手袋の思い出

手袋をすると思い出すことがある。
まだ私が小学生になったばかりのころ。
冬の休日に父と兄と３人で電車に乗って出かけたときの思い出。
小学生からは電車に乗るのに切符が必要になる。
子供はすぐに失すからと言う理由で、母は私に切符を持たせてくれなかった。
母が一緒でないお出かけのときに、父が初めて切符を持たせてくれた。
冬のことで、父も兄も三人とも手袋をしていた。
「こうやって手袋に切符を入れると失さないからなっ」と言って自ら手袋に切符をしまう父。
大人扱いされた気がしてうれしくなったのを思い出す。
先回りして失敗を防ぐ母と、失敗しない方法を教えてくれる父。
私はそんな父が大好きだった。

今日、手袋をしながらそんなことを思い出しました。