8月29日(日)19:00
ベスパの買取査定がはじまった。
HPでは「評価額34,000円」となっていたが、
現車を見てもらってホイルやショック周りの状況、燃料タンクの内部の状況などから「処分再生費として5,000円いただくことになります」
ショック…
まさかお金を払うことになるなんて…
その後、長時間の交渉
保存状態の良好さをアピール
「足元のステップ周りなんか、モノによってはボロボロなベスパが多いんですが、このバイクはきれいですね。オーナーさんが大切にされていたことが伺えます。」
「たた、この手のベスパは、ほとんどビンテージ扱いで、欲しいという人が見つかれば高く売れるんですが、
部品の調達も修理も、近くのバイク屋さんどこでもできるという代物ではありませんし…。
実際には、現役で乗るというよりも、店先にオブジェとして飾るという使い方になるかと思います。」
そんなやりとりの末、マイナス1,000円で交渉成立。
手元に置いていても、ベスパが朽ちていくだけで可哀想と思い、
バイク王の査定士へ1,000円を支払って引き取ってもらった。
たしか21歳の春ごろだった。
当時はスーパーカブであちこち営業に回っていた。
大学にもバイクで通っていた。
大学に行く途中に、ベスパとハーレーを扱っているバイク屋さんがあった。
店の名前は…、覚えていない。
いずれはベスパに乗ってみたいと思っていただけに、そこに並んでいる中古車の数々はとても魅力的だった。
ベスパといっても色々な型式があって、ボディーサイズは50ccや100ccのスモールサイズじゃなくて、200ccの大きなのが欲しかった。
年式は、新型のベスパもあったが、やはり松田優作が探偵物語で乗っていたP200Xか、ハンドルの端にウインカーが付いているET3あたりが好きだった。
それより古い、フロントフェンダーにヘッドライトが付いた「'57」なんかは、かなり格好良くて「他とは違うよ」的なオーラがビンビン出てるんだけど、
かなりのビンテージモデルで高額だしパーツは無いし、買っても維持できないだろうと思った。
毎日のように通るバイク屋さんに並んでいるベスパを見るだけで、
「あ~でもない、こ~でもない」って色んな想像が膨らんだ。
ある日、欲しいと思ってる「探偵物語」型のベスパが店頭に出されてた。
価格も手に届くくらいで、
「これを買って、少しずつ手を加えていこうか…」と思うようになった。
初めてその店を訪れて、間近に現車をチェック。
塗装はハケ塗りでムラがあって、しかもパーツを外さないまま雑に塗ってた。
「ん~、なんだよ~。この塗装の仕方は…」
ちょっとがっかり。
そして「探偵物語」型なんだけど、
望んでいたP200XではなくP125Xだった。
「どうするかなぁ~」
P200だと、こんな手の届く金額では買えないだろうし、
P125Xは、車体の大きさもミッションもP200と同じで、違うのは排気量だけ。
あとは200ccは中型自動二輪なので大きな白ナンバーなんだけど、
125ccだと小型自動二輪なのでナンバーが「赤」になる。
それと200ccなら高速道路に乗れるけど125ccなら乗れない、ってくらいか。
でも、125ccなら自賠責保険や税金が「第二原動機付き自転車」という扱いになって、原付(50cc)とまったく同じ金額で安いし、任意保険も安い。
ということで結局、P125Xを購入した。
その後、福岡の街を走るお手軽なスクーター軍団に混じって、鉄板で覆われた重たい車体のベスパに乗ってまわる。
2サイクルの強制空冷エンジンで、4速マニュアル、バッテリー無し。
しかも車体は鉄板でかなり重たい。
燃料タンクは1つだけ。いまどきの2ストのバイクみたいにガソリンタンクと2ストオイルタンクなんかに分かれていない。
ガソリンを入れた後、スタンドのすみっこに押していって、純正の計量カップでオイルを計って、
50:1になるようにガソリンにオイルを混ぜて、キャップを閉めたらバイクを左右に揺さぶって混ぜ混ぜ…。
シートの下に出ている燃料コックを「C」から縦向きにすると、燃料がキャブレターに流れ込む。
最初は、燃料コックの上にあるチョークレバーを引く。
(今のバイクもクルマも、オートチョークになってるから、「チョークレバー」なんて見たことない人がほとんどだろうね ( ̄。 ̄;) )
バッテリーが無いので、エンジンの始動は、当然、キック。
エンジンのかかりが悪いときは、何回もキックして汗が出る。
たまに「ケッチン」をくらう時もあるが、125ccなのでそこは可愛いもの。
※「ケッチン」…キックしてエンジンが掛からなかったときに、半分だけエンジンが逆回転してキックペダルが下から蹴り上がる現象。キックを踏み込んで伸びきった足に「ゴン!!」とモロ衝撃が来る。排気量の大きなバイクでは、足を骨折する場合もある。
プラグが湿ったら、専用のレンチでプラグを抜いて電極を拭き拭き。
ちなみにプラグはベスパ専用で、買うとバカ高い。
そのうち「デン、デン、デン…」とエンジンがかかる。
変速パターンは、「1」「N」「2」「3」「4」。
左手でクラッチを握って、グリップをねじりながら変速する。
最初、「N」から「1」へはクラッチを握りながら4本指を手前(手首方向)にまわす。
クラッチを握ってる人差し指が上を向き「ガチャン!!」と音がする。
左手の向きは手首が下がって若干苦しい。
走り出したら「1」から「N」を通り越して「2」、「3」、「4」と左手の人差し指が前に倒れて下を向いていく。
2サイクルのくせに低回転でトルクが太い。 回転が上がりにくい。
2人乗りしたときは、ブレーキをかけるとフレームがしなるのが分かる。
純正の硬いピアジオのシートがバリバリになれば、柔らかい生地に張り替えた。
朱のハケ塗りのままだとイヤだったので、知り合いのバイク屋さんに協力してもらって、
パーツを全部外してブラウンメタリックに全塗装した。
前タイヤからハンドルまでが串刺しの構造になってて、フロントフェンダーを外すだけでも串刺しのフロントフォークを抜く必要があって、かなり苦労した。
いまどきのバイクと比べると、こんなに良い所無しの手間の掛かるベスパだったが、
手放すとなると寂しかった…
かと言って、独身の頃のように自由にバイクに乗ったり修理にお金をかける余裕も無くなった今は、
手元に置いていても錆びて朽ちていくだけ
引き取って行かれたベスパP125Xは、次のオーナーに可愛がってもらえるだろうか…
こんな手間の掛かるバイクを、
わざわざお金を払って買う物好きな人は、
きっとベスパを宝物のように扱ってくれるハズ…
自分にそう言い聞かせながら
バイクを引き渡すとき、思わず鼻の奥が「ツゥ~ン」となった。
形が有ろうが無かろうが…
命が宿っているって思います。
秋風に、感じませんか?
べスパ~
愛してます。
オードリーの様に、誰か後ろに乗せて~
gaogaoさん、ベスパ探してたんですねぇ~( ̄Д ̄;)
コメントの文面から「ベスパ愛」が伝わってきましたよ。
燃料タンクからキャブレターまでの清掃は必要だったけど
それ以外はタイヤのパンク修理くらいで乗れたから
店で買うより安くで乗れる状態に仕上がったかも~
好きでいてくれる人にお譲りすればよかったなぁ… r( ̄_ ̄;)
べスパ
生きてるです。
生き物です。
命が宿ってます。
養子に欲しかったです。
でも、可愛がって育たべスパじゃないと嫌!
馬鹿だと思うでしょ?
中古で買ったのがもう20年も前だったこと
そらぁ、「ビンテージ」とか言われるわけだ… (* ̄σー ̄)ゞ
ずっと目の届くところにあったから「あ~、もう無いのか…」って気持ちもあるけど
rei-uさんが言うとおり
次に繋げるのも愛情だね('-'*)ホント
内容がマニアックなダラダラ長文なので、
かなり読みにくかったんじゃない?
湘南爆走族☆(^▽^)なつかしぃ~
バイクが大好きで、夢中になって、大切に思うって点 ( ̄ー ̄)
確かに通じるモノあるかも
次に繋げてあげる事も、愛情ですよね。
湘南爆走族をちょっと思い出しました。
あんな感じの男の世界だなぁと思いましたよ