銀の河～長浜奈津子のブログ～

『円盤の五月－肉体ピン』を思い出して

#飯田善國

#京都国立近代美術館

#目黒美術館

つぶやき ✒️essay

2022年12月22日

皆さんこんにちは、長浜奈津子です🌸

なぜか、ふと朝から、飯田善國先生（彫刻家、現代美術家、詩人）を思い出しています。

（飯田善國氏 Wikipedia）

今、いろいろな小説や詩や随筆などを、好きで朗読している私ですが、
そうそう、こんなことをしていたのでした… 影響を受けていたのだなと。

朝からそれを思い出して、ふと思いつき、ずいぶん前に飯田先生のことを書いていた文章を引っ張り出してきて読んでみました。

18〜22才頃の私。今思えばユニークな大人たちがまわりにいて、面白かったのだなと思います。ああ！飯田先生にいま会いたいですね… 数年前に書いたノートですが、懐かしくなったので、ここに。

＜朗読と私～飯田善國氏との出会い～＞

　私がいた当時の桐朋学園は俳優座養成所が桐朋学園演劇科であった頃で、特別講師として田中千禾夫氏（日本の劇作家、演出家、フランス文学者）千田是也氏（演出家・俳優・俳優座創成者）の特別講座がある時代でした。

その講師陣の中に、彫刻・現代美術家・詩人の飯田善國さんがいらっしゃいました。

「ハイパー・エロティック・コスモロジー＜円盤の五月－－肉体ピン＞」

88年「つながれた形の間に―飯田善国展」京都国立近代美術館と目黒美術館にて、飯田先生の作品「円盤の五月--肉体ピン」を若手俳優たちの群読によるパフォーマンスで上演しました。
飯田善国 :: 東文研アーカイブデータベース

人生で初めての朗読のお仕事でした。女優たちは網タイツにレオタード、ハイヒール。色鮮やかなロープ、ステンレスの立体がどしりと並ぶ、各展示室を自由に居たり、高速で詩を読みつないだり、声をぶつけあったり、やりとりしたり…思うままに表現しました。

今思えばあの頃、詩は自由に読み歌うものだと…なんとなく覚えたのかも知れません。
<archive> 飯田善國展｜京都国立近代美術館

　俳優座の若手時代、飯田善國氏のご自宅で詩人の集まる会がときおり開催されて、私は何度か参加をしていました。

奥様はドイツ人でいつも手作りの美味しいお料理を私たちにふるまって下さった。めずらしくて、美しくて美味しい、それでいて温かい家庭の味、憧れのテーブルでした。

　私たち、若手俳優はそれぞれ詩をえらび自由に読むのです。２１才の私は、鈴木志郎康さんの「処女プアプア」シリーズから。テンポの良い台詞で、声にしたらとても面白かったのです。ピンク色のかつらをかぶり（今のように売っていないのでアクリル毛糸を使い自作）詩人の皆さまの前で動読---パフォーマンスしながら読むのです。お喋りするプアプアちゃんを乗せたバスが、角を間が曲がるところで詩人の方たちが吹きだして笑ったけれど、その理由はわからなかった。顔から火が出るように恥ずかしかった。その後、飯田先生にはしばらく「プアプアちゃん」と呼ばれていました。（その後は役名で「テリーちゃん」と笑）

　その会で、どなたか詩人の方から「詩人はかつて詩を発表するときには、自分で読んで発表した」と伺いました。その後の人生で、詩人の方が自作の詩を読まれる場面に何度かお目に掛かりましたが、驚きました。あんなに説得力がある語りはほかにありません。だってその詩人の心と言葉をご自身で話されるわけですもの。私たちが読むものとは違うものだと、その時に思いました。

サイケデリックな色彩や映像を、たくさんイメージさせて下さった飯田先生。私が今、日本の文学や海外の物語を読むときに、語りの土台になっていると感じます。見えたもの、感じた感触をそのまま声にするということを、自由にやらせて下さったからです。なにをしても否定するどころか、面白がって下さった。詩の読み方とは、なんて言われたことがありませんでした。自由に音読するという楽しさを教えて下さった先生です。

　飯田先生、ありがとうございました。その時出会った作品を、あの時代にしかできない表現でやれて良かったと思います(笑)

＜関連ブログ＞ 2006年、同じことをやはり言っているので、飯田邸の朗読会や詩の授業はほんとうに楽しかったのだ（笑）

飯田善國　－版画と彫刻－詩の光・色のかたち - 銀の河～長浜奈津子のブログ～

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＜朗読公演のお知らせ＞
あれから少し…ずいぶんと大人になったはずの私は、いまこうして朗読公演をさせて頂いています。

場所は六本木のアートスペース、ストライプハウススペースです。瑞々しい文体から溢れる風景、登場人物の息吹がすばらしい作品です。