![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/yl/01.gif)
アツミの産まれ育った街には、映画館がなかった。
アツミが小さい頃、たまに市民会館で催される映画上映会に、アツミ母は小さいアツミを連れて行ってくれた。そんなことをふと思い出した。
アツミの記憶が正しければ、小学校低学年くらいの時から、年に1回くらいだろうか?なんとなくだがその映画達を憶えている。
市民会館でやる程の映画なのだから、それは教育に良いようなドキュメントに満ちたものや、感動もの、地元が舞台になったものが多かった。小さいアツミには、割と衝撃を与える内容のものが多かった。
よくよく考えると、アツミ母は音楽やら、映像ものやらは、昔から好きだったようだ。
小さい頃、アツミの母のタンスの引き出しを開けると、レコードがぎっしり詰まっていた。引き出しが重くなり、空きにくくなる程に詰め込まれたレコードは、「あなた」by小坂明子さん、「あなたの心に」by中山千夏さん、坂本九さんなどなど、ヒット曲のEPばかり。
さらに、家には母が青春時代に大金をはたいて買った、観音開きのどでかいレコードプレイヤー(ラジオ付き)があった。今じゃ考えられない程の大きさで、一種の調度品の様に黒光りして家具の様に置かれていたそのプレイヤーは、アツミが産まれるとっくの昔に壊れていたらしいが、子供心に「高価なものだったに違いない」と察していた。
母に以前聞いたところ、昔はそういうどでかい調度品のようなステレオが流行して、母もお金を貯めて購入。それでよくレコードを聴いていたとのこと。通常レコードは45回転?か33回転の2パターンと思われるが、そのプレーヤーには他に70ウン回転とか、わけ解らない回転数の設定もあった。昔はそんな回転数のレコードも出回っていたのかもしれない。
そんな母は、結婚して子育てや日常生活に追われ、大好きなレコードをゆったり聴いている余裕などなくなってしまったに違いない。
だけど母はその代わりなのだろうか?子育ての間、すごくたくさんの童謡を唄ってくれた。
アツミが今こうして音楽に奔走する日々を送っているのは、母の青春時代の影響かもしれぬ。とそんなことを考えた水曜の夜であった。