ben's camera note

写真日記

写真展のお知らせ

2010-09-03 | 写真展

 

先日広島で開催された近重幸哉さんの写真展

『祈り・願い 子から子へ 2010』~8月6日の広島平和記念公園~

東京都目黒区の『ギャラリーコスモス』で開催中です。(8/31~9/12)

お時間の許す方は是非。

http://leitica.exblog.jp/13885383/

 

 

以下、写真展のキャプションを転載させていただきました。

 

『祈り・願い 子から子へ 2010』
~8月6日の広島平和記念公園~

 広島は被爆から65回目の原爆記念日を迎えました。
今年の8月6日の日差しは例年より強く、平和公園の敷石に映る人影の輪郭も濃く感じられました。このように強い日差しの中、平和公園には多くの人が手を合わせに来ていました。
その気持ちは、かつて広島の誰もが抱いていた原爆を落としたアメリカが憎いというものではなく、亡くなった人々に安らかに眠って欲しいという祈りと、戦争が二度と起こってほしくないという願いであると私は信じています。
私は以前から原爆で弟(当時旧制中学1年生)を失った母と一緒に、8月6日の平和公園を訪れていましたが、20世紀の終わる2000年からは、毎年、カメラを持って平和公園で祈りを捧げる人々を撮影するようになりました。
昭和時代には“原爆について触れて欲しくない、思い出したくない”との思いが強く、テレビで原爆のニュースや特集を見て「ほっといて欲しいんよねぇ」と、独り言のように口にしていた母や、その世代の人々が年老いていくにつれ、自分達の「地獄を見た」体験を後世に伝えなくてはならないと思い始めているのが、私にも感じられたからでした。
それは決して、誰が悪いと訴えることではなく、原爆を使った戦争を繰り返してしてはいけない、ただただ平和であって欲しいという気持ちからに他なりません。
 今年、母は7月中旬に足を捻挫し、平和公園に手を合わせに行くことが出来ませんでした。毎年8月6日には、どんなことがあっても平和公園に行かないと気がすまない母にとっては、辛いことだったと思います。
 平和公園で出合った88歳のおばあさんに、そのことを話すと
「ええ、良く分かります。私もあちこち痛いのですが、今日だけはどんなにしんどくても平和公園に来ないと気がすみません。毎年、今年が最後になるかも知れないと思って来ています」
と、涙を浮かべながら話していました。
そのおばあさんは、妹さんを亡くし、ご遺体にも会えていないそうです。8月7日から12月まで広島中を捜し歩き、弟の遺品すら見つけられなかった母と同じでした。私はおばあさんと別れる時に、「来年も必ず平和公園にお参りに来て下さい」と言いました。
 母は平和公園から帰った私に「今日は有難うね」と、静かに言いました。それは他の誰でもなく、息子が手を合わせに行くことが母の救いとなったのだと思います。
 この10年、一人で平和公園に来るお年寄りの姿は確実に減っていると思います。杖を持ちゆっくり歩く姿も増えました。慰霊碑前の少しの階段でも被爆体験のある世代には辛いものだと思います。こうして繰り返されてきた祈りの姿と心を、子である私達から孫達、そして後世に伝えていくのは私達の勤めのように思えるのです。
 テレビで報じられ、大勢の人が集まる式典には、広島の人には行きたくないと思っている人が少なくありません。しかし、その騒がしい式典の局地局面には、“心を込めて静かに平和を祈る人”の姿が有るのです。その姿を心のどこかに残していただけると幸いです。



 

 


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2 コメント

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ご無沙汰です。。。 (yukko)
2010-09-03 13:00:52
コンニチハ。
東京のyukkoです。
最近ネット時間が無くて、会社からチラ見で(^^;;

明日、時間があったら、、、
近重さんのコスモス→ハービーさんの広尾の会場へ
ハシゴしてきたいと思ってます。
お会いできると良いのですが・・・


広島のみなさん、お元気ですか?
私は、夏バテ・よろよろ・・・
熱帯夜が、恨めしいデス。
返信する
>yukkoさん (ben)
2010-09-04 21:52:18
どうもお久しぶりです。
暑いですがお元気にしてますか?
贅沢なハシゴになりましたか?
羨ましい。。。
こちらは元気だけが取り柄ですのでご心配なく(笑)
返信する

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