ブルース・リー没後50周年、そして『燃えよドラゴン』公開50年となった今年は、ブルース・リーの様々なイベントや話題で大いに盛り上がった最高の1年であった!世界中で多くの記念出版物もリリースされ、これまでに幾つか取り上げてきたが、そんな中で今年を締めくくる新たな記念ブックが日本で出版された。宝島社から発売された本のタイトルは、『燃えよ!ブルース・リー 猛龍伝説』!宝島社のTJ MOOKシリーズの特別編集されたブルース・リー本である。装丁もなかなか良いデザインだ。
なんと、この本で初めて知った驚き事実があった。それは、あの『燃えよドラゴン』でブルース・リーが着ていた3ピーススーツが、メンズビギ初代デザイナー、菊池武夫氏が手掛けたスーツだったというのだ。この本では、なんと截拳道後継者の一人である中村頼永氏が所蔵するブルース・リーが実際着ていた当時のスーツを、今回デザイナーであった菊池武夫氏のもとに届け、感動の再会を果たした際の模様を、菊池氏にインタビューしているのだ。
ちなみに、このスーツを着たブルース・リーは実にカッコよく、やはり逆三角形の見事な体系が映えるスーツだった。そんな彼の姿はフィギュア化されており、こちらもコレクションしている。
僕はあのスーツが日本製、しかも菊池武夫氏が手掛けたメンズビギのスーツだとは全く知らなかったので、また新たな日本との縁に思わず感動してしまった。どうやら当時、ブルース・リーは香港でセレクトショップを経営していたアンジェラ・ホーさんに衣装を任せていたらしいが、このアンジェラさんが当時表参道でメンズビギの店を出したばかりの菊池武夫氏から幾つかのスーツをセットで買っていったというのだ。現在の表参道ヒルズの向かいにあった“BIGI”は、憧れのブティックであり、ブランドでもあった。しかし『燃えよドラゴン』公開前であった為、当時ブルース・リーは日本で全く無名だったし、当時ブルース・リー用の衣装としてアンジェラさんが買っていったとも知らなかったというが、このスーツは1点ものだったらしく、それをブルース・リーが劇中のみならず、プライベートでも愛用していたというのを聞いて痛く感動していた。またブルース・リーが当時着ていたコーデュロイのスーツや、花柄のシャツも全てメンズビギのものだったというから、如何にブルース・リーがメンズビギを気に入っていたかがわかる。
『燃えよ!ブルース・リー 猛龍伝説』は、これ以外にもブルース・リーの懐かしい写真や主演作品を解説したページなどもあるが、ブルース・リー好きで有名な竹中直人と浅野忠信の対談、みうらじゅんと山田五郎の対談、香港時代のブルース・リーを知る貴重な存在である倉田保昭へのインタビューなどが収められており、特徴を持たせた充実したコンテンツとなっている。
没後50年も経って、いまだに新事実を入手できるというのは何とも嬉しい限りだし、こうしてまた新たなブルース・リー本に触れることが出来て、改めてブルース・リーが人々を引き付ける力の凄さ、そして彼のカリスマ性に驚かされるばかりである。