N響アーカイブス講究

N響の演奏を中心に資料を紹介します。

オーボエ奏者 小島葉子さん

2019-01-28 20:06:07 | 楽員
オーボエ奏者 小島葉子さん
元N響オーボエ奏者 小島葉子さんが2018年12月13日逝去されました。享年77。
謹んでご冥福をお祈りします。

小島さんは1970年代後半から1990年にかけて首席奏者を務められた。それ以前2番奏者の時代はコーラングレを吹くことも多かった。2001年定年退職。

1982年4月、ギュンター・ヴァントがモーツァルト「ポストホルンセレナード」を振った際のエピソード。後にヴァントが小島さんについてインタビューで語ったものが放送された。


動画はこちら→https://youtu.be/TQSxXwtSgt8
(2019年11月11日追加)

「NHK交響楽団には何度か客演しました。モーツァルトのポストホルン・セレナードを指揮した時のことです。あの曲には、他の楽章とは全く雰囲気が違う素晴らしい中間楽章があります。短調のアンダンティーノです。その中で、2本のオーボエが吹くこんな旋律があります。・・・必ずしも悲しい旋律とはいえませんが、聴く者の涙を誘うのです。言葉では表現できない不思議な美しさがあります。
あれは休憩時間のことでした。誰かが私の部屋をノックするのです。日本人はとても遠慮深い人たちですから私と妻は驚きました。ドアを開けると立っていたのは首席オーボエ奏者の女性でした。小柄でぽっちゃりした女性だったと記憶しています。彼女は立ったままこうしたのです。(ヴァントがオーボエの旋律を口ずさみ、泣く仕草をする)そして去って行きました。」






1964年入団当時のN響メンバーアラカルトから
(「フィルハーモニー」1964年6月号)

スウィトナーの初来日(1971年12月)

2019-01-20 17:34:53 | 指揮者
スウィトナーの初来日(1971年12月)




フィルハーモニー 1972.1月号から

「N響・ザ・レジェンド」でスウィトナー初来日・初演奏の録音が紹介されたので、スウィトナー初来日の際の情報を拾ってみた。

羽田に氏を迎えた際の話が面白い。
「斜めから見たマエストロたち」長谷恭男著 同成社刊 より
 例によって、羽田空港に有馬先生のお伴をしてスウィトナー夫妻を出迎え九時、口の悪い有馬先生は「馬づらの指揮者と、ドイツの百姓女の奥さんやな」と云われたのを覚えている。しかし、正に云い得て妙。スウィトナー夫妻は全く、見栄を張らない素朴な人であった。

596回定期(1971.12.13/14)
R.シュトラウス 交響詩「ドン・キホーテ」
ヴィオラ独奏 白神定典(首席ヴィオラ奏者) チェロ独奏 堤剛

フィルハーモニー 1972.2月号から


「第九」公演(1971,12,20/21/22)
独唱 中沢桂 荒道子 丹羽勝海 芳野靖夫
合唱 国立音楽大学

フィルハーモニー 1972.2月号から

一期一会の音楽家たち ペーター・マーク

2019-01-13 20:05:05 | N響・ザ・レジェンド
一期一会の音楽家たち ペーター・マーク
(2019年1月12日放送)

シューベルト作曲
「交響曲第7番 ロ短調 D.759「未完成」」
「交響曲第8番 ハ長調 D.944」 (指揮)ペーター・マーク
(管弦楽)NHK交響楽団
~NHKホールで収録~
(1986年4月16日)












コンマス 徳永次男 山口裕之
Vn.Ⅱ 村上和邦 堀伝
Vla. 川崎和憲 大久保淑人
Vc. 徳永兼一郎 小野崎純
Cb.  小野崎充 西田直文
Fl. 大友太郎 植村泰一
Ob. 小島葉子 浜道晁
Cl. 横川晴児 磯部周平
Fg. 霧生吉秀 近藤寿行
Hr. 田中正大 山本真
Trp. 津堅直弘 祖堅方正
Trb. 神谷敏 三輪純生 牧野守英
Timp 百瀬和紀

番組内でも触れられていたように、この公演は当初ギュンター・ヴァント指揮によるものが予定されていたが、リハーサルのスケジュールで折り合いが付かず、ペーター・マークの代演となったものである。
ヴァント指揮の他の公演、ベートーヴェンの「第九」(4月23,24,25,26日)は朝比奈隆の指揮によって行われた。

キャンセルの経緯については「N響80年史全記録」に詳しい。
(以下「N響80年史全記録」佐野之彦著 文藝春秋社刊から引用)
 公演前日、ゲネプロをNHKホールではできないことがわかったのである。理由は、その日が火曜日だったから。同ホールには毎週決まって『歌謡コンサート』という公開生番組の于定が入っており、それはNHKとして絶対に動かせない必須のスケジュールだったのである。
 「なんとかできないかとずいぶん掛け合ったのですが、どうにもならない。で、恐る恐るマエストロに『申し訳ないが、ここだけは譲っていただけないか』と頼んだのですが、予想どおり『それなら俺は行かない』と。マネージャーからも『諦めろ。ヴァントは世界で一番気難しい指揮者なんだ』と言われて、やむをえず断念しました。結果的に、彼がその後N響を振ることはなかっただけに、本当に残念なことをしました」




1番フルートは大友太郎氏。1986年1月首席フルート奏者宮本明恭氏退団後、1987年中野富雄氏入団まで首席フルート1名が空席となった。
もう一人の首席小出信也氏の降り番の際は、エキストラ(客演奏者)が出演していたが、今公演は大友氏が出演、円やかで美しい音が聴かれる。

ベルリオーズ 没後150年(2019年1月5日放送)

2019-01-06 15:42:52 | N響・ザ・レジェンド
ベルリオーズ 没後150年(2019年1月5日放送)

「幻想交響曲 作品14」 ベルリオーズ作曲
(管弦楽)NHK交響楽団
(指揮)ジャン・フルネ
~NHKホールで収録~
(1993年2月13日)

コンマス 徳永二男 山口裕之
Vn.Ⅱ 村上和邦 川上朋子
Vla. 川崎和憲 大久保淑人
Vc. 藤森亮一 小野崎純
Cb. 池松宏 志賀信雄
Fl. 中野富雄 菅原潤
Ob. 北島章 小島葉子 Ci.浜道晁
Cl. 磯部周平 (?)
Fg. 岡崎耕治 森田格 井上俊次 菅原恵子
Hr. 松﨑裕 山本真 大野良雄 中島大之
Trp. 津堅直弘 栃本浩規 井川明彦 北村源三
Trb. 栗田雅勝 三輪純生 秋山鴻市
Tub. 多戸幾久三
Timp 百瀬和紀 久保昌一
Perc. 岡田知之 植松透 瀬戸川正
Hrp. ?











この頃の定期公演はFM生放送とともにBSでも生放送されていた。
15分休憩の際、柴田南雄氏の理知的な解説が印象に残っている。

フルネによる「幻想」は1974年10月にも演奏されていて、当日はアンコールで「ハンガリー行進曲」が演奏されたと記憶しているが、その録音は残っていない模様である。
また、フルネによる「幻想」は1969年10月7日(於:神奈川県立音楽堂)の演奏が2015年6月20日に放送されている。

ベートーヴェン 交響曲第9番(1972年12月19日)ローゼンストック指揮

2019-01-04 21:49:08 | N響・ザ・レジェンド
ベートーヴェン 交響曲第9番(1972年12月19日)ローゼンストック指揮
(2014年10月14日 「今日は一日“N響”三昧」にて放送)

中沢桂(sop.)/荒道子(alt.)/丹羽勝海(ten.)/岡村喬生(br.)/国立音楽大学(chor.)

コンマス 田中千香士 堀伝
Vn.Ⅱ 竹内久文 田淵彰
Vla. 白神定典 ?
Vc. 小野崎純 徳永健一郎
Cb. 中博昭 窪田基
Fl. 小出信也 木下芳丸 Picc.石原利矩
Ob. 丸山盛三 浜道晁
Cl. 内山洋 千葉国夫
Fg. 霧生吉秀 菅原眸 Cfg.西川隆
Hr. 千葉馨 山田桂三 安原正幸 田村宏
Trp. 北村源三 来馬賢
Trb. 伊藤清 三輪純生 牧野守英
Timp. 有賀誠門





N響とは長い関わりのあるジョセフ・ローゼンストックだが、残っている録音は少ない。
ローゼンストックが振った1972年12月の定期と第九公演のうち、第九当日の曲目以外にはAチクルスのショスタコーヴィッチ交響曲第1番だけしかNHKには保管されていない模様。
12月Bチクルスではマーラーの3番が取り上げられていた。(ローゼンストック指揮するところのマーラーはどんな演奏だったのだろうか?)おそらく民間でFM放送がエアチェックされていたと思う。このままでは貴重な音源が散逸してしまうだろう、NHKに欠けているものは、民間に募ってアーカイブしてほしい。

ローゼンストック指揮 マーラー「交響曲第3番」1972年12月13,14日(フィルハーモニー1972年2月号より)