DQ11二次創作SS「グレ主」+シルビアさんです。
詳しくはグレイグ様とシルビアさんのお話で、主人公(うちの子はイザーク)は出て来ません。
会話が多く凄く短いです。場所は何となくなだけで意味は有りません。
一応クリア後の世界だと思って下さい。その為、ネタバレは有りませんが、クリアしていない方は自己回避で。
付き合っては居ないけど、両片思いのグレ主なので、腐が苦手な方もご遠慮下さい。
大丈夫な方のみ、下へスクロールしてご覧下さい。↓↓↓↓
<背中からでは見えないもの>
小鳥の囀りに混じって空気を切り裂くような音が、辺りの清廉さを台無しにしている。
クレイモラン城の城下街は北国という事もあって何処の街よりも寒い。
常に万年雪がある所為か、軽装のパーティメンバーは昨日の内に厚手のコートやミトンの手袋を購入していたようだった。
そんな中、いつもは穏やかな勇者イザークは、珍しく声を荒げ、グレイグと言い争いをしていたようだった。
現在7人のパーティメンバーの内、男性陣は4人部屋に簡易ベッドを入れての5人という大所帯だった為、就寝時間になるまで、各々好きな場所で過ごし、夜遅く宿屋の宿泊部屋へ集合するのがお約束になっていた。
そんな中、いつもの剣の稽古に出掛ける筈だった二人は、何故か言い争いになり、イザークは目に一杯涙を浮かべ部屋を飛び出して行ってしまった。
あの様子では夕食まで戻って来ないだろう。
グレイグは仕方無く一人で城下街の片隅、人気の無い広場で剣の稽古を始める事にしたのだ。
グレイグは片手剣、両手剣、斧、盾が装備出来る。
現在主に両手剣を使用しているのだが、筋力の鍛錬の為、両手剣を片手で構え、空気を切り裂くように素振りをする。
剣を志す者で無くとも、振り下す振動と僅かばかりに散る稲光に気付く事だろう。
今や仲間と旅をする身でも英雄とまで呼ばれた騎士グレイグは健在なのだ。
其処へリボンが解かれるような音がして、グレイグの頭がすっと右に傾く。
すると「たん」と薪を割るような鋭い音がして、横にあった大木に切れ味の良さそうな短剣が深々と突き刺さった。
グレイグの目が一瞬で兵の眼差しに変わり、背後を振り返った。
「ゴリアテ。お前は短剣のスキルは伸ばして居なかったのではないか」
「そうね。でもちょっとしたお灸にいいかなって投げてみただけよ?」
「今、小さくだが『ライトニングデス』って囁いて無かったか」
「あら~ん。グレイグったらデビルイヤ~なんだから~。そんな訳ないじゃな~い」
ライトニングデスは敵の急所を狙い光のごとき一閃し、たまに即死させるシルビアのスキルである。
大体の理由は分かっているが、ふざけながらも本気で自分を殺しに掛かって来たかとグレイグは薄ら寒い気がした。
このパーティは皆、イザークに甘い。
チョコレートパフェに砂糖と蜂蜜と練乳を掛ける程に甘い。
鈍く頭が痛くなった来たので、鍛錬は諦め、グレイグは同門の元騎士の言い分を聴く姿勢を取った。
「ふん。ちゃんと自分が悪いって分かってるみたいじゃない」
「大人気ない事は分かっている。だが、俺は勇者の、イザークの盾になると誓った。勇者を護る為には必要なスキルだ。取らないという選択肢は無いし、戦闘で必要とあらば使うつもりだ」
シルビアは生暖かい視線でグレイグを見たが、何も反論しなかった。
そしてただ大きく溜息を吐いた。
「あんた『俺は盾だ』なんて格好付けて、いつもイザークちゃんを庇っているつもりでしょうけど、あんたの後ろでイザークちゃんがどんな顔しているか分かっているの?」
「は?」
「その背に庇ってばかりでは見えないものは沢山あるのよ」
二人が言い争いになった理由。
それは本来皆と話し合ってスキルポイントを振り分け、呪文や特技を習得していくのを、グレイグが無断でスキル「仁王立ち」を習得してしまったからである。
「仁王立ち」は敵の前に立ちはだかり仲間の盾となるグレイグの特技である。
現在両手剣を装備し、盾のないグレイグは、両手剣で少しは防御出来るものの、「仁王立ち」を発動すると他の3人の攻撃を一身で受け止める事になる。
幾ら防御力とHPが高いグレイグでも、サブボスクラスの敵相手だと死んでしまう可能性が多いに有った。
イザークはグレイグの想いを受け入れはした。
だが、自分の為にグレイグが進んで傷付いて欲しい訳ではないのだ。
それを分かって欲しくて相談して欲しかったと主張したのだが、グレイグは振り直しはしないと突っ撥ねたのである。
「二人で任務を遂行していた際にもやっていた事だ。俺は彼を護る義務がある。その為には必要なスキルだ。何の問題がある」
「あんただって自分の傷を後回しにしてベホマして来たイザークちゃんを叱った事が有ったじゃない。イザークちゃんをまた泣かせたりしたら、あたしも本気でライトニングデス習得するわよ」
「ゴリアテ…やっぱり本気で俺を殺す気なんだな…」
グレイグは旧知の友を同じく生温かい視線で見返して遣ったが、確かにそれは本当だった。
シルビアの言った事、イザークは自分に庇われて一体どんな顔をしているか、幾らホメロスに鈍感とからかわれてばかり居たグレイグも予想は出来た。
しかし、イザークを哀しませる事になったとしても、自分は彼の盾だ。
勇者であり、世界の救世主であるイザークを死なせる訳にはいかない。
例え志半ばで朽ちたとしても、世界が救われるのならば、イザークが傷を負わなければグレイグには悔いはない。
「…あんたってホント昔っから頑固なんだから。でも、そういうあんただからこそ、イザークちゃんは好きになったんだろうけどね。ほら、意地張ってないで、探しに行ってあげなさいよ。きっと待ってるわよ」
そういうお前こそ騎士を志していた頃と変わらず、究極のお節介だなとグレイグは思ったが、ただ一言。
「そういうものか」と聴いた。
シルビアはまるで黒猫のように目を細めて笑うと「そういうものなのよ。勉強なさい」とまるで姉のようにグレイグの肩を軽く押し遣った。
逃げ腰だったグレイグは背中を押される形だが、きっと一人で剥れているだろう我が勇者を探しに歩き出した。
小さくなっていく背中を見遣りながら、シルビアは苦笑しながら胸の前で腕を組み、小さく溜息を吐いた。
「ま、アタシも人の事説教出来るほど立派な男じゃないけどね」
遥か昔、偉大なる騎士である実父ジエーゴの元から逃げるように去ったゴリアテことシルビアは、長い年月を経てここ最近漸くジエーゴと和解したのだが、それまでに葛藤し、苦しんで来た。
でも、結局は対話しなければ前に進めない事を実感したのだ。
だからこそ、自分と同じ過ちを二人には犯して欲しく無かった。
「だって、アタシの大事な大事な仲間なんだもの。二人には幸せになって欲しいじゃな~い」
正午の鐘が鳴る。
そう言えばセーニャが美味しいスイーツの店を見付けたと言っていたので、店で合流出来るかもしれない。
シルビアは頭を女子のようにきっぱり切り替えると、乙女のように楽しそうにスキップしながら、グレイグとは全く反対の方向へ歩き出した。
夕方、二人が顔を真っ赤にしながら揃って宿屋に戻って来る事を確信しながらのスキップはまるで羽根が生えたかのように軽やかだった。
<了>
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実はグレイグ様の次に好きなのがシルビア姐さんです。
イベント毎に話し掛けて姐さんに癒されてます。
ホント、マルティナはお姉ちゃんで、シルビアさんは姐さんです。
因みにゴリグレとかではないですから。飽くまでもお節介です。
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