
入山日 2012年8月11日 薄曇り のち雨 単独 (女峰、赤薙山間の稜線から見た2209峰へ続く尾根)
待ちに待った夏季休暇スタート、今年の夏休みはいつものそれと意味あいが違う。今年は新たなアプローチでの登山を始めた為、いくつでも山行がしたい状態、例年も夏休みには登山は1度くらいはしていたが、今年の夏季休暇にかける意気込みとは比較にもならない。しかも、長期である。しかし、天気予報を見ると・・・11日から3日ほど曇、雨、その後数日もスカッとはしない予報。これは行ける時行っておかないと例年のようになってしまう。そう考え、あまり天気も期待できない11日、女峰山2209M峰の東尾根(東北東尾根)に初挑戦してみた。
コース 六方沢橋北側P スタート 5:42 2209峰 10:12 一般ルート合流 10:28~10:38 赤薙山 11:40~12:00 霧降第3駐車場近くの車道に出る 13:30 スタート地点へ 14:00
今回は、女峰山東にある2209M峰の東尾根を六方沢橋北側駐車場付近から登る予定(もちろん初歩き)。参考にしたのはまたもstarionさんの過去レポだ。駐車場のすぐ北方から強引に尾根に取りつく。取りつき地点に目印、踏跡は全くなし、腰あたりまでの笹の生い茂る斜面を登る、歩きづらい。スタートしていきなり笹露でズボンはももあたりまでびっしょりになる。笹の中の鹿のかすかな踏跡を注意して辿る、磁石で西、西南をキープしていることをこまめに確認、最初の1時間くらいは尾根が横に広がっているので進路に不安を持ちながらの歩きとなった。天気は曇り、一部かすかに青空も見え、薄日もさす、予報よりマシな感じ。 写真)歩き出しの笹の斜面、ところどころ潅木・・・
高度を上げるにつれ、尾根型がはっきりしてくるのでルーファンへの不安はなくなる。(下、写真)・・・斜度もまだそれほどきついものではない。ところでこの尾根、歩く人がほとんどいないのか、人のものと思われる踏跡どころかテープなどの目印も全くない。いま時かなりめずらしいのではないだろうか。これは2209m峰を経て一般ルート合流するまでも同じ状態であった。(途中朽ちたコーヒー缶とジュースのボトルが落ちていたが、いつもは不快なごみも今回ばかりは見つけた時、暖かいともしびに感じられた)
高度をあげるにつれ樹林が多くなり、1800mくらいからは下笹が無くなる。1800m前後で一箇所かなりの急登を強いられる部分があるが、そんなに長くは続かない。
笹原が無くなり、樹林帯に入る、高度を上げるにつれかなり密な樹林帯になり歩行に支障がでてくるようになる。基本は鹿の踏跡をたどる、どう進めばよいのか微妙な場合は、尾根を追いつつも自己判断のヤブ回避を繰り返す。1900mあたりからはコメツガの蜜ヤブが断続的に出てくる。かなり明瞭な鹿道が出てきたと思えばいつしか失い、基本尾根筋を守りながらコメツガの枝をしならせながら突破、あるいはヤブ回避を繰り返す。と思えばまた明瞭な鹿道が出てきたり。 写真下) 樹林のヤブを振り返ったらこんな感じ・・・
写真下) 2000mあたりのがれ場、絵の右部分ガレぎりぎりを歩いていきまた前方の樹林に入っていく・・・, この後が結構きつかった。相変わらずコメツガ中心のヤブ。コメツガはしなるのでヤブを突破もなんとかなるのだが、複数がタッグでふさがれると、よけて突破するのはしんどい、ラブビーのスクラムをやってるような感じ。時に回避してもまた新たな障害にふさがれる。starionさんは2209m峰まで3時間16分、自分は彼より遅いのはわかっているので4時間は覚悟していた。4時間経過近くなってあせりも出てくる、ヤブは断続的に、2100mあたりからはヤブ程度もよりひどくなってきた、多少シャクナゲも混じりだす。精神的に焦ってきたこともあり、いつもより息があがる、恥ずかしながらへばってきている、落ち着け落ち着け、最高に楽しんでいこう。こういう場合いつも自己に言い聞かせる暗示をつぶやく。尾根の2,30メートル右下方を見ると結構歩きやすそうな樹林密度の少ない箇所がある、そこに降りてみよう。結構歩きやすい鹿道を発見、しばらく進める。やった、でももっと早く気づいていれば、時間も体力も省エネですんだだろうに。尾根に戻る急登も鹿道がしっかりしており比較的安定して歩行できる。
尾根に戻るとまたヤブ、平穏地、ヤブの波状攻撃(写真下、平穏地)
2209m峰についに到着、4時間30分もかかってしまった。未熟・・・。2209mを示す表示はもちろん無いが、GPSは少し前にARRIVINGと表示している。通常目標のピークに達すると無性にうれしいが、今日は気持ちが少し動転していたようだ、すぐうれしさが沸いてこない。到着しうれしいというより本当にほっとしたというのが本音。 写真 下) 2209m峰付近、来た方向を振り返る・・・
2209m峰から10分ほど道なりに進み、赤薙、女峰間の一般ルートに合流、 写真 下)女峰山へのルート、あのマークをみて達成感が沸いてきた。本当にほっとした。ここからは赤薙山、霧降高原を経由しスタート地を目指す。ここからは本日のテーマ外、おまけだ。
赤薙山手前の岩峰、名は無いか?あのピーク近くをこれから辿る)
(写真下)赤薙奥社跡の南にある独立峰、今回初めて意識した。
赤薙山付近から、先ほど辿った2209m峰東尾根を望む・・・
先ほど辿った2209m峰と東尾根・・・
ガスが流れる霧降高原・・・
霧降第3駐車場まで正式ルートで降りず、途中ショートカットし少しヤブを歩き車道に出る。ここから六方沢橋北側まで歩いて戻らなければならない、どのくらいかかるかわからないが1時間もかからないだろうと思った。バスに乗ることも考えたが、今日のヤブ山用ズボンすでにかなり汚れている、とてもバスに乗れないようなレベル。2209mへの登りヤブでころび2回以上、それと最後の霧降高原のなんでもない石の下りで大転倒、気が抜けていたのか? 肩からかけている一眼カメラに左胸を乗っけてしまった。一瞬胸の骨が折れたかと思ったが、今のところちょっとした痛みに過ぎない。
それにしても今日は2209m峰東尾根に充分なくらい楽しませて?いただいた。夏休み中、アルプスも行きたい、栃木のヤブも、甥っ子や頼まれている初心者の友人をフツー山に・・・などともくろんでいたが、今の気分、山は当面お腹いっぱいって感じだ。(明日ゆっくりすれば気分も変わるカナ)
歩き出して10分もしないうちに土砂降り、道脇で雨具ザックカバーを付ける。自動車も結構行き交う中、格好悪い。六方沢橋を渡る、ココを歩くのは初めてだ。下をみるとすごい高度感、何より良かったのがそこからの赤薙方面の風景、今日歩いた東尾根もくっきり見えた。雨が強く写真は撮らず、いつかここからも撮らねば。
早歩き30分ほどで自分の車に到着、雨も小降りになり遠くの空は明るかったり。歩き終わって達成感がわいたのか、2209mピークでわくはずの喜びが今頃出てきた。六方沢のダイナミックな景観をみて気分がハイになったのか、自分の車につくなりひとりで小さくガッツポーズを入れる歩きじまいだった。
来た稜線を振り返る、赤薙山からの道・・・
さて、この度のコース、六方沢そのものを知らないため、starion氏の記事と合わせて読ませていただきました。すごいヤブの連続のようですね。starion氏の歩きは7年前ですから、その間、ヤブもかなり深くなったものと察せられます。
ちょっと考えも及ばないコースですね。地形図上では単調な尾根ですけど。
ななころびさんも、ますます激ヤブ化しつつあるようですね。ヤブ漕ぎもいいですが、これがシャクナゲの群落ならたまったものではなかったでしょう。
拝見しながら、お腹いっぱいになりました。ごちそうさまでした。
つたないレポを今回も読んでいただいてありがとうございます。今回の2209m峰の尾根ですが、行くまではもう少し簡単に考えていました、実際歩いてみると藪初心者の私にはかなりこたえるヤブ尾根でした。レポ中にも書きましたがコース中テープの類はいっさい無い為、ヤブ突破も、巻き道回避も全て自己判断というのが、難しい点だと思います。
高薙山などは最初から激戦を想定して挑戦しましたが、今回の尾根は想定外のヤブだったので余計きつく感じられたのかも知れません。もっとも、枝ヤブが支障になるのは主に1900m超からですし、うまくヤブ回避のルートを見つける識別能力があれば案外やさしい尾根なのかも知れません。
高薙山北東尾根を3時間ちょっとという自分からすると驚異的なスピードで登攀するたそがれさんなら自分のコースタイムよりかなり短く歩けてしまうような気がします。