ブログの匿名性

総務省がネットの実名化を推進しようとしているらしい。

確かに、ネットの住人の中には、本人が特定できないのを良い事に
他人のサイトに嫌がらせの書き込みをしたり、
誰か標的を見つけて別の場所である事ない事悪口を書いたり、
反社会的な内容やいかがわしい話を載せたサイトを運営したり、
とんでもない連中がたくさんいる。

こうした、ネットの匿名性に付け込んだフトドキ者により
善意の利用者が迷惑を蒙った場合には
問題行動をしている輩を直ちに特定できるよう
何らかの有効な手段を講じて欲しいと強く思う。

しかし、それが実名化の促進だというのは短絡的過ぎないか。
しかも、総務省の言うところの「匿名性が低いブログ(日記風サイト)」から
それを推進するとなると首を傾げずにはおれない。

今身近で起きているネットトラブルの多くは、
まさに日記の匿名性が危うくなった時に生じている。

ウェブ上で公開する日記は、極めて個人的な内容であるにも拘らず
不特定多数の見知らぬ他人が自由に見る事が出来る。
個人を特定できる細々とした話を安易に書いてしまうと
思いもかけない面倒に巻き込まれる事もある。

しかし、だからと言って、差し障りのない話題ばかりでは
ネットの魅力である実生活ではまず出会う事のない多くの人々との
豊かな交流が実現できない。

このあたりの兼ね合いは実に難しい。

実際、地理的制約も年齢による垣根も生活環境の違いも
ネットの世界では簡単に飛び越える事ができる。
本音で語れば語るほど、返って来る反響も大きく勉強になる意見も多い。

ブログとは、まさに、ネットの匿名性と個人情報の公開という
相反する要素をどう上手く両立させるか最も頭を悩ませる分野だ。
誰でも簡単に始められるからといって、
素人向きの安全なツールだと勝手に解釈するのはとても危険だ。

ネットに伴うリスクを私達のようなただの普通の人間が全て個人で
背負わなければならない今日のような状況で、
いたずらに実名化を急げば、無防備な善意の人々を
無用に傷付けてしまうことになりはしないだろうかと私は恐れる。

総務省は小学生に実名でのブログを勧めるつもりらしいが、
それこそ危険極まりない。
取り返しのつかない事になったら一体誰がどう責任を取るつもりなのだろう。
あまりにも軽率すぎる