不幸の損得

耐震計算書偽造問題で、
いよいよ政府が救済に乗り出すようだ。
倒壊の恐れのあるマンションに住む住人の避難先として
公営住宅を用意したり、
税金の減免を検討したりしているという。

騙された被害者の住人の方達は本当に気の毒だと思う。
しかし、いよいよ公的な資金が投入されるとなると
何か気持ちに引っ掛かるものがあるのも正直なところだ。

欠陥住宅を買わされてひどい目に遭っているのは
何も今回のマンションの住人に限ったものではない。
新築工事の最中に業者が倒産し、前払い金を取られたまま
家は柱が建っただけで雨ざらしという話を聞いたこともある。
そういった人たちは一体誰に救いを求めたのだろうか。
最近ニュースでよく取り上げられるリフォーム詐欺も同じだ。
騙されて法外な金を取られた被害者達は
その後どうなったのだろう。

そう考えると、つくづく、
人の不幸にも運というものがあるのだなと感じる。

私は、常々、同じ事故で死ぬなら飛行機事故、
それも日本の飛行機会社の飛行機に乗って死ななければ
と思っている。
賠償金が全然違うからだ。
まかり間違っても、
保険にも入っていないような酔っ払いが運転する車に
轢かれて死んでなるものかと思う。

騙されたり、命を奪われたりするのは、
もうそれだけで十分理不尽なのに、
相手やその場の状況によってそこにさらなる格差が生じる。

だが、たとえそうでも、人間は普通
自分の不幸の有り様を選択することなど出来ない。
どこまでも不公平に出来ているのだ。
この世の中は。