>>5/7の記事の続き
LeblancUSAのSYMPHONIEで、LEBLANC by Backunの特徴を説明します。
Legacyは、リカルド・モラレス、ラリー・コムズ、ジュリアン・ブリスなど世界的なトッププロも使用していたトッププレミアムモデル。たしか8000ドルくらい。
吹いたことも見たことすらないです。日本発売記念発表会の時も、出てなかったそうな。
Symphonieは、LegacyからRHA♭/E♭キーを省いた以外外観はほとんど同じプレミアムモデル。5000ドルくらい。
どうも、Concertoの流れを受けているようで、抵抗が少なく、エディーダニエルズみたいな太い音色で高音をピアニッシモで吹くのに適した設計みたいです。
USのフォーラムなどで読んだ話では、LegacyとSymphonieは、吹奏感はほとんど変わらないらしく、 バレルがスリムタイプかトラディショナルタイプかで抵抗感が変わっているのかもとのことでした。
Legacyは中古でも5000ドルくらいするのでとても買えない。
あとは、画像付きで、各部の特徴を。
これが珍しくて欲しい方も多いはず。
右手でも操作できるC#G#キー
こちらも金メッキのトーンホール。
レジスターキーのコルクに刺さっているのは、ヴォイシングピン。
トーンホールからの流れを制御し、タンポからの雑音を打ち消します。
キーポストに見える黒い点は、ピポッドスキュリュー緩み止めのイモネジ。
LegacyにしてもSymphonieにしても、2004年発売のトスカを意識してデザインされているのは明白で、プレミアム感が満載の非常に所有欲を満たしてくれるモデルだと思います。
ほんの3年ほどしか生産されていないので非常に個体は少ないと思いますし、ルブラン伝統の明るく均一な音色、木質の良さは健在です。
バックンのバレル&ベルが標準仕様なので、好みのものに変えてもボアデザインが崩れることもありません。
ノナカの参考出展で試奏して、キーデザインとバックンのボア設計に驚いて欲しかったけど、いつ販売されてたの?いつの間に廃盤?っていう、のが正直なところだと思います。
エポックメイキングなクラリネットながら、ルブラン終焉を象徴するモデルですね。
現在人気のバックンクラリネットのルーツになるモデルだと思います。
ルブランのフランス工場が火災に遭い、1400本以上のクラリネットが焼けました。
その後も、Opus2やConcerto2などを製造していたみたいですが、ついに、2005年頃か、クランポンに工場を売却してしまいます。
そして、新生ルブランとして、革新的なクラリネットとして生まれたのが、SymphonieとLegacyです。
これらは、MorrieBackunの設計により、LeblancUSAで生産され、2006年に発表され2007年ごろから販売されました。
日本では野中貿易が代理店で、2008年頃のクラリネットフェスタかでSymphonieが参考出展され、今までと違う設計のクラリネットに試奏されたかたはびっくりしたそうです。
Opus2などから引き継ぐエルゴノミクスキーデザイン、抜群のスロート周りの改善、スピーカーホールのボイシングピン、左手でも操作できる特徴的なC#G#キーなどなど、まさにエポックメイキングなクラリネットでしたが、短命に終わってしまいます。
2010年の初め頃、ルブランUSAの工場での生産が止まります。
Backunブランドとして、 プロテジェ、バックン、モバのモデルが販売されることとなります。
現在、ルブランのクラリネットでは、アーティストモデルは生産されていないことになるのです。
クラリネットの紹介へ続きます。
ルブランはだいたい500〜600ドル以上はしますが、値段も500ドル以下で、グラナディラの質の高さ、現行機種にない温かみのある音色を楽しめるノブレについて昔のカタログと一緒に書いてみます。
40と45は設計は同じ、45はスプリングがゴールドプレート仕上げされていて、選りすぐりのグラナディラを使っているとのこと。
トーンホールのアンダーカット、鍛造キー、指が細くても抑えやすいトーンホール設計。組み付けも上位機種と同様、精密に行われているとのこと。
アーティストクォリティを謳っているだけあり、お得感がありますね。
アメリカは、シルバープレートより、ダークな音色のニッケルプレートを好む傾向があるらしく、 ニッケルクロームだからと言って必ずしも下位機種というわけではないようです。
ちなみに、カタログにあるベルに彫刻模様が入った45は、ebayでもなかなか出てこないし、出てきても高価です。
40、45とあって、46〜50はキーが増えたり、フルベームなど特別仕様だったみたいです。
googleで検索してたら、秋田のリペアショップさんが40Mをフルレストアしたのブログ記事にされてました。
300ドルぐらいで60〜80年代の45などは手に入るので、リペア費用を考慮してもファーストチョイスに良い楽器だと思います。
古い順に、D.Noblet,DN.Noblet,N.Noblet,Nobletと言うロゴに変わって行きます。
ルブランのクラリネットの魅力は、技術力によることも多いです。
その魅力は、音色、音程はさることながら、リペアマンも感心するキーメカニズム、圧倒的なグレナディラの質で、海外でも国内でも感想などを読んでいると、ほとんどそうだと感じます。
ですので、せっかく手に入れるのでしたら、70年代以降に製造されたものを手にされたほうが良いと思います。
1つに、キーのメッキ方法で下地処理が改良されたこと。
銀めっきを剥がすと、ニッケルめっき。その下に銅めっきがあった。とリペアマンから絶賛されるルブランの分厚いメッキは、70年以降の改良だと言われています。
(他のメーカーとは銀めっき液の混合比率か成分も違うようで、硬いめっきのようです。 並べてみるとわかりますが、他のメーカーとは銀めっきの色味が違います。)
そして、高品質なグレナディラと、この分厚いメッキが音色にも影響していると思われているからです。
ですので、よっぽど手に入れたいモデルがあるのなら別として、70年以降のモデルを手にしたほうが良いと思います。
簡単な見分け方は、ルブランのロゴを見ます。
上記のようなブロック体のロゴであれば、改良後のモデルだと思います。
あまり古すぎないモデルを選ぶと、吹いても楽しいモデルに出会えると思います。
古いモデルだと、画像ではけっこう綺麗なキーだなって思って届いたら、わざとキーのめっきを全て落としているものとかあるので要注意ですよ。
ジャズプレイヤーは、そのほうが良いのかもしれませんが、手入れが大変です。
良く見るモデルは、80年代以降の40Mと45Mですね。
40Mのスプリングが金メッキになったり、より吟味されたグラナディラを使用したのが45Mみたいです。
ちなみに、50Mっていうのはカバードキー(フルートやサックスみたいなリングキーのないタイプ)だそうです。
見直されている理由は、
①70年代〜90年代にかけて非常に良いグレナディラが使用されていること。
②キーがルブラン上位機種に劣らず頑丈。ニッケルメッキ方法が他社に比べて非常に手間がかかっていること。
(メッキは70年代のいつからか良くなっているらしいです。cf.http://www.clarinetperfection.com/)
③ボアデザインが、14.85mmとやや太めのボアであること。
このあたりでしょうか。
opus,concertoが、普通のトリルキー
infinite,2000LXが、ジャンプドトリルキー
ロゴも旧のものと同じなので、2000LXって割とトラディショナルな楽器なのかも知れませんね。
中学生の頃、雑誌に4本並んで広告が出てた記憶がありますが、concerto,infiniteより数万円安く、一番リーズナブルな価格だったような。
あと、キーのカスタム(7リングキーとか)も受け付けてくれる機種だったように覚えています。
社会人になった今、新品の楽器を慣らすの大変だろうなって思ったりします。
コントラバスクラリネットのリードなんか分かりやすいんですけど、あれってルブランのクラリネットだって知ってました?
バンドレンはルブランのグループ会社だったみたいです。
今もルブランがスポンサーになっているプレイヤーは、リードもバンドレンがスポンサーになっていることが多いように思います。
LarryCombs,RichardHawkins,ScottKurtzweilとか、EddieDanielsも!
RichardHawkinsさんはマウスピースの製作もされててバンドレンのトラディショナルを基準にしてるみたいです。
余談ですが、RichardHawkinsさんにメールオーダーして"standard"ってマウスピースをアメリカから買って使ってますが、芯があるのにふくよかで響きがありE♭クラリネットのマウスピースまで注文しちゃいました。
"standard"モデルはfacingがあまり長くないみたいでけっこう薄めのリードでも吹けます。ricoの21/2とかでも普通に吹けちゃいます。普段はバンドレンのトラディショナル31/2で私にはちょうど良いです。
何はともあれ、ルブランはvito,noblet,normandyなどの初心者向けモデルが充実してて、欧米のクラリネット人口増加に一役買っているのは確かです。
指の小さな子ども向けのフルカバードキーのクラリネットを販売したり、主婦がキッチンでクラリネットを練習してる広告を出したり、昔の広告を探してると面白いものを見つけます。
クラリネットを始めたら誰もがつまずく、リードの安定供給にも力を入れていたのでしょう。
これからも発展して行って欲しいですね。