ボクも我慢した（キンジ日記）

北海道に行ってくるね
おりこうちゃんにまっててね
ツーちゃんはワンちゃんだしちょっと年をとってるからね
ホテルに泊まるんだよ
キンちゃんは大丈夫だからお留守番してなね
ばーちゃんは２寝たら帰って来るからね　ね　ね　わかった？

って
毎日毎日ママとボクの耳元でデカイ声で言ってたから
わかったような気がしてきた

ママがホテルに行っちゃったらちょっと寂しくなってきたんだけど
ボクは男だから我慢したんだ

ばーちゃんは
ご飯は　こことココとこことココだよ
お水は　こっちとこっちとこっちとあっちだからね
お手洗いは　これとこれだよ

昼寝用の布団と夜寝る用の布団と
ママの匂いがいっぱいしている毛布を日向においてくれた

ばーちゃんは２寝たら帰って来るからね
泣かないで待っててね

頼んだよ

って

ボクの頭をいっぱい撫でた

あぶね　　ばーちゃんは力があるからつぶれそうだったぜ




　　ボクは猫だからなぁ

しょっちゅう寝てるから２なんかあっという間だぜ


大体１時間くらいで２なんか寝ちゃうぜ

簡単だな

ばーちゃんを喜ばせるぜ

さぁ　寝るぜ

ワタシ 頑張ったの！（ツー日記）

私はおばさんとの約束を守って偉かったの


『ツーちゃん、２　寝たら帰って来るからね　泣かないで良い子に待っててね』

って

毎日毎日おばさんが言うから覚えたの

２
おりこうさんにしてようって思ったのよ

おばさんが車でホテルに連れてってくれたの

私は１６年生きているけどホテルに泊まるのは初めてだから

笑ったら良いのかツンとしてたら良いのかわからなかったわ

ホテルっていうのはお布団を持って行く所なのね

　おばさんが布団に大きく『ツー』って書いてくれたの

でもウチのおばさんはああいう性格だから

黒の太いマジックで書いてくれて

ちょっと恥ずかしかったわ


ご飯も薬も持って

それにね

普段の様子を細かく書いた紙を受付で出すのよね

ホテルに泊まるって大変なんだってわかったわ



ホテルのお兄さんが笑いながら

『ツーちゃん　よろしくね　　　お布団持って来たのね』って

沢山話しかけてくれて　　ウチのお兄ちゃんたちみたいに優しかったから

嬉しかったわ

思わずシッポを振ってしまったんだけど

あ

こういう時は上品に静かにしてなくちゃって

思って

急いでシッポを押さえたのよ



おばあさんがね

『まぁ　良かったわ　ツーちゃん笑ってるね』って

喜ぶ声が後ろから聞こえて来たの


２

おりこうさんにして

元気で待っていようと思ったの





涙もろいおばさんは北海道に行って

『幸せでありがたいね』
『ホントにねぇ』
『ほんとにねぇ～』って言うんだろうなぁ

おばさん良かったね



元気で２待っているからね