
入山日 2014年 5月25日(日) 曇り空 ノラさん、みー猫さんと
Pt.1 =======> Pt.1からの続きです。
その山の大先輩:ノラさんの当日の記録です。私の書きそびれていること、特に大佐飛山への稜線のヤブの記録など詳細です。 ===>( http://73422uzawa.at.webry.info/201405/article_4.html)
そして、みー猫さんの当日の記録はこれ、自分の記事にはない花写真も多く、ボリュームもある記録です。 ===>( http://blogs.yahoo.co.jp/torachatojp/15529556.html ) ( http://blogs.yahoo.co.jp/torachatojp/15529628.html )
今回の主目的は黒滝山から大佐飛の間の長い尾根をヤブ期に歩くこと。3月に白くきれいな尾根を辿り大佐飛山に登っている。なのに、なんでこんな厄介なことをしなくてはならないのか。それは、なな”がヤブ尾根歩き人だからだ。 おそらく、花も眺望もたいして期待できない、どれだけ濃い藪が、どのくらい長く続いているかも想像できないこの尾根を歩いてみたいというのは、達成感を求める物好きな要求に他ならない。 ヤブの山頂に到達できる自信はある程度あったが、できることなら難なくこなしたい。同行のお二人に迷惑をかけるなんて、もってのほか。そういう気持ちだけはあったので、決行前の1週間はカーボローディングなどをして、当日の消耗を最低限に抑える努力などもした。
黒滝山山頂で軽く食事。マダニ対策に効くというノラさんのお言葉で、他の二人もその場でレインウェアの上下を着た。 黒滝山頂から西への稜線がいよいよヤブ尾根の始まり。要は今日の始まりは、実質ここからになるので、そのヤブがどんなものか、ちょっとドキドキ。
3月とはいきなり違う斜面の薄っすら踏跡のヤブを下りいったん沢状にでる。そこからヤブっぽい斜面を強引に登り返し、(P ↓) 西村山へ続く稜線に乗ることができた。ここの稜線もヤブだけれど、薄っすら鹿道のようなものも感じられる。
黒滝山頂から、みー猫さんはヤブめがねにタオルを頭に巻いて、ちょっといつもの雰囲気とちがうコミカルな感じでヤブへのやる気が十分伝わってきた。ノラさんはといえば、黒滝山頂からヤブ入りした後、表情がそれまでより生き生きしてきて、笑みさえたたえている。恐るべき趣向のかたがただ。
(西村山へ急斜面のヤブを強引に登るみー猫さん )
5:12 ヤブの中の西村山山頂に到達。黒滝からここまでの行程、戦々恐々としていたヤブだったが、案外いつも歩いている、程度の悪くないレベルのヤブで、薄い鹿道も拾え、激ヤブもでてこないもので、安心したほど・・・。 この山頂でも少し休憩。今日は、消耗との勝負になるため。・・・
西村山から先もヤブの稜線は続く。その行程の約8割以上は薄い鹿道が依然として拾え利用して歩く。あとは、笹の高さが顔くらいまでになったり、膝高くらいになったり、針葉樹ヤブが混じったりする。稀に一般ルート?と思うような踏跡明瞭地や鹿やカモシカの横行域と思われるオアシス状の広場があたTりもした。
(前:ノラさんと自分、 みー猫さんの写真を大々的に使わせてもらっています。 )
恐れていたヤブだったけれど、烏ケ森さんが記事で述べていた通り、どうしようもない激ヤブというような地点は、ほとんど無い。ただ、ヤブが濃くなったり、薄くなったりの差はあれど、ずっと続くのがやはり、体力を消耗させていく。
(大長山への稜線を進む。 西村山辺りまではなな”も先導をしたりしていたのだけれど、このあたりになると、ノラさんが本領発揮で、常時リードして助けてもらった。)
大長山直下の登りはかなり長い間、踏跡がほとんどない胸竹くらいのネマガリや笹の斜面を強引に登るのでえらく消耗。
6:52 大長山に到着。予想よりはだいぶ早くここまで進めているが、ちょっと消耗してきたので、シャリバテになる前に何か食わなければと無理やり食べたくないパンを半分くらい飲み込んだ。ここまで、西村山から1時間40分かかった。大長山の山名板、前回来た3月は顔の高さだったのが、今は見上げる高さ。ここで、少しゆっくりめにまた休憩、・・・。
(この山頂でたたずむみー猫さん。2日前までアメリカ出張の時差調整ナシで本日深夜1時30分からのこの山参戦中。)
大長山から少し北に進むと、進む稜線”天空回廊”がバッと開けて見えた。思ったより残雪がある。やはり今年の2,3月の雪は多かったのだろう。残雪の上を歩いてしまうと、烏ケ森さんも気にされていた通り、”ヤブ期にこの尾根を歩きとおす”というテーマには反することになってしまう。なので、基本あまり残雪サイドは歩かないように行きますか?などと確認しながら残雪上を少し進んだりすると、案外ずっとは残雪上は進めないもので、途中ヤブでさえぎられたり、急傾斜になったりで、都度適度な鹿道を見つけ、ヤブに突入したりする。最後はかえってヤブ中のほうが、進みやすい局面も多く出てきて、結果ヤブサイドを結構多く歩けた気がする。
(ヤブの中、針葉樹の枝が低くてくぐること多数。 変な上体の筋肉を使ったりする。 ヤブの中でもがく。)
この辺が一番方向感がつかめなかった。ヤブで前方の稜線の連なりが見えず、かつ尾根が広がってどこへ進んだらいいのやら・・・ 自分ひとりだと、急に胸辺りがそわそわしだす局面だったろう。この日は他のお二人もいるので、皆さんの合議で進む方向を解決。
大佐飛に続く稜線が見えた。残雪上を歩いて、案外簡単にいけるのかな、とも思ったが、実際入ってみると、なかなかそんなに簡単な状態ではなく、ヤブの波状攻撃が待ち受けていた。
針葉樹が多くでだして、石楠花も下に混じる尾根を一番ましな踏跡や地点を探し拾い歩く。
やはり、この稜線残雪期に来たときとは、印象が全く違う。山頂に続く最後の稜線地帯は巨木もあり深山のヤブ山の趣き。
ピークを乗り越える直下は決まって踏跡が薄れ、濃い笹薮こぎを強いられて、また消耗。足や体力は十分まだ余裕があるが、この辺で山での食の細いなな”にまた少々ガス欠の気がでてきて、心に要注意。このあたりではみー猫さんが先頭でペースを作ってくれる。
大佐飛山頂直下で尾根がちょっとヤセてきて、水を飲んで背中の木くずなどを気にして撮っていたら、お二人に置いていかれた。(笑) だいたいそういう意味の無いことをしだして、時間を消費してしまうのは、山で少しバテ気味の時なのかも。少し急ぎ気味に二人を追って、かえって変なヤブを少々漕いだ気がする。
9:03 2,3分一人で歩いて山頂にいたお二人と合流。自分でも、この季節にこの尾根を歩いて大佐飛に到達できて達成感。は頭ではわかるのだが、実際、すぐに実感が湧いてこない。復路は黒滝山まで登りも下りも繰り返す、またあの長いヤブ尾根を歩くことが残されているのを、無意識に意識していたのか・・・。
二人ずつ、交互に写真撮影。ノラさんが写っているのははよく映りすぎて、顔がわかってしまうので、みー猫さん、なな”のバージョンでここは公開。なな”はひどく渋い顔をしていて、下界で笑ってしまった。写真は少し暗くした。皆さんとの写真は今後宝になる。
(3月の時は目の高さだった、シロの山名板はづ上2メートルくらい上にあった。)
山頂では30分ほど、ゆっくり休んで、いろいろなとりとめない話をした。この山頂3人いるから気持ちは安らか。でもこんなヤブ期の深山に一人で来るのはどうだろう。歩ききるとか、ヤブを漕ぐとか以前に精神との戦いになるのではないか。自分が一人だったら、ここまで来たのかな、と考えてしまった。 烏ケ森さん、YOSHIさんはここに独りで来るんだから凄い、とは山頂でのノラさんのしみじみとした感想。確か雪田爺さんも真夏に息子さん連れで、大激戦をしたみたいで、皆さんちょっと驚きです・・・
あまりゆっくりもしてられないので、戻り開始。ここでもうちょっときちんと食事をしておけばよかったと、大長山、西村山間で思うことになる。
(山頂を後に、復路。来た稜線を戻る。 )
大佐飛山頂直下で大長山とその手前のピークが重なって見えた。まずはそこを目指す山だが、そこまででもえらく遠い。一歩一歩行けばいつか着く。
同じヤブ尾根でも下りはやはり楽。でもこの稜線下りはいつまでも続くわけではない。
針葉樹林帯の枝をくぐって進む。
大長山直下の登りはしんどい、引き続き濃いめのヤブで足が上がらず粘り歩きをするしかない。古いほうのレインウェアを羽織っていたので、今日はすでに汗びっしょり。ちなみにこの日は変な気候で往路の大部分の行程の間、結構な強風だった。復路になるといつの間にか、風は収まっていた。
11:**? 大長山山頂着。 ここで長めの休憩寝不足のせいか、ガス欠か、汗をかいて肌が常に濡れていて気分が悪くなったのか、ちょっとなな”は黄色信号手前。 顔にでていたのか、ノラさんに気遣っていただいてしまった。 無理にでもと、ここでも最低限度の食料を食べる。
しばらく、先導していなかったので、あまりにも皆さんに悪いと思い、大長山山頂からの下り先に歩くも、ここが一番踏跡なし、ヤブ濃い、急斜面の3大悪条件を忘れていた。少し進んでいきなり笹の中の倒木に躓き顔面から前のめりの大転倒。気を使ってくれてみー猫さんが先を行ってくれた。
西村山途中では、足元に咲いているミツバオーレンだというお花を撮影。マクロの撮りかたなどのレクチャーをみー猫さんに教わる。ノラさんはお花にも詳しく、その辺は全く疎い自分はちょっと驚いた。
西村山への最後の登り。この辺になると日差しが多少出てきて、風もなくなりこの日一番暑い。歩き的にも不快度合いもこの日の苦痛マックス状態。 この記事の表題のノラさんのお言葉は、このあたりでの急な登りのヤブの中で発せられたもの。
西村山山頂でもひどい顔をしていたのか、ノラさんに気遣ってもらう。足や体は平気なんだけど、自分の場合、食事のとり方あたりが問題なのだろう。 ここで、明治の栄養補助飲料を始めて飲んでみる。ヤブ区間では最後の登り目標の黒滝山(P ↓)が前方に見えてくると、いくぶん気分も楽になる。
3月に歩いた冬道を行かないで、途中左折して沢状に降り、(P ↓) プチショートカットをして黒滝山に登り返して、山頂に到達した。この辺には10回は来ているというノラさんに、道案内は完璧にお任せになっている。
14:01 黒滝山山頂に到達。汗びっしょりのレインウェア上下を脱ぐと、いきなり気分が改善した。少しパンを食べ、ノラさんにおやつ、みー猫さんにりんごをいただいた。(ナイフが無くて、あの男のワイルドな回し食いは忘れられません。)
栄養補助飲料がよかったのか、ウェアを脱いでさっぱりしたのがよかったのか、りんごの栄養が効いたのか、黒滝で20分くらい休んで歩き出すと、なな”が回復していた。饒舌にしゃべれるようになり、スピードを出して下り歩きもできている。「回復するのが、早い人だ。」とみー猫さんにからかわれるが、確かに西村山に向かっている頃とはうって変わった体調になった。
3月の時も、大長あたりで少々おかしくて、黒滝山で急回復した。今後、黒滝山で回復する男とからかわれそう。
(山藤山、サル山に向けて急な尾根を下る。 )
前回3月には、全く気づかなかった那須見台という地点。那須の山々は薄っすらにしか見えなかった。
サル山周辺やそれ以下の地点はシロ、ムラサキのツツジがところどころ咲いていて、今日のドロドロの健闘を祝ってくれているよう。
三石山の山名板の前でゆっくり休憩。食料を食べるなな”に虫が顔の前にたかってきて、弱った。目にも入ってくる。どれだけ、この日臭かったんだよ・・・
ちなみに、みー猫さん。座って動かないと思ったら、少しの間寝ていて、写真を撮ろうとしたら起きてしまっておしかった。(笑/ あのスケジュールで疲れないほうがおかしい。)
COURSE: 新登山口 1:30 ・・・ 黒滝山 4:37 ・・・ 西村山 5:12 ・・・ 大長山 6:52 ・・・ 大佐飛山 9:03- 9:33 ・・・ 大長山 11:?? ・・・ 西村山 12:45 ・・・ 黒滝山 14:01 ・・・ 新登山口 16:12
16:12 みなさんに少し遅れて、めでたくゴール到着。 15時間はかからなかったか。来るまでは日没過ぎの帰着もある程度覚悟していたので、安堵。 お二人がいなければ、この稜線歩きは自分としては無かっただろう。 おふたりと帰着の握手をして、降りてきたはしごを見ていると、大佐飛山頂では感じなかった達成感のようなものが、こみ上げてきた。
記事には書かなかったが、ノラさん、みー猫さん共に、凄いなーと思うことがいくつかあった。みー猫さんとは、今まで結構いろいろ歩いたようで、ある一定以上のヤブ歩きはよく考えるとしていなくて、まとまった藪歩きご一緒は今回初だったと思う。お二人と歩けて、実にいい経験をさせてもらったと、いろいろな意味で感じた。この日苦しかったことでは、対策として今後にいい課題ができたとも思う。 ■■
ななころびさんの記録を読んで感動しました。いい思い出になるとともに大きな自信になったかと思います。
皆さんのブログからみー猫さんは、必ず今月中に大佐飛山に挑戦されると確信していました。でもななころびさんも行かれるとは予想していませんでした。
ななころびさんは脚力があるので、長時間歩きのコツを体得すれば何処へでも行けますね。私の長時間歩きのコツは、急がず慌てずです(心拍数の変動を抑える)。
やはり、今回の歩きだけはさすがに未体験ゾーン満載だっただけに、行くまでは非常にドキドキ感がありました。
しかし、歩き始めると、皆さんと歩けた為、余計な不安も無く、ヤブ歩きに集中でき夢中で歩けました。この日の歩きは、自分の山の思い出の中でも、ベストのひとつになりそうです。
途中、ちょっと体調が不安定になり失礼しました。たぶんシャリバテです、最後までに回復できてよかったです。今回はノラさんの歩きをみて、いろいろなことが勉強になりました。
こちらこそ、烏ケ森さんにこんなコメントをいただき、鹿又岳の時のコメントに匹敵する感激です。
確かに、あの長い区間のヤブ尾根を歩けたのは、今後の自信になると思います。8時間以上はヤブ中を歩いていますから・・・
今回は、烏ケ森さんの昨年の記事を非常に参考にさせていただきました。ありがとうございます。
今回教えていただいた、”長時間歩きのコツ”を今後気をつけながら歩くようにしてみます。
やりましたねぇ。
素晴らしい。
みー猫さんは絶対に行くと思っていましたがななさんも同行されるとは予想外でした。
ノラさんもご採用のスタート写真、ほんにブラックサバスのLP(PARANOID)のジャケットですな。
”恐るべき趣向のかたがただ”には大笑いしてしまいまいました。(笑)
そんな人たちについて行ってしまうななさんも御同類ですが。
お疲れ様でした。
確かに、2ヶ月前に同じ山に登ったという感覚はほとんどないですね。往路山頂まで、夢中で歩いて皆さんも一緒なので、あっという間に着いたという感覚でした。帰りの大長山、西村山あたりまでが長く感じましたねー。。
3月も今回も、楽しく歩けたのはみー猫さんのおかげです。
あのスケジュールでも、当日後半もペースの落ちないみー猫さんの体力は、驚きでした。
今度はヤブ期に逆方向からですか?
お二人がいたので、何とか行って帰ってこられました。
黒滝より先は全ヤブですが、復路にまたそこを通りたくないと思うほどの激ヤブは無かったのが、救いでした。
サバス風写真も含め、みー猫さんはあの余裕のない行程でも、非常に多くの写真を撮ってまして、凄いお人です。おかげで、私も面白い写真をたくさんもらえました。
私も1枚だけ、面白い写真が撮れました。
”恐るべき趣向のかたがた” がマダニを撃退中のシーンです。いつか、お見せできると思います。
疲労モードが帰路にはお連れさん達が驚いた程元気になっちゃうんですから底知れないパワーがありそうです.普段の訓練の賜物なんでしょうか.
藪を歩いた後は登山道が恋しくなりますよね.で、又藪山へ赴きたくなる・・・の繰り返しかなあ(笑)
途中の疲労モードは、今後の反省材料です。私は山に入るとあまり食べたくなくなってしまうのです、ここ何回かエネルギー補給上の問題点を感じています。
黒滝山からの一般道は、登り局面すら極楽に感じました。(笑))。でもまた、ヤブ山に行きたくなってしまうのでしょうね。