
えーと、名前は知っていましたが、黒岩重吾の本を読んだのはお初です。名前を知っていたのは、エロ作家と錯覚していたからだと思う。どのようなご変換で錯覚を起こしていたのかは全く分からない。ま、思いこみと、他に読みたい本が山ほどあるのでそれを片っぱしから読んでいると、他のものには手が回らない…的な。
額田王とその夫、天武天皇、天智天皇、そのふたりの母親である斉明天皇など、飛鳥時代の話です。
「茜さす…」ですな。
我の大好きな、梅原猛さまからの「歴史は勝者の歴史である」という教えにしたがえば、日本の歴史など、当時の権力者のでっち上げで成り立っているようなものだし、国の王となる者は、「最も多く人殺しをした人」に他ならないので、まあ、今の日本、英国、スペイン、北欧の国々、おそらく全員そんなもんだと思います。
中大兄皇子=天智天皇も蘇我入鹿殺しているし、じゃあ、蘇我入鹿は悪なのか?という話になると、入鹿はあくまでの中大兄皇子にとっては悪というか邪魔な存在であったから、殺害したということで。その大極殿でのクーデターが別に裁かれる訳でもなく今日に伝えられているのは、当然当時とモラルとか、法律が全く違うんだけど、「人殺しOK」だったのも、殺人犯=正義、であり、王であったから。それが勝者から伝えられていることで、勝者=正義にすり替えられているってことなんだけど。
自分の子供、中大兄皇子に、恋人蘇我入鹿を殺された斉明天皇、死ぬまで中大兄皇子を許さず、許さないことで大王のメンツとプライドを保っていた、多分、女性じゃなかったら、息子に殺されてたかもしれないし、逆に、息子に譲位したんじゃないだろうかと思う。斉明天皇が心を開いた額田王は、大海人王子の妻になるが、中大兄皇子に取り上げられる。額田は、歌を読むことで自分の地位を確立している。
与謝野晶子が「原始女性は太陽であった」とかいうような言葉を残しているが、確かに卑弥呼とか、この人を見ると、シャーマン的な力を持っていたんじゃなかろうかと思う。
えーと、恋愛小説ではないと思うけれど、かといって歴史小説でもないような気がする。ある程度歴史を元にした恋愛小説?どっちつかずで、イマイチ、我の最も好むジャンルではないのですが、ふーーーーーん…って感じで読みました。当時は、気に食わなければ殺せばいい、そして証拠は抹殺してしまえば誰にも分からない。という稚拙な考え方しかないのだが、現在では当時の人が残した物的証拠のために、殺人事件くらい簡単に解決できるんだろうと思っています。法隆寺を作ったのは何年のことであると、切られた木の年輪から割り出せる時代である。当時の権力者が必死で隠したもの、必死…という訳ではなくでも都合の悪いものにしてしまった蓋は取り除かれる時代になっているんですな。
天皇の誕生した年代もはっきり分からないという、昔のミステリーはそのうちに解き明かされるんではなかろうかと思っているのです。
それにしても、血なまぐさい時代だな…と改めて思いました。
話は面白かったよ、さっくり読めましたので、黒岩重吾の「天の川の太陽」でも次回読みたいと思います。
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