あぽまに@らんだむ

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弟は嫁には遣りません!(審神者&蜻蛉切)

2020年04月23日 | 刀剣乱舞関係

 

これは、審神者である東雲千尋(しののめちひろ)と蜻蛉切のSSです。

千尋の兄、一真(かずま)と義姉、小鳥(ことり)が出て来ます。

二人が実家に帰省した時のドタバタコメディです。

腐の表現がありますので、閲覧には充分注意して下さい。

大丈夫な方のみ、下へスクロールしてご覧下さい。

↓↓↓↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<弟は嫁には遣りません!>


「うちの千尋がいつもお世話になっております。千尋の兄、一真です」
「こちらこそ、主には刀剣男士皆、お世話になっております。
本日お供を命じられました。三名槍が一振り、蜻蛉切と申します」
此処は審神者である東雲千尋の実家、東京都の某所、東雲家の客間である。
正座した審神者である千尋と、一真の嫁、小鳥が盆とお菓子を持ってその前に座っている。
深々と礼をして頭を上げない蜻蛉切に対して、千尋の長兄である一真は、頭を上げられない。
これまで近侍として沢山の刀剣男士が千尋について実家に帰省していた。
しかし、これ程大きく鬼気とした武人は居なかったのである。
短刀や脇差、打刀達が刀剣男士として劣っていたという訳では無い。
兄として、この蜻蛉切という刀剣男士と目に入れても痛くないと豪語する愛弟、
千尋との距離が他の刀剣男士と異様に近いのである。
今もどうだ。
「そろそろ頭を上げて下さい蜻蛉切さん。兄さんが困っています」
「それはとんだ失礼をしました。丁寧にと思う余りについ・・・」
「ふふ、蜻蛉切さんらしいですね。
はい、小鳥義姉さんにお菓子渡して一緒にお茶淹れて来て下さい。
小鳥義姉さん。蜻蛉切さんの淹れるお茶、上手だからお願いして貰っていいですよ」
「まぁ、ちいちゃん。私もお客さんでいいのかしら。じゃあ、お菓子用意するわね」
「主、そんな私ごとき姉上殿に失礼ではないのですか」
「僕が淹れて欲しいんだから、お願い。蜻蛉切さん」
「主のご命令とあれば、この蜻蛉切。心を込めて淹れさせて頂きます」
「まあ。今から熱々ね」
一真は嫁である小鳥の顔をきっと睨み付ける。今、何と言った。熱々なんてある筈無い。
千尋は審神者で、この蜻蛉切は刀剣男士、そう。男同士だぞ。
「かずくん。そんな熱い眼差しで小鳥を見ないで頂戴。お菓子用意するから」
「腹が減った訳じゃないぞ。断じてないぞ」
「はいはい」
恐らく小鳥は一真の心境を分かった上での物言いだろう。
一真の嫁だけに、大した器である。
この名声高い古武道、東雲流の宗家、東雲一真を手玉に取る女なのだ。
一真は既に頭の中は千尋=娘を嫁に獲られる父の心境になっていた。
唯の近侍で来た刀剣男士の挨拶だったのにおかしい。
客間を出た廊下から小鳥と蜻蛉切が楽しそうに話している声が聴こえて来た。
「かず兄。どうしたの。何か顔怖いよ」
「ちい。この際、正直に言いなさい。彼、蜻蛉切くんとはどういった関係なんだ」
「関係って・・・・。審神者と刀剣男士の関係に決まってるでしょう」
「そんなに顔を真っ赤にさせて、審神者と刀剣男士の筈が無いだろう」
「う・・・。でも、本当に何の関係も無いよ。まだ」
「まだだと」
「しまった」
「お前。蜻蛉切くんと更に密なる関係になるつもりなのか。男同士だろう」
「だから、そういう関係になるつもりないよ。第一蜻蛉切さんがイヤだろうし」
「お前みたいな可愛い男をイヤな奴など居るか。第一俺が許さん」
「かず兄。言ってる事がメチャクチャだよ。僕みたいな中年のおじさんを誰が好きになるの」
「おじさんではございませんよ。主」
すっと障子が開いて、淹れたお茶を載せたお盆を置いて蜻蛉切が廊下に座っていた。
後ろには小鳥も立っている。顔は膨れっ面だ。
「かずくん。ちょっと。ちいちゃん苛めないで。怒るわよ。
それと、ちいちゃん。ちいちゃんはおじさんじゃないわ。可愛い審神者さんでしょう」
「う~ん、34歳は立派なおじさんだと思うけど」
何故か剥れている義理の姉と蜻蛉切に千尋は首を傾げる。
「何か誤解をしていらっしゃるようですが、主の兄上殿。わたしはただの槍。
主とは何の関係もございません。ご安心下され」
「蜻蛉切さん・・・」
真向なる否定に寂しそうな顔付きになる愛弟。一真は逆上した。
「取り敢えずどんな関係だろうと、千尋は嫁には遣らんからな。蜻蛉切くん」
「は・・・はい。主は殿方故に嫁にはなれないかと存じます」
「はい。蜻蛉切さん、一本!」
「小鳥義姉さん・・・火に油を注ぐような事を・・・」
「千尋は嫁に遣らんぞ!」
「はいはい。分かりましたって言ってるでしょ。かずくん。行くわよ」
目をぐるぐるしながら断固として譲らない一真を引き摺るようにして小鳥が客間を後にする。
それを呆気に取られながら見送る二人。
我に返ると二人はふふっと目配せして笑い合った。
「折角蜻蛉切さんのお茶を自慢しようと思ってたのに、何かごめんなさい」
「いえ、主の兄上殿のお気持ちは何となく流石の私にも分かりましたから大丈夫です」
「うう。恥ずかしいなあ」
「ふっ、その気持ち、嬉しいですよ。主。刀剣男士でイヤだと思う者など居りません」
「刀剣男士としての気持ちってことかい」
「そうかもしれませんが、時間を下さい。主。我等は元は鋼の身。
その殆どが戦場で生きて来た者ばかりでございます。
本丸に主のお力で顕現して以来、初めての気持ちばかりでまだ分かりません」
その返答に満足したのか、千尋は口許を弧に描いて笑った。
そして大きく伸びをする。
「僕もこれがどういう気持ちなのか分からないけど、蜻蛉切さんを特別だと思ってるよ。
だから、僕は今すぐ答えを求めない。僕の好意を拒否されなかっただけで嬉しい」
「はい」
「うん」
「では、折角ですし、冷めてしまう前にお茶をどうぞ。
蜻蛉切が心を込めて淹れて参りました」
「うん。有難う。蜻蛉切さん」
それから蜻蛉切は当分、千尋が一真に泣き付くまで東雲家に出禁になったそうである。


<了>

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まだ恋ではありませんよ!
お互い好意を抱いているだけです。
千尋は色んな刀剣男士を好きなので、その分違う好きがあると思うのです。

 

 

 


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