
2016年8日13日 晴 (北葛岳から観た蓮華岳 )
3日めは下山してしまおうと思って歩いています。船窪小屋から七倉岳、北葛岳まで来た所からの続きです。約20年前、鳴沢岳、スバリ、針ノ木、蓮華と歩いて、七倉岳方面まで足を伸ばすのも視野に入れつつ、蓮華岳からのあまりにもの大下りの様子を見て、蓮華岳から扇沢へ下山してしまったことがあります。それ以来、七倉、蓮華岳間は歩いていないので、約20年ぶりの再チャレンジになりますが、今回は登りで”蓮華の大下り”に入ることになります。前日、当日とそこを下った人の情報を仕入れて、まずやはり険しそうであることは認識。北葛岳から下りながら見る、その区間は見るからに手ごわそうな岩の斜面ですが、ここまで来たので用心して登ってみましょう。
(北葛岳からの下り、目の前に針ノ木と蓮華の巨大な山塊がそびえ立つ)
コース:船窪小屋 5:45 --- 七倉岳 5:56--- 北葛岳 7:48 --- 蓮華岳 10:36 --- 針ノ木小屋 11:55 --- 扇沢ターミナル 15:02
正面に蓮華岳の巨大な山容を見ながら、尚も下ります。目先、まだ蓮華の大下りのスタート地点になる鞍部は見えていません。まだ、結構降るようです。
途中、蓮華岳方面からくる登山者と数名スライド。女性は”大下り”を怖かったと、振り返っています。おいおい あんまり怖がらせるなよ、ちょっと緊張してきちゃったじゃないの。
もうすぐ、鞍部に降りきれる場所に来て、蓮華の大下りの下部の斜面が見えてきました。とにかく”その大下り”は一番下部が、一番難所のようです。この位置から眺めますと、ちょっとどんなルートで登っていくのか、想像できません。
大下りに近づくとこんな感じ。(p ↓)岩場の左サイドをよじ登っていくようです。 まあ、一歩一歩登るしかないでしょう。
大阪の母娘が岩にいる猿を見つけました。岩棚に座っていましたが、岩壁を移動していきました。滑落とかしないんでしょうか、すごい能力ですね。
恐る恐る取り付いた蓮華の大下りですが、がれてはいますが、鎖やロープや梯子もありますし、無茶な登攀をするような地点も皆無なので、正直怖さはほとんどありません。”大下り”は急傾斜の難度よりも、その区間の長さが特徴だったようです。
(鎖場の連続を登りきって、この辺に来ると、傾斜はまだ急ですが、登りの
の嫌らしさは、だいぶ落ち着いてきました。)
蓮華の大下りは、難度は低くて、恐怖の区間もなく一安心。あとは、急傾斜は続きますが、周囲の展望を楽しみながら、登っていきます。
(後方に、ここ3日間で歩いてきた稜線が見えています。左から七倉、船窪、不動、烏帽子方面の稜線が見えています。あんなに近くに見えていた、赤牛、薬師岳の稜線も、こんなに遠くなりました。)
ひたすら登る岩の斜面です。前を登るのは、大阪の娘さんのほう。
マツムシソウは岩影で、数輪。今回の山歩きのいいアクセントになってくれました。
なおも、高度を上げていきますと、北葛岳から歩いてきた稜線が手に取るように見えてきました。この3日間歩いてきた稜線の東方面からゆっくりガスが湧き上がってきます。
(振り返って、北葛岳、七倉、船窪、不動、野口五郎岳、まで稜線が見える。)
蓮華岳山頂が近づいてきます。あとは砂礫の稜線です、こういうのは近く見えてから、ずいぶんと遠くて、案外急傾斜であるものです。コマクサがこの辺からまた咲いていて、やはり終わりかけのようですが、それでもたくさん楽しめます。
左サイド、蓮華岳の稜線の下の広大斜面です。
山頂直下の砂礫の稜線をジグザグに登ります。花を撮っていて、美人母娘に遅れを取りました。
白いのも、何株か咲いていました。
船窪小屋から4時間50分かかって、蓮華岳に到着。大阪の母娘と、互いの記念写真を撮り
あいます。その他には、2名ほどいない静かな山頂です。母娘のお母さんのほうは、娘に
いつも一緒に登ってくれてありがとう、と関西弁で言っています。親子で登山って、いい
ものですね。ここで、なな”は少しゆっくりしました。
約20年ぶり、再訪の蓮華岳は大展望のピークでした。3日間歩いてきた稜線の東側全てに、くっきりとガスが湧いていて、ガスのない西側との対比がくっきりしました。今日あとは、針ノ木峠に下って、そのまま扇沢に下山するだけ。針ノ木岳を正面に見ながら、ゆっくり下山開始です。
蓮華岳の広大な山頂直下の斜面を振り返り見ながら、下ります。降ていくと、途中周囲がガスに巻かれて、針木小屋に着く頃には周囲は真っ白になりました。
大阪の母娘は針ノ木小屋で宿泊を予定していたようですが、まだ時間に余裕もあるので、扇沢まで一機に降りることにしたようです。小屋でバッジを買って、少し休憩をして下山開始します。ここで、母娘より先に出発するので、お別れになるかもと、ご挨拶してお別れです。娘は手を振ってくれました。ここからは3時間のひたすら大下りの行程。通常雪渓を下るコースも、今年は雪上歩行はないくらい雪渓が少ないそうです。
(雪のない針ノ木雪渓を下ります。)
途中、お花畑とかもあって、こういう所では気分転換です。
ひたすら沢沿いを下って、いくつか小さな沢を渡ります。暑さを凌ぐため、タオルを沢水に浸して顔や首を濡らします。針ノ木峠から1時間くらい下ると、クレバスだらけの雪渓が出てきますが、ここは安全のために左岸を巻きます。雪渓の崩落する音を一回聞きました。ここは急な傾斜でした。
一箇所だけ急なクサリ場を下ります。前回来た20年前の記憶は、この針ノ木雪渓周辺に関しては、あまり残っていませんでした。
雪渓がでてきても、ひたすら雪渓を巻いて沢沿いを下る。そろそろ、下るのに飽きてきます。
大門沢小屋を通過して、沢をわたる地点などで少々ルートが判りづらいのは、20年前の記憶に薄っすらありました。大門沢小屋を通過したあたりで、もう気分は終わった感じになっていたので、その後の行程はうんざりするほど長く感じました。
(鳴沢を越えたあたりで、右サイドに見えていた針ノ木方面を仰ぎ見ますと、いまだガスに包まれていました。)
営業のバスしか走れない舗道を何度か横切って、やっと扇沢のバスターミナルに降りたてました。タクシーは、昨年も餓鬼岳の帰りに世話になったタクシー会社を呼びました。七倉ダムまで歩くのは、遠すぎるからです。来てくれたタクシーの運転手さんと話しながら、七倉に向かいます。この運転手さんも登山をやるらしく、山の話とかをします。「昨年大町の駅前で、今の時期にオカマほられたおばさんの運転手さん、元気ですか?」って、尋ねたら、その事故を覚えていたらしくて、「ああ、あの時のお客さんだったのかね。」って言ってました。栃木まで帰るのを伝えると、渡れ際に、サービスエリアでも何でもよって休んでいくといいよ。って暖かい言葉を頂きまして、胸がいっぱいになります。運転手さんに教えてもらった七倉山荘の温泉に入って、ゆっくりして帰途につきました。
今回の山行は天候、コース内容、宿泊小屋、出会った人たち、全部ひっくるめて、大満足。腰痛気味、仕事で悪コンディションで入った状態の割に体調もよく、いい山旅になりました。 ■■
蓮華の大くだりの岩登りは、距離は長いですが、パーツパーツは、そんなに難度はないです。古賀志山の東稜や中尾根の岩場のほうが、足の置き場に困るくらいです。
船窪、船窪第二ピーク間は怖いって言っても、短区間ですし、その瞬間だけ集中力を切らさなければ、険しいといっても一般ルートですから・・・。
ノラさんも、近々行きそうですね(笑)。
蓮華岳の山頂で少しお話させていただいた者です。(日帰りで針ノ木・蓮華に登っていた30代のものです)
記録たのしく拝見させていただきました。
僕も7年前に蓮華から船窪を経て烏帽子まで縦走しましたが、その後さらに崩壊が進んで登山道の様子も変わったようですね。
好天に恵まれてよかったですね!
日光の山あまり行ったことがないので、これから参考にさせていただきます^^
よろしくお願いいたします。
その節は楽しいひと時をありがとうございました。
hiyoriさんの近くに行ったのは、三角点目的でしたが、お話できてよかったです。
山頂から、少し遅れてhiyoriさんの後ろ姿を追ったのですが、hiyoriさんはとても健脚ですね。すぐに見えなくなりました。
船窪の稜線は、いい思い出になりそうです。いつまでも歩ける稜線であって欲しいと思いました。
大阪から栃木方面はえらく遠いですよね。栃木福島ばっかり歩いていますので、その辺の情報を仕入れる場合は、私やこのブログのリンク先を参考にしてみてください。こちらこそ、よろしくお願いします。
烏帽子、蓮華の稜線は、人けも行列を組むほどはなく、しかし、展望やスリルは他の北アの稜線に全くひけをとりません。船窪周辺は秋も良さそうで、本当に再訪してもいいと思っています。
針ノ木峠からは、あとは下るだけと思って下るので、行程の長さが意外に辛く感じるのでしょうね。針ノ木雪渓で、雪の上を一歩も歩かないなんて、レアなんじゃないでしょうか。
私は危険と思った区間は大袈裟に記述しすぎなのかもしれないので、ムークンが歩けば、「なんだこんなモノだったのか。」って思うかもしれません。
船窪小屋は、よかったです。もう少しすいた日には、食事の後、軽くお茶会も開かれるそうです。
あの稜線、秋に歩いても素晴らしいでしょうね。
あまりひとつの記事で写真が多すぎると、自分は見ていて集中力が持たないので、小分けにしたら5部になってしまいました。
みー猫さんの記事のお茶会のくだり、忘れていまして、先ほど読み直しました。今回はお茶会はなしでしたが、食事の時や、その前にいろいろコミュニケーションとれました。
烏帽子、船窪間は、みー猫さんはノラさんと歩きそうですね。