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『日本歯技』2014年4月号巻頭言
若い世代を育てる責任
今年初めの大きなイベントは、なんと言っても第22回オリンピック冬季競技大会(ソチオリンピック)と第11回パラリンピック冬季競技大会(ソチパラリンピック)であろう。特にソチオリンピックは、83カ国と5つの地域から約2,800人が参加して行われた。15競技98種目で、世界のトップアスリートが「より速く、より高く、より強く」をモットーに競った。
公益財団法人日本オリンピック委員会のホームページの中で田原淳子氏(国士舘大学教授)が、「このモットーは、他人と比較しての優劣ではなく、基準はあくまでも自分自身であり、現在の自分から一歩でも前に進もう、そのために行動しよう、ということを説いています。単に競技力の向上だけではなく、競技力を高めていく中で、人間としても日々向上していくことを目指す考え方なのです。このように、オリンピズムという理念が存在することが、他のさまざまな競技会とは異なるオリンピックの特徴であるともいえます。オリンピックは、若い人たちがスポーツを通じて調和のとれた人間となって人生を歩んでほしいという願いを込めて創造されました」と書かれている。
改めて、オリンピックムーブメントの価値を知らされた。
オリンピックの理想が、世界平和のために人を作ることだとすると、組織もまた目的を達成するために若い世代を育てることが重要であろう。就労歯科技工士の年齢構成は、20歳代の若年歯科技工士が際立って減少している。これは、我が国の歯科医療を持続的に発展させるために憂慮すべき状況であり、早急に次世代の歯科技工士を増やすための活動が求められている。そこで、日技新発展『7』プランは、基本姿勢(理念)の1つに「今を生きる世代と次の世代の安心を確保する」を掲げ、組織ブランディング戦略やスキルアップ推進戦略の中で若い世代を育てることに力を入れている。
『日本歯技』3月号に掲載された「日技新発展『7』プランをさらに豊富化するために~中長期総合計画策定に係る若手会員座談会~」の現場でも、4人の若い世代の想いに感動した。いわんや、その声を活かすために、日技の執行体制に若い世代が参画する時流が求められる。