう意味で、技工所の方が少し経営が苦しくなっておるということのあらわれかなというふうに思います。
突然のお尋ねでございますので、ポイントが外れておるかもしれませんが、感想でございます。
○児玉委員 局長の今のポイントを外れているという部分が極めて正確ですよ。その技工士の経営が困難になっている結果、数が減っていますね。
そこで、今回の改定で、私たちはリアルに見ています。いいところはいいというふうに見なきゃいけないと思っておりますが、歯科衛生士の行う患者に対する指導を加算するという形でお認めになった、これは一歩前進だと思いますね。歯科技工士についても、保険診療上で医療の専門技術職としての役割を明確にして、例えば先ほどの総義歯千四百点掛ける二倍、その中でどの程度を技工料の基準として示すのかという、この点で厚生省としてはやはり一定の線を出すべきだと思いますし、あわせてその際、歯科医の経営が成り立つように、補綴関係の点数については二倍以上に引き上げることを今検討すべきではないか、この二点についてはどうですか。
技工士の技工料の基準を明確にするということと、それを同一のどんぶりの中で歯科医と技工士が奪い合うのでなく、全体として成り立つように補綴関連の点数を二倍以上に引き上げる、この二点について簡潔にお答えいただきたい。
○黒木政府委員 これはもう御案内のことだと思いますけれども、歯科技工料につきましては、昭和六十三年の診療報酬改定におきまして、製作技工に要する費用がおおむね百分の七十、製作管理に要する費用がおおむね百分の三十ということで告示を定めたわけでございまして、私どもは、これが費用の平均的、標準的な割合ということで広く周知をいたしたところでございまして、それによって歯科技工を委託する場合の円滑な実施に資しているものと考えておるわけでございます。
それからもう一点は、補綴関連を二倍以上に引き上げよという御要請だと思いますけれども、この四月に引き上げたばかりでございますし、先ほど申しましたように、私どもは、医業経営がどうかということで、その収支差を医業経営実態調査の中で見ながら、引き上げの枠と申しますか、トータルとしての医業を支える費用の引き上げ幅を決めたわけでございまして、その配分をどうするかということになりますと、補綴関係を大幅に引き上げますとほかの技術料評価が下がるということになるわけでありまして、ではトータルを上げればいいじゃないかということになりますと、もう御案内のように、診療報酬は国民の負担で成り立っているわけでございますから、合理的な説明ができない以上に歯科医業だけたくさんの収入を得るというのも、いかがなことかと考えるわけでございます。
私どもとしては、歯科補綴について非常に困難な技術を伴う、手間暇のかかる技術だというのは十分承知をいたしておりますので、その辺は今後検討すべき問題だというのは承知をいたしております。
○児玉委員 昭和六十三年五月三十日の告示については承知をしています。それがどのように実態的に効き目を発揮しているのか、そこのところを厚生省としてはもう少し目を配るべきだと思います。
この分野で最後の点なんですが、山下厚生大臣は、たしか三月十一日の予算委員会の分科会で、歯科の改善について中医協と相談すべきだという質問があったのに対し、会議録を拝見しますと「よくわかりました。その点は私どもからもよく伝えたいと思います。」とお答えになっているし、そして今局長から御堂の質問とおっしゃったが、四月七日、参議院の厚生委員会で沓脱委員がまさしくこの問題で質問しています。大臣は「いずれにいたしましても十分真剣に検討すべき問題ではあります。」とお答えになっております。時あたかもこの二十九日に中医協の全員懇談会があるそうですから、そこで大臣としては国会における歯科、とりわけ総義歯の関連の問題についてきちんと報告をしていただけるんだと思うのですが、いかがでしょうか。
○山下国務大臣 まだ中医協には話しておりませんけれども、適当な時期にということは私も念頭にございます。
ただ、先生のおっしゃるように、この前も御答弁申し上げたと思うのですけれども、ただ安いから高いからによって、いいとか悪いとかという問題ではないんじゃないかと私は思う。特に歯科の技工なんて極めてデリケートなことでございまして、同じ歯科医と同じ技工士が組んでやっていても、時によっていい場合も悪い場合もあるわけでございまして、問題は一カ月にどの程度の収入を得ておられるか、そういう点は大いに考慮しなきゃなりませんが、ただ値段だけでという先生の御判断に必ずしも私はついていけない面があるのでございます。しかし、先生の御意見としては承っておきますよ。
いずれにいたしましても、しかるべき機関に、さっき申し上げた中医協その他には、適当な時期に私からも話はすることにいたします。
○児玉委員 前段のお話はもう少し議論しなきゃいけませんが、まだ課題がありますので。ちょうど二十九日にあるんですから、タイミングもいいじゃないですか。ぜひ伝えていただきたいと思います。どうですか。
○黒木政府委員 大臣からそのような御答弁をなされたことは十分承知をいたしておりますので、それを踏まえて次回の中医協、これはどういうふうに議事を進めるかというのは会の方向でございますけれども、機会があれば私どもの方から説明のチャンスを得たいと思っております。