3月に入り、街に降り積もった雪も徐々に融けてきました。
寒暖を繰り返しながらも、少しずつ春に近づいてきている今日この頃
南では桜がほころんでいる地域もあるようで、春はこれから少しずつ北上してきます。
本格的な春の訪れはまだ先のことになりそうですが、今から待ち遠しいです・・・
さて、季節は春とは真逆の秋へと遡ります
紅葉が始まりかけた深浦町へ出かけたときの話。
国道101号線から五能線のJR追良瀬駅へと続く道と反対側(角に「見入山観音」の看板があります)に曲がり、追良瀬川(※)沿いに進んでいきます。
※読みかたは、十和田湖から流れ出る奥入瀬川(おいらせがわ)と同じですが、全く別の川です。
しばらくすると、道の左手に巨大な杉木立が姿を現します。
巨大な杉は“夫婦杉”という名前で、周囲には観音様が数体。
その奥に鳥居があるのですが、目的地はその先にあります
鳥居をくぐってしばらくは、杉木立に囲まれた緩やかな上り坂を歩くことになります。
それが、ある地点を境に急勾配へと変わるんです
鳥居脇に置いてある金剛杖を持ってきて正解でした。
道すがら、観音様が安らかな表情でほほ笑みかけてくれます
・・・?? 観音様の足元を見ると、なにやら文字が記されていますよ!?
「ケッパレ」
津軽弁で「がんばれ」という意味ですが、どうやら、観音様が急坂を上る私たちを応援してくれているようです
ひとつ坂を越えたと思ったら、また坂・・・ だんだん息が上がってきます
着々と歩を進めていくと、今度は別の観音様がほほ笑みかけてくれました。
そして、最初に出合った観音様のように、台座には「あと少し」、「すぐそこ」という文字が記されていて、励みになります。
(※画像クリック)
ところで、私たちが歩いているこの道は、昔、山伏の修験場だったそうで。
津軽三十三観音霊場第9番の札所にあたる見入山観音堂は、33ある札所の中でも最も難所とされているということです。
さて、すぐそこ観音様を通り過ぎると、ゴールはすぐそこ?
ではなかったようです
辿り着いたのは、『不動堂』。
薄暗い岩窟の中に、ぽつんと佇む小さな祠。
その脇には、小石が積み上げられていました。
さて、不動堂へは岩場に設けられた急な階段を上っていきます。
そして、観音堂へ辿り着くには、またこの階段を下りなくてはなりません。
この箇所は“胎内くぐり”といって、女性の胎内に見立ててそう名付けられたようです。
胎内くぐりを巡ることによって、罪が祓われるのだとか。
確かに、なんとなくスッキリした感じがしました ホントか?ーー)*
胎内くぐりを終えたあとは、観音堂を目指すのみです!
ふと立ち止まって上を見ると、黄葉した木々と黄葉前の木々が入り混じり、その隙間から茶色い岩肌が覗いています。
深まる秋の気配
紅葉狩りを楽しみながら、観音堂へ向かってゆっくり歩いていきます。
そしてついに・・・
岩陰の奥から観音堂が顔を覗かせました
室町時代の初期にあたる1344(康永3)年に創建されたという見入山観音堂。
斜面の上にしっかりと柱が組まれ、大きな建物ではないものの、かなりの迫力です。
岩窟にすっぽりとはまっているのですが、どうしたらこのような場所にお堂を建てることができるのでしょう?
昔の人が持っていた技術は、計り知れません・・・
お堂の中は、自由に拝観・見学できますよ。
ちなみに、見入山観音堂を管理しているのは同じ深浦町内にある円覚寺だそうで、納経所にもなっています。
お堂を囲む回廊を歩けば、紅葉した木々とはるか眼下を流れる追良瀬川を望むことができます。
木々が芽吹く頃や冬枯れを迎える時期には、もっとハッキリと追良瀬の流れを眺めることができるはずです。
しばらくの間この雰囲気を味わったあと、もと来た道を戻ります
道すがら、背筋がひんやりするような出来事が・・・
往路で見過ごしていたと思われる「クマが出るかもしれません」という看板に気付いてしまったのです
この看板を境に、歩く速度が一気に速くなります
途中、下の写真のような不思議な円形の物体に遭遇しました。もしや、スズメバチの巣?(゜_゜ ;
一見不気味な風貌をしたこの物体は、スズメバチの巣ではなく“ヤマブシタケ”であろうということでした。
ヤマブシタケ(山伏茸)は、ブナ(写真)やミズナラなど広葉樹の立木や朽木に生えるそうで。
また、山伏の衣装「袈裟」に付いている丸い飾りに似ていることから、この名前が付いたのだといわれています。
山伏の修験場だった場所に生息するヤマブシタケ・・・ なんという偶然!
しかも、このヤマブシタケは年々生息数が減少しているようで、今では珍しいキノコなのだとか。
さらに調べてみると、中華料理の高級食材として珍重されたり、乾燥したものは漢方薬として使われるなど、非常に素晴らしいキノコだということが分かりました。
それに加え、免疫力を高めたり、活性酸素を除去したり、アルツハイマーを防止したりという効果も期待されているというから驚きです。
いや~、不気味だなんて失礼なことを言ってしまい、申し訳ありませんでした・・・m(_ _)m
最後は、すっかりヤマブシタケの話にすり替わってしまいましたが
雪が融けて木々が芽吹き始めた頃、春を感じながら観音堂への道を散策するのもいいかもしれません
§見入山観音堂§
■住所 青森県深浦町追良瀬字初瀬山草分28
■問合せ 春光山 円覚寺 TEL 0173-74-2029 / FAX 0173-74-2032
■拝観料 無料
■最寄駅 JR追良瀬駅(五能線)/ 駅から車で約35分
■深浦町観光協会HP http://www.fukaura.jp/index.html
by ヴァ♪