必要な人と組織の改革の道筋, 2013/3/10
By 歯職人
本書は、二木立氏(日本福祉大学学長)が寄稿するサイト『二木立の医療経済・政策学関連ニューズレター(通巻104号)』「私の好きな名言・警句の紹介(その99)-最近知った名言・警句」<組織のマネジメントとリーダーシップのあり方>において、知ったものです。
二木氏は、「この本は最初、厚生労働省勤務の友人から推薦されたのですが、当初は「非情」という言葉に抵抗があり、購入しませんでした。経験上、大学や病院の意志決定では「非情」に徹すると、逆効果だと思っていたからです。ところが、『AERA』2012年11月26日号(66頁)の書評で、著者が強調している「非情さ」とは、「組織の空気を少しずつ変えていく根気強さ」、「しつこさ」、自分の感情さえも押し殺す非情さであり、武器として用いるのは「情緒に根ざした訴え」であり、「非情をもって情をあやつる」ことであると書かれており、興味を持ちました。」と紹介している。
特に二木氏が取り上げたポイントは、「本書では、第3章で、「リーダーシップの条件1」として、「論理的な思考力、合理的な判断力が不可欠である」ことを大前提とした上で、第4章で条件2として「コミュニケーションは情に訴え根負けを誘う」ことをあげ、そのための心構えやテクニックが詳しく書かれており、4月から学長業務を行う上で大変参考になりました。日本型リーダーには「合理性」と「情理」(単なる「情」ではなく、「情の世界における論理構造」の理解)の両方が必要であることがよく分かる本です。」と、二木氏の長年の真摯な医療経済・政策学の探求と組織運営の現場の経験を踏まえた上での共感が示されており、興味を持ち購入した。
ここで注意して頂きたいのは、二木氏は「書評」ではなく、「最近知った名言・警句」の「組織のマネジメントとリーダーシップのあり方」として、本書を取り上げている点である。本書の中で著者の冨山和彦氏は、戦後の日本経済分析、殊にここ30年の企業経営の分析等も部分的に論じているが、二木氏はその点には触れていない。発言を保留していると感じた。長所は褒めスタイル。
二木氏が指摘したタイトルの「不適合」の側面は、特にビジネス書の断定的なタイトルにより空振りした経験を持つ者にとっては理解しやすい。編集者氏・出版社は、この弊害(教訓)を理解しているのだろうが、結局「売れる要素」としては、捨てがたい「断定的なタイトル」なのであろう。
評者は、「組織の空気を少しずつ変えていく根気強さ」が作り上げる組織の姿に強く引かれた。
背伸びすべき二十代後半と実務に取り掛かるべき三十代、必ず必要に迫られる四十代前半の貴方にお勧めする一冊です。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4478021473/ref=cm_cr_mts_prod_img
結果を出すリ-ダ-はみな非情である ― 30代から鍛える意思決定力
冨山和彦
ダイヤモンド社 (2012/10 出版)
262p / 19cm / B6判
ISBN: 9784478021477
NDC分類: 336.3
価格: ¥1,575 (税込)
内容紹介
発売日: 2012/10/26
明治維新も第二次大戦後の復興も、革命の担い手はいつの時代も、企業でいえば課長クラス、ミドルリーダーだ。日本も今の混迷期を脱するには、ミドルリーダーの踏ん張りが欠かせない。社長も含めて上司はコマとして使い、最大の成果を上げる--。自分がトップのつもりで考え行動するリーダーシップの鍛え方とは?
著者について
冨山和彦(とやま・かずひこ)
経営共創基盤(IGPI)代表取締役CEO。ボストンコンサルティンググループ、コーポレイトディレクション代表取締役社長を経て、2003年に産業再生機構設立時に参画しCOOに就任。解散後、IGPIを設立、数多くの企業の経営改革や成長支援に携わり、現在に至る。オムロンやぴあの社外取締役、朝日新聞社社外監査役のほか、多くの政府関連委員を務める。1960年生まれ、東京大学法学部卒、スタンフォード大学経営学修士(MBA)。
By 歯職人
本書は、二木立氏(日本福祉大学学長)が寄稿するサイト『二木立の医療経済・政策学関連ニューズレター(通巻104号)』「私の好きな名言・警句の紹介(その99)-最近知った名言・警句」<組織のマネジメントとリーダーシップのあり方>において、知ったものです。
二木氏は、「この本は最初、厚生労働省勤務の友人から推薦されたのですが、当初は「非情」という言葉に抵抗があり、購入しませんでした。経験上、大学や病院の意志決定では「非情」に徹すると、逆効果だと思っていたからです。ところが、『AERA』2012年11月26日号(66頁)の書評で、著者が強調している「非情さ」とは、「組織の空気を少しずつ変えていく根気強さ」、「しつこさ」、自分の感情さえも押し殺す非情さであり、武器として用いるのは「情緒に根ざした訴え」であり、「非情をもって情をあやつる」ことであると書かれており、興味を持ちました。」と紹介している。
特に二木氏が取り上げたポイントは、「本書では、第3章で、「リーダーシップの条件1」として、「論理的な思考力、合理的な判断力が不可欠である」ことを大前提とした上で、第4章で条件2として「コミュニケーションは情に訴え根負けを誘う」ことをあげ、そのための心構えやテクニックが詳しく書かれており、4月から学長業務を行う上で大変参考になりました。日本型リーダーには「合理性」と「情理」(単なる「情」ではなく、「情の世界における論理構造」の理解)の両方が必要であることがよく分かる本です。」と、二木氏の長年の真摯な医療経済・政策学の探求と組織運営の現場の経験を踏まえた上での共感が示されており、興味を持ち購入した。
ここで注意して頂きたいのは、二木氏は「書評」ではなく、「最近知った名言・警句」の「組織のマネジメントとリーダーシップのあり方」として、本書を取り上げている点である。本書の中で著者の冨山和彦氏は、戦後の日本経済分析、殊にここ30年の企業経営の分析等も部分的に論じているが、二木氏はその点には触れていない。発言を保留していると感じた。長所は褒めスタイル。
二木氏が指摘したタイトルの「不適合」の側面は、特にビジネス書の断定的なタイトルにより空振りした経験を持つ者にとっては理解しやすい。編集者氏・出版社は、この弊害(教訓)を理解しているのだろうが、結局「売れる要素」としては、捨てがたい「断定的なタイトル」なのであろう。
評者は、「組織の空気を少しずつ変えていく根気強さ」が作り上げる組織の姿に強く引かれた。
背伸びすべき二十代後半と実務に取り掛かるべき三十代、必ず必要に迫られる四十代前半の貴方にお勧めする一冊です。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4478021473/ref=cm_cr_mts_prod_img
結果を出すリ-ダ-はみな非情である ― 30代から鍛える意思決定力
冨山和彦
ダイヤモンド社 (2012/10 出版)
262p / 19cm / B6判
ISBN: 9784478021477
NDC分類: 336.3
価格: ¥1,575 (税込)
内容紹介
発売日: 2012/10/26
明治維新も第二次大戦後の復興も、革命の担い手はいつの時代も、企業でいえば課長クラス、ミドルリーダーだ。日本も今の混迷期を脱するには、ミドルリーダーの踏ん張りが欠かせない。社長も含めて上司はコマとして使い、最大の成果を上げる--。自分がトップのつもりで考え行動するリーダーシップの鍛え方とは?
著者について
冨山和彦(とやま・かずひこ)
経営共創基盤(IGPI)代表取締役CEO。ボストンコンサルティンググループ、コーポレイトディレクション代表取締役社長を経て、2003年に産業再生機構設立時に参画しCOOに就任。解散後、IGPIを設立、数多くの企業の経営改革や成長支援に携わり、現在に至る。オムロンやぴあの社外取締役、朝日新聞社社外監査役のほか、多くの政府関連委員を務める。1960年生まれ、東京大学法学部卒、スタンフォード大学経営学修士(MBA)。