風魔 (全3巻 上・中・下) by 宮本昌孝 祥伝社
この方の本を読むのは初めてでございましたが、この度読み終わりました。
感想は…被った…でした。
何と被ったかっちゅーと、この間読み終わった、"義経になった男"ですな。別に話の内容が被ったという訳ではなく、幕引きが被ったということで、それはそれでなんというか、ヒジョーな衝撃を受けました。
前々から思っていたんだけど、男性の筆者は、自分の理想形とか、こうあって欲しかったという願望を思い切り投影することが多いような気がする。
源義経、随分前に読んだ"黒龍の棺" by 北方謙三は土方歳三を大陸へ逃がし(んじゃなかったっけ?)、そして風魔小太郎もまた…。それから、この間購入した、"霧隠"3部作もまた、死んだとされるあのダレかがどこかへ逃げます…。なにこのチョイス?これは既に男の妄想がどうこうではなく、我の妄想がそういうものを引き寄せてしまうってことなのか?
なんなのだこの中年中二病の群はっ?!ゼツボーした、自分にもゼツボーした!!
男たちよ、現実から目をそむけるな!!現実を正面から受け止めてこそ漢!!なんでそんなに美化したがるのか?ちょっと一緒に反省しないか?
慎重210cmの巨躯を持つ北条忍びの長、風魔小太郎。気は優しいが、忍にも、闘いにも長けている。北条が滅亡した後、その小太郎と風魔を滅ぼそうと豊臣の、徳川の、服部半蔵の、柳生十兵衛の、唐沢玄蕃の魔の手が忍びよる。
小太郎が飄々と色々なものを見事にかる~くかわして戦ってくれるのがいっそすがすがしいです。それにしても小太郎は無邪気すぎて、優しすぎるきらいがあるな。
時代が大きく変わる時、その幕を引くために天が誰かを配するのだが、戦国時代の終わりに配されたのは誰だったんだろうか?淀君か?違うな。宮本氏は、小太郎だったんだろうなと。
風魔小太郎自体が架空の人物だと言われているし、風魔の棟梁が代々"小太郎"を名乗るので、ダレが1番の"小太郎"なのか、今はだれにも分からなくなっているし。だから、小太郎がどこへ行こうと、多分かまわないのだと思う。
とりあえず、面白かったです。
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