消費税10%スタート 軽減税率、ポイント還元…分かりにくい制度、混乱の中消費税率が10月1日午前0時、8%から10%に引き上げられた。公共料金を含む幅広い商品・サービスが値上がりし、家計には新たな負担になる。一方で、飲食料品(外食・酒類を除く)や定期購読の新聞を対象に税率を8%に据え置く軽減税率や、ポイント還元も同時にスタートしたが、制度は複雑で混乱も予想される。
【変わる価格一覧】交通・電気・外食…家計にどう影響?
税率引き上げは、5%から8%になった2014年4月以来5年半ぶり。1989年4月の消費税導入以来、税率は初めて2桁になった。
増税に伴い1日から鉄道やバス、郵便などの各種公共料金が約2%分値上がりする。電気・ガス・水道料金は経過措置があり、新税率の適用は多くの家庭で11月分からになる。外食チェーンなどでは、持ち帰りは軽減税率の8%が、店内飲食には10%がそれぞれ適用されるため、同じ商品でも税込み価格が異なるケースが出てくる。
コンビニエンスストアやスーパー、鉄道駅などでは増税に伴う価格変更のため、値札や運賃表示の切り替え作業が1日未明まで続いた。
また、全国の中小店舗など約50万店で1日からポイント還元事業がスタート。増税後の消費冷え込みを抑えるため、クレジットカードやQRコードなどキャッシュレス決済で買い物した場合、中小店舗は5%、大企業傘下のフランチャイズチェーン(FC)店では2%を還元する。
ただ、大手スーパーなどは事業の対象外で、中小でも参加しない店舗が多い。軽減税率が適用されるか否かの線引きも分かりづらい面があり、支払代金がいくらになるかを巡って消費者が困惑する場面もありそうだ。また、これらの対策によって、増税による消費の落ち込みをどこまで防げるかも不透明だ。
増税分の使い道について政府は、今回の税収増加分の約5・6兆円の全額を社会保障に充てる。増税に合わせ幼児教育・保育を無償化し、大学や短大、専門学校、高専の授業料などの減免も来年4月から実施する。このほか低所得者支援策も行い、増税に理解を求める方針だ。
政府は30日、関係省庁会議を開き、準備状況を最終確認した。菅義偉官房長官は記者会見で「現場で混乱が生じないよう土日も含め国税当局や中小企業庁、相談窓口で丁寧に対応する」と述べた。
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