今年5月、フレンチオープンの前哨戦である
ストラスブール国際決勝で
アンナ・ブリンコワ(露)を破り
2年前のシカゴ女子オープン以来のタイトルを
獲得したエリナ・スビトリーナ選手は
試合後のオンコートインタビューで
「優勝賞金は祖国ウクライナの子どもたちに
寄付します。これはとても必要なこと」とスピーチ。
フレンチオープンでサバレンカ(ベラルーシ)と
対戦したスビトリーナ選手は試合後の握手を拒否。
観客からはスビトリーナ選手に対する
ブーイングが巻き起こった。
「そういうことにはあまり注意を払っていない。
皆を喜ばせようとするつもりはない。
最前線にいる人たちが私を観ているのに、
私が何事もなかったかのように
振舞っているなんて想像できる?
私は国を代表していて発言力を持っており、
この戦争において自分の立場というものがある。
ロシア政府がやっていることは本当に酷いことよ。
私たちウクライナ人は一致団結しているの」
彼女は対戦相手ばかりではなく、
侵攻を続ける巨大国家をも相手に戦っている。
今行われている全英オープン9日目、
彼女はビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)を
3時間近くに及ぶ激闘の末2-6、6-4、7-6で破り
準々決勝進出を決めた。
”この日は最終セットのタイブレークで4-7とリードされ、
あと3ポイントで敗退というところまで追い込まれたが、
「母国のことや自分の試合を見て
応援してくれている人たちのことを考えていた」と明かし、
「ウクライナの人々にとって幸せを分かち合える瞬間は
とても大きな意味がある」と話した”(AFP=時事)
政治とスポーツは切り離して考えるという建前がある。
だけど自分たちの国が謂れのない理由で
領土を奪われ家を焼かれ市民が次々に
殺められていく現状を目の当たりにすれば、
黙って見ていられるはずはない。
使える力はすべて使ってなんとしてでも
領土を守るというウクライナ国民の
固い決意が彼女のラケットに
乗り移ったかのような強さを発揮している。
今年の全英は彼女から目が離せない。
そう思っている人は私だけじゃないと思う。