皆さんこんにちは、長浜奈津子です🌸
「新進気鋭の演出家3名による競作 同一戯曲を異なる演出・俳優で一挙上演」
今日は俳優座スタジオで上演中の「スターリン」落合真奈美さん演出の組、千穐楽を観劇しました。
ちなみに、私のブログは個人ブログですので、感想とつぶやき…
つまり、自分の劇団、仲間のことを、私の言葉で喋っているのです。
正確な情報発信は、俳優座のサイトをご覧ください。
<「スターリン」落合真奈美 演出>
若手3人の演出で、役者は三世代のスターリンを上演、
今日は落合真奈美さん演出で、サーゲリ巻島康一さんとスターリン島英臣さん。
アンサンブルは、落合組が一番多く、山本順子さん、馬場太史さん、釜木美緒さん、山田貢央さん、長井優希さんが出演されておりました。
アンサンブルによる、場面転換や、演じられる街の人々がとてもよかったです。
そして、音響・照明・小道具・装置など、演劇ならでは、の舞台演出効果が、このコンパクトな空間にちゃんと生かされていて、お芝居をより楽しむことができました。
道具もきれいでした。バルコニーやスタジオの隅々まで使っていたことも。…個人的にランプが好きでした(笑)
<あらすじや、公演情報はこちらから>
スターリン | 公演案内2023年度 | 劇団俳優座(写真は、俳優座のサイトから)
◆演出:落合真奈美
舞台写真(撮影:坂内太)https://twitter.com/haiyuza
<堂々たる分厚い存在感、スターリンとサーゲリ>
スターリンとサーゲリによる2時間に渡る台詞劇。
俳優座スタジオの空間、シンプルなテーブルと椅子、道具の組み合わせで場面展開がなされます。
この空間の中を演じたのは、巻島康一(サーゲリ)、島英臣(スターリン)の諸先輩方です。
堂々たる分厚い存在感、確かな演技、みえる言葉が… 五感にびしびし響いてきます。
今回の企画、三世代の役者の中では、中堅(ベテラン)になるお二人です。
中村圭吾組 『川口敦子・森一』
落合真奈美組『巻島康一・島英臣』
村雲龍一組『斉藤淳・小田伸泰』
<ちょっとした仕草に…>
巻さん(巻島康一さん)がカップと持つと、手のひらに乗せた、そのカップの底をスッとなぜるだけで、少々こぼれたであろうグルジアの飲み物が舞台の上で実体になる。ジャム…もしかして毒でもはいっているのかも? 瞬時にどきっと匂わすが、そのカップは役目を終えると、小道具に戻る。
島さん(島英臣さん)が林檎の香りを鼻先で深くかげば、本物の林檎になるばかりか、こちらにも固く甘酸っぱい香りがキュッと感じられる。と同時にスターリンも人間だと、ふっと感じたりもしました。
これらは、ほんの一瞬のことで山のような中のひとつ。あれこれ書くには、理由があります。それは…嬉しかったのです。ほんとうは、実体のない空っぽな舞台に、真実を生み出す。
お芝居の面白さを改めて思うのと同時に、丁寧な芝居を目の前で見られて、嬉しかったんです。
何をいまさらのようですが、道具や衣装もその扱いによって、息をするからです。
ちょっとした仕草に…「美意識」を感じられます。
<俳優座には衣装部があった>
私が入団した頃、俳優座には別のビルの一室に、衣装部がありました。また別の場所に倉庫があって、そこに歴代の衣装が置いてありました。
私たち研究生であっても、役者は一人一人採寸をしてくださり、稽古場にはデザイン画が貼り出されました。衣装、履き物、被り物を、その役として身につけ、演じる。それがプロの俳優の仕事と教えられました。
衣装とも、芝居をします。その役の着こなし、がある。
今日の舞台では、巻さん、島さんの、役としての着こなしが、やっぱり美しかったです。
ちなみに島さんは、軍人の長靴が似合う俳優さんだなと、昔から心の中で思っていました。
冷たくサディスティックで美しい軍人を演じられるのがうまいなあ、と後輩ながら思っていました。演技ですよ、もちろん。着物のお芝居も堂々たるもので、役によって着物の着こなしが違うのですが、島さんはそれを美しく着こなします。後輩に教えてくださったりします。
そう…島さんの素顔は、ほんとうに親切で、いろいろ教えてくれる先輩です。旅先で、私の壊れたポータブルカセットデッキを直してくれたこともありました(!)
あ、素顔の話で言えば…巻島さんは実はバイク乗りです(笑)
<5人のアンサンブル>
山本順子さんの弾ける第一声から、この芝居が始まりました。
*山本順子さんは『対話』で犯人の男の母親、コーラル・ウィリアムズ役を演じられて、とても印象に残りました。
5人のアンサンブルによる、なめらかな場面転換は、少し大きめの道具も操れるため、さまざまな絵が出来上がりました。
そして演じられる街の人々、同時に朗誦する詩、そこに生きる登場人物として、いろいろな場面に存在していて、とてもよかったです。
スターリンとサーゲリを取り巻く、国々の風景や、屋敷の様子、心象風景に登場する亡霊や声など、立体的に目の前に現れてくるので、観客として場面のイメージを大きく膨らませることができました。
一人の役者の肉体が、場にもたらすエネルギーについて。
たとえ闇の中に潜んでいても、喋らずともその存在は大きい。もちろん声を使うともっと新鮮です。
5人の存在は、スターリンとサーゲリが繰り広げる対話を、くっきりと浮きあがらせます。また監視するように、完全なる敵のような存在にもなり、より場に緊張感をもたらせました。
<アンサンブルで思い出した、むかし話…>
今さらながら、劇団に入ったばかりの頃の芝居には、舞台の上に群衆が現れる芝居がありました。
千田先生のお芝居にはそういうものが多かった気がします。その当時は…本役以外の場面なら、みんなが違う衣装を着てとにかく出る、みたいな感じだったと思います。
今日の5人でも、空間に厚みを持たせられるのに、いろんな背格好の男や女や人々が舞台に現れるのですから、迫力だったでしょうね。衣装を着てとにかく舞台に出ていましたが、その立場より、客席から観た方が舞台の迫力の実感があったと思います。
なんと言いますか、贅沢な芝居創りをしていたのだと思います。
劇団のことをこんなに書くこともありませんでしたが、公演に関連していろいろ思い浮かんでしまいました。
<最後に…>
俳優座若手演出家:落合真奈美さん、総勢7名で創り上げた舞台、ほんとうにお疲れ様でした。いろいろな面で充実していた舞台をありがとうございました。劇団研究所の仕事など、本当にいろいろ忙しい落合さんですが、これからますます演出家として頑張って下さい。
劇団の公演を、自分のブログに書くというのは、なかなか勇気のいることでした。
ああ、、、、、、自分のことだけ呟いている方が気が楽です。
でも長年関わってきた、大切な劇団のことをあらためて想うことができて、この3つの公演について書いてみてよかったなと思っています。思い出すことも、まだまだたくさんありました。
ではでは、またの機会に…
<「スターリン」関連ブログ>
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2024年2月 LABO公演「スターリン」
最後までお読み頂きましてありがとうございました。
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