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37号千秋楽号(2007年5月発行)
櫻井充質問主意書(第165回国会提出番号7)の研究
平成18年10月11日、櫻井充参議院議員より「歯科医療に係る診療報酬点数等に関する質問主意書」が提出され、同月20日安倍晋三内閣総理大臣より扇千景参議院議長に答弁書が送付された。
「働くこと」に関しては、様々な意味内容の分類整理が可能だが、総務省統計局・就業構造基本調査の用語の解説は
< 従業上の地位 >
自営業主……………… 個人で事業を営んでいる者。個人経営の商店主,工場主,農業主,開業医,弁護士,著述家など。自宅で内職(賃仕事)をしている者を含む。
家族従業者…………… 自営業主の家族で,その自営業主の営む事業に従事している者。なお,原則的には無給の者をいうが,小遣い程度の収入のある者についても家族従業者としている。
雇 用 者…………… 会社,個人商店,団体,公社,官公庁などに雇用されて賃金,給料などを受けている者。
会社などの役員……… 株式会社の取締役,監査役,合名会社や合資会社の代表社員,組合や協会の理事,監事などの会社,団体の役員。公社や公団の総裁,理事,監事などを含む。
と、従業上の地位を区分説明している。
歯科技工に従事している歯科技工士の内多数を占める「一人親方」は、個人経営・法人の形態の別を問わず、受発注や販売価格等の決定に経営権限と経営責任とともにその中核たる裁量権を有している。
「歯科医療に係る診療報酬点数等に関する質問主意書」
六 前回質問主意書問十二の答弁で、「なお、歯科技工士が『長時間・低賃金労働を強いられている』という実態については、承知していない。」と述べているが、これの意味するところは、政府はこのような歯科技工士の置かれた状況があり得ないと考えているということか、あるいは、あるかもしれないが聞いていないということか、明らかにされたい。また、政府は現状をどう把握しているのか。把握できていないのであれば、今後、歯科技工士の労働条件や賃金に関する実態調査等を実施し、改善を図っていくつもりなのか。政府の見解を示されたい。
「答弁書」
六について
政府としては、個々の歯科技工士の勤務実態については承知していないが、厚生労働省が実施した「平成十七年賃金構造基本統計調査」によると、歯科技工士の平均的な勤務実態が他の医療関係職種に比べて著しく劣っているわけではなく、御指摘のような実態調査を新たに行う必要はないと考えている。
「『長時間・低賃金労働を強いられている』という実態」との文言は、「賃金労働」とあるから、前提として「一人親方」と法人役員等を除外する。この段階で、多数の歯科技工士は除外される。
「労働を強いられている」の文言は、「裁量権」の不存在を示しているから、前提として「一人親方」と法人役員等を除外する。この段階でも、多数の歯科技工士は除外される。
「歯科技工士の労働条件や賃金」との文言は、同様に「労働条件や賃金」とあるから、前提として「一人親方」と法人役員等を除外する。同様にこの文言で、多数の歯科技工士は除外される。
この質問主意書の論理構成から、答弁書が「平成十七年賃金構造基本統計調査」に言及することには、論理的整合性がある。
現状の「一人親方」を含む歯科技工士の実態を探りその改善を図ろうとするのであれば、他の論理構築が必要とされる。
『ごまめ34号』「桜井充参議院議員「歯科技工士の技工料の決定方法に関する質問主意書」及び小泉内閣「同答弁書」の研究」において既に示したが、「質問主意書」のレベル以上の「答弁書」を得ることは、出来ないのである。
〔賃金〕労働力の価値を貨幣であらわしたもの、すなわち労働力の価格のこと。
〔賃労働〕資本主義における賃金労働者の労働形態をいう。
新版社会科学辞典:新日本出版社,1978年9月20日
国税庁ホームページより
事業所得とは
Q 事業所得とは [平成17年4月1日現在法令等]
A 事業所得とは、商工業者、農漁業者、医師、弁護士、俳優、競馬騎手などのように、事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます。
ただし、不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は、事業所得ではなく、通常不動産所得や山林所得として取り扱われます。
給与所得とは
Q 給与所得とは [平成17年4月1日現在法令等]
A 給与所得とは、給与所得者などが勤務先から受ける給料、賞与などの所得をいいます。
http://www.nta.go.jp/
参議院
http://www.sangiin.go.jp/
総務省 統計局
http://www.stat.go.jp/
参考文献
大森 彌:行政学叢書 官のシステム.東京大学出版会,2006.
2006.11.30記
37号千秋楽号(2007年5月発行)
櫻井充質問主意書(第165回国会提出番号7)の研究
平成18年10月11日、櫻井充参議院議員より「歯科医療に係る診療報酬点数等に関する質問主意書」が提出され、同月20日安倍晋三内閣総理大臣より扇千景参議院議長に答弁書が送付された。
「働くこと」に関しては、様々な意味内容の分類整理が可能だが、総務省統計局・就業構造基本調査の用語の解説は
< 従業上の地位 >
自営業主……………… 個人で事業を営んでいる者。個人経営の商店主,工場主,農業主,開業医,弁護士,著述家など。自宅で内職(賃仕事)をしている者を含む。
家族従業者…………… 自営業主の家族で,その自営業主の営む事業に従事している者。なお,原則的には無給の者をいうが,小遣い程度の収入のある者についても家族従業者としている。
雇 用 者…………… 会社,個人商店,団体,公社,官公庁などに雇用されて賃金,給料などを受けている者。
会社などの役員……… 株式会社の取締役,監査役,合名会社や合資会社の代表社員,組合や協会の理事,監事などの会社,団体の役員。公社や公団の総裁,理事,監事などを含む。
と、従業上の地位を区分説明している。
歯科技工に従事している歯科技工士の内多数を占める「一人親方」は、個人経営・法人の形態の別を問わず、受発注や販売価格等の決定に経営権限と経営責任とともにその中核たる裁量権を有している。
「歯科医療に係る診療報酬点数等に関する質問主意書」
六 前回質問主意書問十二の答弁で、「なお、歯科技工士が『長時間・低賃金労働を強いられている』という実態については、承知していない。」と述べているが、これの意味するところは、政府はこのような歯科技工士の置かれた状況があり得ないと考えているということか、あるいは、あるかもしれないが聞いていないということか、明らかにされたい。また、政府は現状をどう把握しているのか。把握できていないのであれば、今後、歯科技工士の労働条件や賃金に関する実態調査等を実施し、改善を図っていくつもりなのか。政府の見解を示されたい。
「答弁書」
六について
政府としては、個々の歯科技工士の勤務実態については承知していないが、厚生労働省が実施した「平成十七年賃金構造基本統計調査」によると、歯科技工士の平均的な勤務実態が他の医療関係職種に比べて著しく劣っているわけではなく、御指摘のような実態調査を新たに行う必要はないと考えている。
「『長時間・低賃金労働を強いられている』という実態」との文言は、「賃金労働」とあるから、前提として「一人親方」と法人役員等を除外する。この段階で、多数の歯科技工士は除外される。
「労働を強いられている」の文言は、「裁量権」の不存在を示しているから、前提として「一人親方」と法人役員等を除外する。この段階でも、多数の歯科技工士は除外される。
「歯科技工士の労働条件や賃金」との文言は、同様に「労働条件や賃金」とあるから、前提として「一人親方」と法人役員等を除外する。同様にこの文言で、多数の歯科技工士は除外される。
この質問主意書の論理構成から、答弁書が「平成十七年賃金構造基本統計調査」に言及することには、論理的整合性がある。
現状の「一人親方」を含む歯科技工士の実態を探りその改善を図ろうとするのであれば、他の論理構築が必要とされる。
『ごまめ34号』「桜井充参議院議員「歯科技工士の技工料の決定方法に関する質問主意書」及び小泉内閣「同答弁書」の研究」において既に示したが、「質問主意書」のレベル以上の「答弁書」を得ることは、出来ないのである。
〔賃金〕労働力の価値を貨幣であらわしたもの、すなわち労働力の価格のこと。
〔賃労働〕資本主義における賃金労働者の労働形態をいう。
新版社会科学辞典:新日本出版社,1978年9月20日
国税庁ホームページより
事業所得とは
Q 事業所得とは [平成17年4月1日現在法令等]
A 事業所得とは、商工業者、農漁業者、医師、弁護士、俳優、競馬騎手などのように、事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます。
ただし、不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は、事業所得ではなく、通常不動産所得や山林所得として取り扱われます。
給与所得とは
Q 給与所得とは [平成17年4月1日現在法令等]
A 給与所得とは、給与所得者などが勤務先から受ける給料、賞与などの所得をいいます。
http://www.nta.go.jp/
参議院
http://www.sangiin.go.jp/
総務省 統計局
http://www.stat.go.jp/
参考文献
大森 彌:行政学叢書 官のシステム.東京大学出版会,2006.
2006.11.30記