テニスと読書とデッサンと!

目に見えないものを発見。

 

 

"豊かさ"って、なに?」

「経済的な豊かさと心の豊かさ、

それに経験的な豊かさや

知識的な豊かさってものもあるから

大括りでそう聞かれても

なかなか答えにくいと思うよ」

「じゃあ質問を変えよう。

お前が、あぁ豊かだなぁって

感じる時ってどんな時?」

「テニスをしている時、

夕ご飯を食べながら

子どもたちの話を聞いている時、

クライアントに喜んでもらった時、

友だちとアホな会話をしてる時、

雨上がりの空に青い色を見つけた時、

美味しい料理ができた時、

ウクレレを抱いている時、

本を読んでいる時、

新しい靴を履いて出かける時、

絵を描いている時、

公園や海沿いの道を走っている時、

梅雨に似合う傘を見つけた時、

月と会話している時、

洋服を探している時、

いい写真が撮れた時、

えーと、それから・・・」

「わ、わかった!よくわかった。

お前、そんなに頻繁に豊かさを

感じているんだ」

「感じることにお金はかからないからね」

「じゃ、たとえば絵を描き始めたら

10分につき30円かかります、とか、

写真は1カットにつき70円ですって

豊かさを感じるたびに支払いの義務が

発生するとしたら?」

「感豊税・・・みたいな?」

「そう」

「そうしたら目立たないように

ポーカーフェイスで感じると思う」

「それって脱税行為じゃね?」

「違います〜!節税対策さ。

人の心は覗けないもの、分かりゃしないさ」

「感豊スキャナーをおでこに当てられ

スキャンされたら?」

「感豊スキャナー(笑)

どっから出てくるんだ?そんなもん」

「こないだ町内会長が肩から下げて

町内をうろうろしてたぜ」

「うそだろ?」

「うそなもんか!

オレ先週の土曜に調べられたんだ」

「どうやって?」

「だからおでこをこーふにスキャンされて」

「それってただの体温測定器じゃね?」

「なんで町内会長がオレの体温を

計る必要があるんだ?」

「喜べ、キミは今日も健康だって

親切にお前に教えてくれてるのかもよ」

「自分に熱があるかどうかは

自分でわかるわ!

やっぱ、あれ、感豊スキャナーだよ」

「じゃあ百歩譲ってそうだとして、

スキャンされてどうだった?」

「お前はいま貧しさの中にいる、だって」

「町内会長が?」

「うん。オレ、へこんだ」

「待て待て、貧しさにも

いろいろ種類があるだろ?」

「オレ、どんな種類の貧しさの中にも

いたくね〜!

お前がそんなに豊かさを持ち合わせて

いるんなら、少し分けてくれない?」

「それはダメだよ。

自分で感じないと意味ないじゃん。

よーく思い浮かべてごらんよ」

「んー、ダメ。豊かさなんて

なにも思い浮かば・・・あっ!」

「そ、そ、それ!それだよ。

なにか見つかったか?」

「うん!お前という友だちが

いるっていうのはひょっとして

オレにとっての財産?」

「・・・片桐」

 

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