瑞原唯子のひとりごと

ザ・サークル


エマ・ワトソン主演。巨大IT企業に転職した若い女性が、会社命令で生活を常時配信することになった話。

教えてもいない家族のことをみんな知ってたり、社員とつながることをやたらと強要されたり、休日予定を共有しなかったことを責められたり、主役のメイも最初は怪訝に感じたり戸惑ったりしていたようだけど、会社のえらいひとにあっというまに屁理屈で言いくるめられて取り込まれてしまって…え? なんで? チョロすぎん??? わたしとしては何か置いてけぼりにされたみたいな気持ちに。

私生活をすべて明らかにすることへの熱狂ぶりがカルト宗教みたいで気持ち悪い。でもさ、他人の私生活はみんな野次馬根性もあって喜んで見るけど、自分のすべてをさらけ出せと言われたらたいていは抵抗するんじゃないかな。常に何百万もの人々に見られながら生活し、コメントもずっと投げられつづけ、カメラを止めるのはトイレ3分だけとか、普通のひとなら間違いなく精神を病むぞ。

メイは鋼メンタルなのか何だかんだ楽しそうにやってたけど、まわりのひとはそうではないわけで。24時間配信し続けているひととは友達づきあいできないよ。駄弁ったり、愚痴を言ったり、相談したり、そういったことも全部配信されてしまうわけで。恋人になったらデートとかも全部公開されてしまうし、家族にしたって本音で話すことができなくなる。近寄ってくるのは表面的なつきあいのひとだけ。世界中のひととつながっていても孤独になるんじゃないかな。

友人が亡くなるところはネット炎上をリアルで再現したような感じかな。自分が正義だと信じて疑わないひと、面白がるひと、そういうひとたちがみんなで罪悪感もなく追い込んで追い詰めて。死んでもわたし悪くないとか思ってそう。しかしどんなひとでもあっというまに探し出せるとか恐ろしいシステムだよ。警察が指名手配犯とかに使うのなら有効だけど、誰でも使えたらえらいことになる。会いたくないひとが勝手に追ってくるとか恐怖でしかない。ストーカー御用達。

最後は会社のえらいひとの不正を断罪? なんかちょっとカタルシスが足りないというか、すっきりしないというか。もっとこうザ・サークルの理念を破壊するような結末になるのかと思ったのに。シーチェンジは恐ろしいとか、プライバシーは大事だとか、そういうことに気付くような展開になるのかと思ったのに。結局、あんまり変わってない…? 協力してくれたタイ・ラフィート的にはこれで良かったんでしょうか。

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