日光山系 ななころびのあの山の向こうに

あの山の向こうには何が待っているのだろう。7回ころんだら7回起き上がる、平凡ハイカーななころびの気まぐれ山行録です。

天狗沢左岸尾根は赤薙・女峰の稜線の大展望台だった  女峰山域/黒岩

2013-10-18 22:05:00 | 山行

入山日 2013年10月14日(月) (晴) 単独   天狗沢左岸尾根/最上部。黒岩まであと一息の地点からの黒岩方面)
14日はヤブ尾根、天狗沢左岸尾根を登ってみました。行程が長いのでちょっと病み(ケガ)上がりの自分としては女峰までを行くことには、ちょっと弱気になっていました。最低限、尾根を歩ききる黒岩まで行きたい。黒岩に出れば、かつて、自分が青年の頃歩いた女峰山頂~唐沢小屋~日光市街のコースと合流するので、踏んだ線がつながります。黒岩に着く時間と、その時の余力と、その時の天候。それ次第では女峰山まで行こうか・・・。そんな思惑で出かけてみました。
この尾根は今年春にぶなじろうさんが歩かれていて、その記録を見て、存在を知ったコースです。前日は袈裟丸で一般ルートながら渋い尾根歩きと紅葉を楽しみましたが、今日は一転、対照的に誰にも会わない、精神的にちょっと怪うさを感じる、いつもながらのヤブ尾根の魅力を存分に楽しめました。

COURSE: 日光滝ノ尾神社P 6:01  林道行き過ぎ(戻り)6:51   天狗沢左岸尾根取りつき 7:10   1303P 8:45  黒岩 11:07  (黒岩尾根経由)   日光滝ノ尾神社P 13:47
日光滝ノ尾神社からスタートし、林道を歩く。ぶなじろうさんの記録で20分経過地点あたりで鹿柵がありそこから取りつく情報は知っていたが、どういうわけか大きく通り過ぎてしまう。雲竜渓谷へ行く道を右に見て、その分岐を左に入って、数分してから、あまりの時間経過の長さにやっと誤りに気付く。この林道はめざす尾根の東側面のはずだが、さすがにここから強引に尾根に乗ることは考えなかった。地形図を見ると、尾根に乗るまでにややこしい地形がありそうな事が見てとれたからだ。おとなしく来た林道を戻る。

林道を緩やかに下ること20分ほどで、一度は通り過ぎた、目的の尾根末端らしいものが目の前に見えてきた。



尾根末端付近に着くと、ぶなじろうさんの記録にあったような鹿防護ネットがあった。あーこれが写真で見たネットだな、などと思って歩いていると、目の前に横たわるモノを見てびっくり。ネットに角を絡ませてしまって、どうにもならなくなったのだろうか。鹿が目を見開いて、もう固まってしまっていた。あとで画像を見ると首にネットが絡まっているようにも見える、暴れ過ぎて窒息を招いてしまったのだろうか。もし、生きていればこの日の山行を中止してでも、助けたかもしれなかった気がするが、自分にはもう何もできなかった。




(安らかに眠れ)
 

ここまで、林道行き過ぎのロスで、約50分のロス。今日は10時前に黒岩に到着して、心の余裕を持って女峰山頂に向かうはずだったのに・・・
尾根取りつきは鹿ネットの左側からがよいとのぶなじろうさんの情報があったので、いったん沢方面に少し降りてそこから取りつく。あっという間に下地がひざ丈の笹の尾根に乗ることができた。しばらくネットに沿って歩く。ネット脇の登りが終わると尾根が少々狭まる。鹿道らしき踏跡も時に出てくる状態。


尾根は次第に広くなり、気持ちの良い開放的な林の中の草原を歩くようになる。踏跡は笹原が多少窪んでいる程度。磁石を北西に合わせて進む。


尾根に取り付いて1時間もすると木々の密度が濃くなり、避けて歩くことが多くなってくるが、ヤブ突破はしなくていい状態が続く。写真は進路方向(p ↓)


1303pへの登りは下がひざ上の笹の急登りを少々。尾根取りつきから約1時間30分かかった。


1303pらしき小ピークは尾根の通過点的なピーク。進路右手(東方向)から来る別の枝尾根を合わせる。遥か眼下の稲荷川岸では大規模な護岸工事中の様子。工事の音もかすかに聞こえてくる。木々の間からは赤薙山から女峰へ続く稜線がでっかく見えていた。その稜線の岩の間に、肉眼では潅木が赤く色づく様が見て取れ結構感動的。赤薙山をこんなにかっこいいと思ったことは、過去にない。


1303pからは、いったん低い潅木をまたぎながら少し下り鞍部へ。そこからはちょっとヤブっぽいやせ尾根の急登りを10分ほど。大きな岩(P ↓)は左をなんとか巻いて広い平原状の尾根上に躍り出た。ここを下り方面で歩く場合、この大岩の脇を下りで入るところがわかりづらいかもしれない。 なな”は未知のヤブ尾根歩きをする場合、常に撤退することも頭の片隅に入れて歩いているので・・・、そんなことを考えながら歩いている。



大岩の脇を登り乗った尾根は広い解放的な林の尾根状、下はせいぜい腰高の笹原。目の前には女峰方面までの稜線が屏風のように見えている。今日この尾根に来た理由の一つに、赤薙、女峰の稜線をくっきり真近から見たいというのがあった。今年7月霧降から女峰山、9月に赤薙山/南東尾根、同じく9月に野門から富士見峠、帝釈山と、この山域に結構つめてきたが、結局いつも核心的な上部では、いつもガスにまかれ、巨大な稜線を見られずにいた。今、目の前に見えている景色はどうだろう、見たくて待ち望んでいた展望に、この山域では見たことのない秋の色合いが加わった爽快な稜線が目の前に広がっているのだった。
今市に住んでいる自分にとって、女峰はかなり特別な山、一番好きな山の一つといってもいい。自分の部屋の窓からいつもそびえたっているその姿を毎日眺めている山でもある。しかし、紅葉は綺麗な山とは思っていなかった。9、10月のいつ歩いても、綺麗な秋景色を堪能した記憶が無い。今回改めて、良さを実感した一瞬だった。




尾根歩きのほうはと言えば、歩きだして120分以上経過しているのに、まだまだ先は長い。尾根は急速にいったん広まり見ためには気持ちのよい草原の緩やかな登りになる。磁石で方向を北西に据えて、進んでいく。笹が腰高まであると、もも上げが通常の歩きより高めに必要になってくる。緩やかに見えて距離が長いので結構いい負荷になる。



広い尾根もやがて狭まり、樹林間の尾根歩きになってくる。1303mあたりから上部は、周囲の木々もいい色に色づいているものが多く、雰囲気はよい。足のケガの具合もほとんど気にならず。


尾根からは、赤薙山方面の尾根が黄葉の合間に見え隠れする。



天狗沢の源頭部、天狗沢の最先端を上から見下ろしたが、最後の部分からは登山道のような踏跡らしきものが上がってきていた。



天狗沢源頭部わきをあたりからは笹原の急傾斜を登る局面が増える、笹をつかんで攀じ登っていく。



左となりに今いる尾根と平行して登っていく黒岩からの尾根が見えた。



尾根取りつきから3時間経過地点。進路右は大きくガレて急に落ち込んでいる。その地点からは荒々しい赤薙、女峰間の稜線の南斜面がパノラマで見える。ここにきてかなり雲が出てきて、画像にするとどうかなと思いながらも撮影する。
このあたりで、小腹がかなり減ってきた。もう朝から4時間も歩いているので、ここらで小休止してパンなどをかじる。




奥社(左)から赤薙、そして南東尾根の連なりだろうか。手前に内の外山の尾根も見える、その尾根最後は急峻に駆け上がっている。





手前にみえる谷の先には雰囲気のよさそうな所も随所に見えた。雲竜の滝の上部だろうか、かなり紅葉も進んでいた。



進路右、北東方面は赤薙山/南東尾根と内の外山への尾根が並行して走るのがよーく判る。今歩いている尾根、ロケーション的に、実に赤薙、女峰の稜線とそこから落ちる急峻な渓谷を本当によく眺めることのできる尾根だと思う。




正面に黒岩への尾根が見えてきた、このままこちらの尾根沿いに緩やかに左折していき、黒岩尾根に合流するのだろう。あと20ほどか。ここからも結構見ため以上に急な登りが続き、最後は急な踏跡のない笹斜面をジグザグにつめて、黒岩尾根に合流した。



適当に見当をつけて登っていった先、黒岩尾根との合流点はこんな道標のある地点だった。道標は”←女峰山、 日光 →” の表記あり。


11:07 適当に崩れやすいガレをジグザグに登り黒岩に到着。歩き始めから、5時間以上経ってるよ、最初のロス50分が失敗だったな、自業自得。この尾根を下ったのは自分が山を始めたころの30歳前後のころ、霧降から女峰に登り、唐沢避難小屋一泊、翌日ここを下ったのだった。その時、この黒岩のピークには立ったのか? 全く覚えていない。
黒岩に立つ頃には、先ほどまで見えていた女峰の稜線は、完全に雲に隠された。ここらから、晴れた稜線が見たかったが、あまり贅沢をいっても仕方がない。今までの眺望で十分満足しよう。


黒岩着が11時を過ぎたことと、女峰、赤薙の稜線が完全に雲に巻かれたこと、今までに既に女峰、赤薙の稜線の眺望をかなり堪能できたことなどの為に、今日の登りはここまでにする。なにより足場の悪いヤブ尾根の4時間程度の登りは結構こたえる。天候の悪化が退却のいい言い訳になったわけだ。
下りは無難に黒岩尾根を下る、下り初めて自分の登ってきた尾根を見ると、思いのほか急峻な登り。(P ↓) 歩いている時は、こんなだとは全く思ってもいない。 この黒岩尾根を前回下ったのは約20年前。その時、20年後の自分がすぐとなりのヤブ尾根を登ったりするなんて想像もしていない。




黒岩のひとつ先のピーク。女峰に向かったのなら、あのピークを超えていったのだろう。(P ↓)  今日の尾根でも、黒岩尾根でもいい。いつか滝ノ尾神社から女峰山頂まで歩いてみよう。なな”の鈍足ではもうちょっと早くスタートしないとダメ。それとくだらない時間ロスも・・・
黒岩直下で黒岩尾根を登ってきた単独男性と数分立ち話。この方も天候悪化で黒岩あたりで引き返すと言っていた。


静かな黒岩尾根を下る。歩く人はさすがに少ないのか3箇所ほどヤブっぽくなっている地点があった。この下りでも紅葉はところどころ綺麗。


木の幹に生えていたキノコ。


下りは、一般ルートでもあるし、グイグイ下っていける。途中開けた草原状にでる。この地点はよく覚えていた。この草原で30年前の山ガール4人組が休憩して、今市日光方面の低山の山座同定を行っていた。日帰りでこの尾根を往復?と訊かれたので、天狗沢左岸尾根の旨、伝えると、結構マニアックなおばさまが一人いらして、天狗沢あたりに反応していた。




稚児ケ墓、通過。20年前はこのようなモノは見向きもしなかったか。 ほとんど覚えていなかった。


黒岩から下りはじめて約2時間20分、滝ノ尾神社に到着。(P ↓) せっかくなので、この神社を初参拝。残念ながら重要文化財の本殿は修復作業中とかで、全く見えない状態だった。
この日は、未知尾根、天狗沢左岸尾根を歩きとおせて満足。黒岩までだとしても・・・、自分にとってはかなりのボリューム感だった。周囲の紅葉や、今までなかなか見られなかった赤薙、女峰の稜線を至近距離で見られたこともよかった。今度この尾根に来る時があるとしたら、ぶなじろうさんの歩いた、真っ赤なお花が咲き乱れる頃かな。■■






最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
黒岩から先 (みー猫)
2013-10-19 21:07:45
こんばんわ。
いい景色が続いて気持ち良さそうです。足の調子も良くなったみたいで良かったですね。あそこから先ですが、登りはありますが、長くはなく平らな部分もあり、キツイのは小屋から先のザレとその後ですね。どうしても黒岩に到達するのに時間がかかるためか、あのあたりで丁度ガスが巻くような気がします。お疲れ様でした~。
返信する
Unknown (ぶなじろう)
2013-10-19 21:22:40
今晩は。

秋空と赤薙ぎの眺めは素晴らしいですね!私もいつか秋の好日に歩いてみたくなりました。ツツジ紅葉がよさそうですね。
私が登った時はスタートが曇り空で、運よく崩壊地で青空が広がりましたが、黒岩では同じように再びガスに巻かれてしまいました。
返信する
みー猫さん (ななころび)
2013-10-20 14:25:52
こんにちわ。
足はほぼ、普通どおりにもどりました。滝ノ尾神社から女峰に行くには、黒岩周辺を10時前には通過したいので、来年の私のテーマのひとつとしましょう。光景が綺麗な頃がいいです。
小屋上のざれの地点は今でも、歩きづらかったのを思い出します。
返信する
ぶなじろうさん (ななころび)
2013-10-20 14:32:15
こんにちは。
この尾根はぶなじろうさんの記事がなければ自分は気づいていなかった尾根です。ちょっと前にたそがれさんから、合同山行の候補に挙がって、改めて行ってみる気になりました。眺望、紅葉ともに大満足、特に赤薙山に惚れ直しました。ぶなじろうさんのおかげです、ありがとうございました。
次回行くときがあれば、お花のたくさん咲く尾根をあるきたいのです、それまでは、ぶなじろうさんの記事をみて楽しみます。
返信する
お久しぶりです (つるると)
2013-10-22 00:11:02
こんばんは。2月に社山でお会いしたものです。
同じ日に霧降高原から女峰山に登り、黒岩尾根を下りました。ななころびさんが赤薙山の尾根を見上げていたころ、丁度そこを私が歩いていたかもしれません。私が黒岩尾根を登るのは来年かな。
また、雪のある時期に日光のどこかの山でお会いするかもしれませんね。
返信する
つるるとさん (ななころび)
2013-10-22 21:26:06
こんばんは、コメントやリアルではお久しぶりです。
つるるとさんのご活躍は”へそからGO”で見てますよ、自転車もすごいですね。
同じ日にまた同じ山域を歩くなんて面白いですね、当日の赤薙、女峰の稜線は本当に素晴らしくかっこよく見えました。
自分も自転車にも少し興味があるのですが、なかなか踏み出せません。また、近隣の山の中でお会いしましょう。
返信する

コメントを投稿