あぽまに@らんだむ

日記とか感想とか二次創作とか。

その温もりだけを頼りに(DQ11グレ主)

2017年08月18日 | スクエニ関連








うちの主人公はイレブンと同じ「イ」から始まる名前と思って「イザーク」にしたのですが、
グレイグ様と名前が少し似てる感じになってしまったなと少し後悔しました。
一応目上で英雄であるグレイグを、主人公は呼び捨て出来なくて「グレイグ様」と呼んでいます。
最初は必死に訂正していたグレイグ様ですが、その内好きに呼ぶがいいと諦めたご様子。
仔犬のように「グレイグ様」「グレイグ様」と懐いてくる主人公を本当に可愛がっているグレイグ様が大好きです。
あ~おじ様、絆されるな~としみじみ。
一応私的に二人の間にまだ性的な感情はないので、今の処ブロマンスだと思って下さい。
また、女性向け(腐)とは思われますので、ワンクッション置きます。
表クリア後、間も無いお話なので、大丈夫な方のみ、下へスクロールしてご覧下さい。↓↓↓↓




















































<その温もりだけを頼りに>





忘れられた塔を逃げるように去った後、一行はホムラの里へ来たものの、里の活気溢れる喧噪に馴染めず、誰から言い出したか、里を出て一番近くのキャンプ跡を見付け、其処で野宿する事にした。
イザークを最初に見出し、常に傍に在った相棒カミュは終始黙りこくったままで、イザークは沈む女性陣や肉親であるロウの顔を見るのに耐えられず、薪を取りに行って来るとキャンプの火の灯りから離れた。
過去へ戻り、ベロニカを死なせない為、命の大樹が失われないよう先回りし、魔王ウルノーガを倒す。
その際デルカダール王国の二将軍、今は仲間であるグレイグと魔王軍に堕ちたホメロスを再度敵に回す事になる。
いつの時間軸に戻るかは分からないが、デルカダール王は16年前のあの日に、既に魔王ウルノーガに肉体を乗っ取られているので、彼と対峙しなければならない。
その時、グレイグは、王に命じられるまま、嘗てのように自分に大剣を向け、「悪魔の子」と自分を呼ぶのだろう。
そう考えただけでイザークの心は震えた。



命の大樹が堕ちた後、最後の砦に現れたイザークに贖罪とし、勇者を護る盾となると跪いて忠誠を誓ってくれたグレイグ。
あれ以来、ロウやシルビアと再会するまで、不安に揺れる心と未熟な身体を支え、グレイグは何度もイザークを励まし、支えてくれた。
温かい、灰色にも見えるエメラルドのような緑の瞳は常に自分だけを見詰めて居てくれた。
記憶を取り戻し終盤で仲間に戻ったカミュにも嘗てのように打ち明ける事も躊躇われ、イザークはこの秘めた想いに一人悩み、苦しんでいた。
もう二度と皆と逢えなくなるかもしれない。
一度は魔王の手に堕ち、焦土と化しても尚、見事復活を遂げたこの世界には戻って来れないかもしれないのだ。
優しくしてくれた。
純粋で真っ直ぐで強靭なグレイグにイザークは自然と惹かれていった。
まだ少年とも言えるイザークを悪魔の子と追い回し、剣さえも交えた過去をグレイグは全て自分の罪としてイザークに償おうとしていた。
二人で旅を始めた頃は、常に張り詰めたような緊張感が二人の間には有ったが、一週間程経つ頃にはイザークが年長で頼りになるグレイグに甘え始め、戸惑いながらもグレイグはイザークの懐きように応えようと努めてくれた。
お互いの歩み寄りに因って程無く二人はまるで剣の師匠と弟子のように温かい信頼関係を築く事に成功したのだった。
それがいつの頃から淡い恋心に変わっていったのか。
イザークは想い出せない。
グレイグだけでは無い。
いつも姉のように明るく励まし、戦闘では兄のように頼もしいシルビアにも、幼いながらも自分を護り、手放してしまった事を常に悔いていてくれた姉代わりのマルティナにも、知識に富み、皆を温かく見守ってくれていた唯一の肉親ロウにも、姉を亡くし健気にも自分を護ると気丈に振る舞うセーニャにも、そして自分を救い出し、命の大樹に辿り着くまで常に傍に居てくれた相棒カミュにも逢えなくなってしまうのだ。
でも、魔王ウルノーガを倒し、命の大樹を復活させた自分達が此処で生きているのは、赤いとんがり帽子のベロニカがたった一人でその小さな命を代償にして皆を救ってくれたからだ。
この世界は彼女の命に因って蘇ったのだ。

「あなたをお守りします」双賢の姉妹はイザークにそう言った。

でも、あの時、もう少し自分に力があれば、ベロニカが死ぬ必要が無かったのでは無いか。
全ては自分の勇者としての力不足の所為では無かったのか。
ならば、ベロニカを救う為に自分に出来る事をしなくてはならない。
例えこの胸を抉るかのような恋心を捨てなければならないとしても、過去の世界で恋する人に再び「悪魔の子」と、忌むべき存在として剣を向けられる事になっても、それはきっと仕方が無い事なのだ。
イザークは川の畔に立ち尽くし、ただ涙を流した。
この恋心は此処で涙と一緒に川に流していく。
それが自分の運命なのだと自分に言い聞かせた。





ぱきりと小枝が折れる音がして、イザークは咄嗟に剣の束に手を遣った。
しかし、月明かりに照らされ現れたのは、今一番逢いたくない人物だった。
咄嗟に両頬を手の甲で拭い俯いた。
月に背を向けている所為で、グレイグからは、恐らくイザークの表情は見えない筈だ。
緊張を解いたイザークにそっと近付き、グレイグは「薪が足りなくなって来てお前が戻らないから拾いがてら探しに来た」とただそう告げた。
イザークは勇者であり、魔王さえ討ち滅ぼした存在だ。
今のこの世界で彼の命を脅かす者は居ないだろうが、彼の盾はその視界の中に、金のさらさら髪が見えないと不安になるのだろう。
薪拾いに託けて探しに来たのだ。
しかし、イザークの手許に余り薪が無い事に気付き、不器用ながら繊細なグレイグは暫し黙った後、口を開いた。

「決めたのか」

イザークは目を見開いた。
そして、ずっと想い悩み一人苦しんで来た今迄の感情がまるで堰を切ったかのように溢れ、拭ったばかりの両の目から、それは涙としてまた溢れ出し、止まらなくなった。
忘れられた塔の中で、一緒に何故行けないのだとずっと憤慨し、不甲斐ない自分に苦悩してくれていたグレイグ。
時の番人から過去に行けるのはイザークただ一人だけと諭され、グレイグはそれから一切口に出さなくなった。
英雄と呼ばれた彼は、人間の手には遠く及ばない神のような存在に悟ったのだろう。
その力に幾ら抗ったとしても、イザークをただ困らせるだけだと分かったのだ。
でも、イザークは想う。
止めて欲しい。
ただ一言「傍に居ろ」そう言ってくれるだけで覚悟を決められる。
その言葉だけを胸に過去へ飛べる。



「泣いているのか」

グレイグの無骨だが温かい指先が濡れた頬をそっと拭う。
もっとその優しい相貌を見たくてグレイグは月明かりの方へイザークを誘った。
輝くサファイヤのような薄青の瞳は大粒の涙に濡れ、金の睫毛が伏せられ暗い影を頬に落としている。
恐らくイザークはその責任感から、あの時、命の大樹が堕ちたのは、ベロニカを死に追い遣ったのは全て自分の力が足りなかった所為だと思っているのだろう。
だから過去へ行き全てを救わなければならないと思い詰めている事はグレイグにも容易に想像出来た。
皆が必死に止めていること、ロウやマルティナ、セーニャの事を想うと胸が締め付けられているのだろう。
優しい子なのだ。
グレイグはその細い両肩にまた、抱え込めない程の重責を押し付けている事に胸が抉られるような苦しみを感じた。
再度涙を拭うとその頬は冷たく、グレイグはイザークの身体が夜気で冷え切っている事に今更ながら気付いた。

「今夜は遅い。風邪を引く前に焚火の傍へ戻るぞ」

イザークの背を押し、帰りを促そうとしたグレイグの胸にイザークはまるで倒れ込むかのようにしがみ付いて来た。
その強靭な肉体故に共に倒れる事は無かったものの、一瞬片脚を踏ん張り、グレイグはイザークを受け止めた。
子が親に甘えるかのようにしっかり背に手が回され、その発達した胸襟に顔を埋めている為、その表情は見えない。
涙が止まらないのか胸が熱く濡れている感覚があった。

「イザーク。思い詰めるな。行かない事を選択したとしても誰もお前を責めはしない」

「でも、行かなければベロニカは死んだままだ」

グレイグにしがみ付いたまま、イザークは顔を上げ叫んだ。
それはまるで慟哭だった。
グレイグはイザークの悲痛な顔をただ見詰める事しか出来ない。

「僕は勇者なんだ。少しでも可能性があるのならば、行かなくてはならない。多くの失われた命がまた救えるのなら、僕は最善を尽くさなければならない。でも……、でも……!!」

「イザーク…!!」

グレイグはイザークが言わんとしている事を瞬時に悟った。
しかし、それは16歳という幼い少年の口から言わせてはいけない言葉だった。
咄嗟にグレイグはイザークの口をその大きな掌で覆ってしまう。
言葉は言霊だ。
一度紡いでしまえば無かった事には出来ない。
その言霊で傷付くのはイザーク本人なのだ。
言わせる訳には行かなかった。
しかし、溢れんばかりの気持ちを言わせて貰えないという事実は、更にイザークを絶望に追い遣ろうとしていた。
だからグレイグは間髪入れず言った。

「その先は俺に言わせてくれ。いや。其処までお前を苦しませた愚かな俺を、どうか許して欲しい」

そっとイザークの口を覆っていたグレイグの掌が離れ、やがて力強い両腕が引き締まってはいるが、その細い肢体をしっかり抱き締めた。
イザークは自分を抱き潰さんばかりのその力強い腕に一瞬そのまま恋しい人の胸の中で泡となって消えてしまいたいと歓喜した。
夢にまで見た熱い抱擁だった。

「行くな。イザーク。行きたくないのなら行かなくていい。お前が勇者でも、過去へ戻る手段が見付かったとは言え、お前にその義務は無い」

そしてグレイグは一端口を閉ざすと暫く思い悩んだ後、再度口を開いた。

「違う。そうではない。そういう建前の話ではないな」

グレイグは一端名残惜しそうにゆっくりイザークの身体を離すと、不安に揺れる眼差しを受け止め、その細い手を取り、かの時と同じようにそっとその前に跪いた。
そして哀しみに満ちた顔のまま微笑んだ。

「俺は不器用な人間だから、単刀直入に言わせて貰おう。俺の傍に居てくれ。イザーク。例え過去の世界を救う為だとしても、一人でお前を行かせたくない。行かないで欲しい。ベロニカ嬢への罪は全て俺が背負おう」

「……グレイグ…様……」

二人とも分かっているのだ。イザークは勇者として数多の命を救う為、過去に戻らなければならないこと。
勇者であるイザーク一人だけで行かなくてはいけないこと。
グレイグが幾ら願ってもイザークは行くと選択するしかないことを。
しかし、グレイグは言葉を紡ぐ。
それがイザークへの救済だと分かっているからだ。
英雄も勇者も一人の人間なのだ。
例え世界が滅んだとしても、人を恋しく想う気持ちを誰が責められようか。
イザークは羽根のようにふわりとグレイグの首に抱き着いた。
グレイグもイザークを受け止め立ち上がると、この世界に繋ぎ留めるかのように強く、ひたすら強く抱き締めた。



暫くの間、二人は無言でお互いの熱を感じながら抱き合っていた。
しかし、意を決したのかイザークが顔を上げ、そっとグレイグの腕の中から身を起こした。
もうその強い瞳に涙は見えない。
グレイグは悲痛な面持ちで身も心も捧げた少年の、桜の花弁のような唇が開かれるのを待った。
例えそれが二人の別れを決定付ける言葉だったとしても、もう二人に悔いはない。
イザークは勇者で、グレイグは英雄なのだから。

「グレイグ様。明日、皆に言おうと思います」

過去へ行くのか、行かないのか、行くのならばいつなのかとグレイグは詳しく聴くつもりは無かった。
その時はイザークが決めればいい。
必ず皆が時の番人が待つあの場所まで見送りに行くだろうから、過去へ送り出す時には同行出来る。
その時が来るまで共に居られる。
旅立つその背中を見送るその時まで自分は彼を護るだけだ。
だからグレイグはただ一言「そうか」とだけ言った。
そんなグレイグの胸にイザークは顔を埋め、その温もりを覚えておこうと何度も頬を摺り寄せた。
グレイグはイザークの健気なその姿に胸を打たれ顔を歪める。
過去の自分はこの愛し子を「悪魔の子」と呼び、デルカダール王の命ずるままに捕縛しようとさえしたのだ。
そんな自分のいる過去の世界に一人、この子は再び放り出されるのだ。

「例えお前がこの世界に戻って来れなくても、俺はずっと待っている。そしてお前がまた過去の世界を救えると信じている。イザーク。お前は俺の光だ。お前が俺の傍に居なくとも、この世界の命を照らす日の光、闇に迷う魂を導く月明かりを見る度にお前を想う。俺の心は常にお前と共にある」

イザークはこの強く眩しい人こそ自分の光なのにと思う。
そして自分の恋した人と過去の世界でもきっと分かり合えると信じた。
そしてそれは二人の強い願いと想いに因って果たされるのだ。





<了>



------------------------------------------------------------------------------


決心が付かなくてまだ過去の世界に行ってないのですが、行く前の妄想という事で一つ。
まあ、行っちゃえば行っちゃったで書くとは思うんですけどね。
またギャグでカミュとシルビアさんの突っ込み惚気漫才させたいです。














コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ドラゴンクエスト11 過ぎ去り... | トップ | 背中からでは見えないもの(D... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

スクエニ関連」カテゴリの最新記事