*スティング、アマゾン森林火災に関する政府の対応に激怒「全人類が報いを受けることになる」
8/28(水)16:30配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190828-00031829-rolling-int
モナコのスポルティング・サマー・フェスティバルで演奏するスティングSYSPEO/SIPA/Shutterstock
ブラジル政府の反応を受け、熱帯雨林の保護活動に力を入れている英ミュージシャンのスティングは「グローバルレベルの犯罪的怠慢」と非難のコメントを発表した。
凄まじい勢いでアマゾンの熱帯雨林を襲っている森林火災をめぐるブラジル政府の反応――というよりは無反応――を受け、スティングが声明文でブラジル政府を非難した。
英現地時間8月27日、自身のFacebookアカウントへの投稿でスティングは、ブラジルのジャイル・ボルソナロ大統領を強く非難した。地球温暖化を信じようとしないボルソナロ大統領は、アマゾニア(アマゾン川流域のブラジル・ベネズエラ・コロンビア・エクアドル・ペルー・ボリビアにまたがる地域の総称)の先住民をあからさまに蔑視するとともに、アマゾニアの森林伐採と商業利用を推進し、いまも続いている森林火災に対する世界中の人々の反応を軽んじたのだ。米ニューヨーク・タイムズ誌が報じたところによると、ボルソナロ大統領はG7サミット(主要7か国首脳会議)の際にエマニュエル・マクロン仏大統領が森林火災対策として申し出た2200万ドル(およそ21億円)の資金支援を拒否したそうだ(その後、ボルソナロ大統領は「関係者への侮辱と、ブラジルはアマゾンの支配者ではない、というあてこすりに対してマクロンが謝罪するなら、提案を受け入れてもいい」とわずかながら態度を改めた)。
1987年設立の慈善団体Rainforest Foundation Fundとともに、長年にわたって熱帯雨林保護活動に力を注いできたスティングは、ブラジルや南アメリカの先住民コミュニティに寄り添いながら、こうした人々の故郷を守ってきた。Facebookに投稿した声明文でスティングはこのように述べている。「国家主義的な政策を引き合いに出し、地球温暖化とこれに付随するものをでっちあげと主張する大衆主義者のリーダーたちは、ただ突っ立って何もしない人よりも罪深い。これは、グローバルレベルの犯罪的怠慢だ」。
スティングの声明文の全文
以下にスティングの声明文の全文を記す:
伝説によると、ローマ皇帝ネロは「ローマが炎に包まれるなか、竪琴を奏でていた」そうだ。これほど愚かな男がミュージシャンだったという根拠のない話には、憤りを感じずにはいられないが、私がこの文章をしたためているあいだも続く災害の悲劇的な側面に、私をはじめとするすべての人間が心を痛めている」
前代未聞のレベルでアマゾニアが燃えている。そのレベルは昨年から比較すると80%上がり、森林破壊もさらに39%進行した。そしてたったいま、世界はこの事実に気づいた。
国家主義的な政策を引き合いに出し、地球温暖化とこれに付随するものをでっちあげと主張する大衆主義者のリーダーたちは、ただ突っ立って何もしない人よりも罪深い。これは、グローバルレベルの犯罪的怠慢だ。
全人類が同じ空気を吸っているこの世界において、時代遅れの国家主義的思想の居場所などない。今回の意図的な怠慢に対して全人類が報いを受けることになる。
アマゾニアを「地球の肺」と呼ぶ表現は、必ずしも正確ではないかもしれない。だが、人類が生存できるわずかな環境がますます縮小している地球の健康を支える連鎖のなかで、アマゾニアがかけがえのない、大切な存在であることは伝わる。こんなふうに燃えるままにしてはいけない。
鎮火できないほど火災が続くレベルに私たちは刻一刻と向かっている。
私たちは、アマゾニアの搾取を推し進めた政策を変えるよう、ブラジル政府に要求する。国家主義的な物言いは、地球でもっとも大切な生きた研究室であるアマゾニア火災の原因をつくった。数え切れないほどの種が、迫り来る絶滅の危機にさらされている。
ブラジルのジャイル・ボルソナロ大統領は、「私はアマゾニアの先住民の味方ではない」と公然と主張し、締結された協定を放棄し、新たな領土を開拓しながらも、これらを阻むブラジルの科学および人権保護組織の解体を進めている。大統領はG7加盟国を偽善者と非難し、「かつては自分たちだって自国の森林を伐採したじゃないか」と言った。とはいえ、過去の過ちから学ばない理由にはならない。
ブラジルが森林を破壊しなくてもいいよう、私たちは協力して持続可能な経済モデルを打ち立てなければならない。
Rainforest Foundation Fundは、30年にわたってブラジルだけでなく、南アメリカ中の国々で暮らすアマゾニアの先住民たちとともに土地と権利の保護に取り組んできた。差し迫った危機に直面しているのはこうした人々の世界であり、人々の生活は守られなければならない。彼らの生存を保障するため、いまだかつてないほどのサポートが必要だ。
当然ながら、これらのことを理解し、受け入れるのはボルソナロ氏の啓発された利己心にかかっている。手遅れになる前に、ボルソナロ氏が政策を再考し、行いと扇動的な物言いを改めることを強く願う。竪琴なんて弾いている場合じゃない。世界が燃えているんだ。
Translated by Shoko Natori
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善意の沈黙を止めたSting
私も声明文に同意します。
わけのわからない人間のエゴで、私たちのアマゾニア並びに地球の豊かさが焼失されている。その様を、ただ指をくわえて見ているだけでいいのでしょうか?
みんなが環境破壊してきたから、ブラジルもしていいんだという、ボルソナロ大統領の主張。おかしくありませんか?他人が殺人を犯したからといって、自分もしていいことにはならない。何をしても因果応報は万人に適応されます。
『1987年設立の慈善団体Rainforest Foundation Fundとともに、長年にわたって熱帯雨林保護活動に力を注いできたスティングは、ブラジルや南アメリカの先住民コミュニティに寄り添いながら、こうした人々の故郷を守ってきた』
Sting がこのような活動を続けてきたことは知りませんでした。1987年にリリースされたアルバム『Nothing like the sun』は世界構造対する矛盾を正面から問い、嘆き、魂を感じさせる曲ばかりでした。30年以上が過ぎた今でもお気に入りのナンバーです。
Stingのこのアルバムがリリースされた同じころ、ご縁あってメキシコを旅したことがあります。メキシコの熱帯雨林にもたくさんの少数先住民族が暮らしていて、旅をしている時に彼らのを案内してくれる数少ないガイドさんに出会うことができました。
写真を撮ることは禁止され、持ち物も限定された、一泊二日の少数先住民族を訪ねるツアー。バックパッカーズでも、一部の人たちしか行かないレアな場所(笑)将来ジャーナリストになりたいとか、そういう若者が海外から訪れる場所でした。
この先住民族の人々に出会い、その素朴さと純粋さ、そして解決しようのない貧困を目の当たりにして、自分の無力さを痛感。頭を金槌で殴られたような気持ちでした。今でも彼らとの出会いは純粋で謙虚な気持ちにしてくれます。
そして燃え広がるアマゾンに、もはや沈黙し続けることはできない。彼らの家が、居場所が無くなってしまうから。差し迫っているのは、彼らの生活の保障であり、それを持続可能な支援にしていくこと。世界が取り組む大きな課題ですね。
もし、ボルソナロ大統領の自宅周辺が火事になったらどうしますか?と問うてみましょう。
すぐに火を消して!と思うでしょう。人、動物、生物が生きる場所を奪う権利は誰にもないのです。地球は人間だけの所有物ではありません。
一刻も早く消化活動が進むことを祈っております。
あるがままで