警察がアダルト動画配信を一斉摘発。基準は性表現よりお金!?
日刊SPA!
ネット事業者「FC2」が運営する動画配信サイトを利用していた男女13人以上が6月26日までに、全国で一斉逮捕された。ライブ配信は「公然わいせつ」(刑法174条)にあたり、録画動画配信は「わいせつ物頒布等」(刑法175条)にあたるというのが逮捕容疑だ。逮捕者のなかには、ユーチューバーとして人気の女性も含まれていた。 ◆警察が摘発する際の判断材料はその金額!?
なぜ警察は、一気に摘発を行ったのか。セックスワーカーとして働く人々の安全と健康に関わる活動を行う「SWASH」代表の要友紀子氏は、同時にいくつかの動きがあると分析する。
①全国の警察本部にAV出演強要問題の専門官を配置
②内閣府男女共同参画局の音頭で毎年4月「AV出演強要・『JKビジネス』等被害防止月間」を制定③厚労省「困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会」で売春防止法改正の議論が浮上
④東京オリンピックを前にした、性に関する活動を取り締まる動きが現れつつある――。
加えて、性風俗店が求職者の面接をしただけで、職業安定法で摘発されたという事件もあるという。
「いつでも誰でも、摘発されるときは摘発される。今までできたことがやれなくなってしまうかもしれない……という段階になろうとしています」と語る。
要氏は、警察官僚も参加したシンポジウムでの経験を振り返る。
「摘発が増えたり減ったりするのは、『要するに世論によるのだ』と警察の方が言っていました。FC2の摘発も、警察と協力する市民団体など、外部から何らかの働きかけがあったのかもしれません」 報道によると「FC2の配信にかかわる情報提供が昨年中、警視庁に850件以上あった」という。
「AV倫理機構」理事の河合幹雄氏は「警察庁と関係の深い『警察政策学会』の場で警察の幹部クラスの話を聞いても、AVやエロ動画などの性表現は全然気にしていない。むしろお金に敏感だ」と語る。ライブ配信の報酬が10万~20万円ぐらいだったら、動かなかったかもしれない。
「摘発の判断材料は、金額です。性風俗を担当する地方の警察官に、摘発された小さなビデオ店の無修正DVDの販売額を聞いたことがあります。月1000万円ですよ。裏カジノならもう一ケタ大きい。最近著作権法違反で摘発された漫画村(被害額3200億円)については、ずっと摘発したがっていた。そういうことなんです」
【要 友紀子氏】
’76年生まれ。セックスワーカーとそのサポーターをメンバーにするSWASH代表。著書に『セックスワーク・スタディーズ』(日本評論社)ほか
【河合幹雄氏】
’60年生まれ。桐蔭横浜大学法学部教授(法社会学)。法務省矯正局の「矯正処遇に関する政策研究会」委員、警察大学校嘱託教官
取材・文/長岡義幸
※週刊SPA!7月23日発売号「エロ動画中継はなぜ違法なのか?」より
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